2023年9月20日
9月18日は「敬老の日」だ。我々が学生の頃に学んだ「長幼の序」という教えもすっかり聞かれなくなってしまったが、その精神だけは、しっかりと孫子に受け継がれているらしい。孫達がせっせとプレゼントを手作りしてくれているらしいのだ。『プレゼント楽しみにしていてね』という優しい言葉に、ホッコリさせられている。これを書き始めた時には何のプレゼントか知らされていないが、“今晩のその時”を楽しみに待つことにしよう。
ところで、日本の出生数は減る一方なのに、「あなたは高齢者になりましたよ」というハガキが届く65歳以上の高齢者は、増える一方だ。総務省が「敬老の日」にちなんで17日に発表した「統計トピックNo.138」(https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1380.html)によれば、2023年9月15日現在の推計では、高齢者は3632万人となり、総人口12442万人に占める割合は、昨年に比べ0.1ポイント上昇し29.1%になったという。この割合は世界で最も高く、2位のイタリア(24.5%)を5ポイント近くも離している。更に、高齢者の中でも「後期高齢者」と呼ばれる75歳以上について見ると、人口は2005万人、割合では16.1%となって、凡そ6人に1人が後期高齢者という、笑えない現実が見えてくる。総務省のデータを基に、大まかな年齢区分別の“人口”と“割合”を見える化したのが下記の図-1だが、主な働き手である15〜64歳の人口とその割合が益々減っていくと思うと、恐ろしい限りである。
 総務省の「統計トピックNo.138」より筆者作成
また、違った視点で見てみると、言葉の解釈は少し違うのかもしれないが、聖書で言うところの「働かざる者食うべからず」という戒めの言葉が日本の高齢者には何歳まで付いて回るのだろう、と思えてしまう様な厳しい現実も見えてくる。
図-2は、「統計トピックNo.138」の中で、「U 高齢者の就業」の章に書かれている、2022年10月1日現在の高齢者の有業率(高齢者人口に占めるふだん働いている人の割合)と、働いてはいないが働きたいと思っている人(就業希望者)の割合を、5つの年齢階層に分け見える化したものだ。65〜69歳では、5割(50.9%)の人が実際に働いていて、2割弱(17.2%)の人が働きたいと思っている。合わせると、凡そ7割にもなる。年齢が上がるに従い割合は減っていくが、それでも、後期高齢者になってもなお働きたいと思っている人がこんなにもいるものか、と驚かされる。健康寿命が延びて働いていた方が心身共に良い、という考え方の人もいるだろう。しかし、聖書の言葉ではないが、しんどいけど働かないと食っていけない、という人の方が多いのではないかと思う。
 総務省の「統計トピックNo.138」より筆者作成
それは、高齢者全体の就業率を主要国と比較した図-3を見ると、何となく見えてくる。高齢者の割合が日本に次いで2位のイタリアは、凡そ5%しか就業していないのだ。国民性に違いがあるのかもしれない。しかし例えそうだとしても、「どちらの国民がより老後を楽しんでいるか」と問われれば、自ずから答えは見えてくるような気がする。「生涯現役」の考え方には賛成するが、あくまでも楽しんで働く、それが基本にあるべきだと思っている。そんな日本にならないかなぁ〜。内閣改造もあったことだし。
【文責:知取気亭主人】
ほうずき
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