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知取気亭主人の四方山話
 

『いたちごっこ』

 

2023年11月29日

「いたちごっこ」という慣用句がある。漢字で表すと、「鼬ごっこ」と書く。「鼬」とは、イタチ科の小動物だ。めったに見掛けなくなったが、昨年だったか、散歩中に畑の脇でちょろちょろと動くそれらしき動物を見掛けたことがある。見た目は可愛いが、農家にとっては害獣にもなる、雑食性の厄介な動物だ。ご同輩の中には、「鼬の最後っ屁」などと使った人もいるだろう。追いつめられると最後の手段とばかりに臭いオナラをすることから、そんな言われ方をしたのだが、それほど人にとって身近な存在だったらしい。ただ実際は、オナラではなく肛門付近の線から出す強烈な悪臭だという。

ちょっと脱線してしまったが、「…最後っ屁」についてはまたの機会に譲るとして、慣用句の意味は、両者が同じことを繰り返し物事が一向に解決しない様子、を言い表している。そんな慣用句に何故「鼬」が登場するのか、てっきり“鼬の生態”から生まれたものだろうと思っていた。ところが、今回この四方山話を書くに当たり調べてみると、どうやら、鼬の生態とは関係なさそうで驚いている。

『三省堂 故事ことわざ・慣用句辞典』(三省堂編集所編 2000)によると、「いたちごっこ」とは、「《子供が二人で向かい合い、『鼬ごっこ』『鼠ごっこ』と言いながら、交互に相手の手の甲をつねって重ねていく遊びから》両者が互いに同じことを繰り返し、物事が一向に解決しないこと。」(原文ママ)と説明されている。“鼬の生態”が由来ではなく、“子供の遊び”が由来だとは意外だった。そんな遊びがある事すら知らなかった。調べてみるものである。尤も、これをもっと掘り下げていけば、何でそう言いながらつねるのかがハッキリし、鼬やネズミの生態のどこかを切り取っていることが判明するのかもしれない。しかし、今回の本題ではないので、「いたちごっこ」の語源については、この辺にしておく。

さて、その「いたちごっこ」の用法だが、今頃の季節だと、さしずめ街路樹と店の前に街路樹がある商店街の人達の関係が、ぴったりと当てはまる。街路樹の多くは落葉樹で、今の季節、奇麗かどうかは別にして、紅葉しながら葉っぱを落とす。落ち葉だ。街路樹近くの店の人、特に奇麗好きな人は、せっせと掃いて落ち葉を片付ける。しかし、強風が吹かない限り街路樹は一挙に落葉しないから、時間を掛けて少しずつ舞い落ちる。したがって、片づけたと思っても、暫くするとまた落ち葉が目立つようになる。街路樹に付いた葉っぱが無くなるまで、この戦いは続く。片付けないと見た目にも悪いが、濡れた落ち葉で足を滑らせ怪我をする人が出る可能性もある。したがって、お店をやっている人は、落ち葉といえども無視はできない。期間にすれば僅か2ヶ月ほどだが、街路樹とお店の人のこの戦いは、正に「いたちごっこ」だと言える。

ただ、この関係、当事者にとっては余分な仕事で苦痛なのかもしれないが、落ち葉を愛でる人にとっては風情があって良い、という人もいるだろう。しかも、転んで怪我をする可能性を除けば、さして健康への害はない。或いは、法を犯すこともない。ところが、今世間を騒がしている“大麻グミ”や“政治とカネ”の問題などは、同じ様に「いたちごっこ」ではあるものの、風情があると悠長に構えていられる類のものではない。

大麻グミ問題は、報道によれば、食べた人が健康被害を引き起こしたり、犯罪に手を染める人をつくってしまったりする可能性が指摘されている。そんな危険なものが何故製造され、販売されているのか、庶民には何とも理解しがたい。元々大麻に含まれ幻覚症状などを引き起こす成分「THC」は、麻薬として規定されていて、大麻取締法や麻薬取締法などで禁止されている。日大のアメフト部員が逮捕されたのも、この法律を犯したからだ。ところが、THCに似せた化合物は、規制の対象外だというから解せない。医薬品医療機器法に基づいて取り締まりをしているというが、構造が似た様な合成物質が次々と出回り、正に「いたちごっこ」の様相を呈している。そもそも、誰もが口にする可能性がある食品である以上、早急に「いたちごっこ」から脱却しなければいけない。化合物を原材料とする場合は、まず安全性を確認した上で製造・販売の許可や認可をする必要がある、と考えるのがごく自然な発想だと思う。早急に手を打つべきだ。

一方、岸田政権の支持率低下の一因にもなっている“政治とカネ”の問題は、「またか!」と、ほとほと呆れてしまうほど常態化しているように見受けられる。今は亡き作家安部譲二(1937-2019)ならば、さしずめ「国会の中の懲りない面々」と皮肉っただろう。本当に懲りない先生方だ。収支報告書への不記載を指摘されると、修正報告書を提出する。そして、懲りずにまた問題を起こす。正に「いたちごっこ」だ。

そうした政治とカネの問題を無くすために、政党交付金として、総人口に一人当たり250円を乗じた額を国の予算の中から拠出するようにしたのに、この有様だ。まさかとは思うが、“政治とカネ”の問題を敢えて引き起こし、250円を300円に、更にはその先の400円へと引き上げる魂胆ではないだろうな。それこそ「いたちごっこ」に引きずり込む深謀遠慮だったりして…。さすがに、それはないか!


【文責:知取気亭主人】


愛でるのは良いけどねぇー
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