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知取気亭主人の四方山話
 

『素人判断は禁物』

 

2023年12月6日

数年前から、家内と一緒にスーパーへ買い物に行くことが増えた。体力の低下と共に需要が増して来た荷物持ちとして、そして買い物かごに日本酒やワインをそっと忍び込ませるために、言葉には出さずともお互いの思いが通じ合っていて、仲良く連れ立っている。よく店を訪れる様になってつくづく思うのは、最近のスーパーは随分と便利になった、ということである。八百屋などの専門店と違い、野菜、肉、鮮魚などなど、一般的な家庭で使う食材は、殆ど揃っている。そうした食材に加え、チョットした日用雑貨なども売られていて、日々の生活に必要なものは大概揃う。そして、レジでの精算も加速度的に便利になっている。お蔭で、レジで小銭を探していて後ろが詰まり汗を掻く、なんてことはほぼ無くなった。ただ、精算を終え、“買い物かご”から“マイバッグ”へ商品を移し替える時、店の便利さとは裏腹に、自らの不便さに往生することが度々ある。それは、手の指先に由来するものだ。

家内の行動の見様見真似で覚えたのだが、仏花を買った時に、根元が乾燥しない様に小さな薄手のビニール袋をかぶせている。そのビニール袋、ロール状に巻かれミシン目で切り取れるようになっているものが、商品を移し替える作業台に供えられている。それを一袋分切り取るのだが、切り取った後の何でもない作業に難儀している。指が滑って閉じた口が開けられず、袋状にならないのだ。何度やってもダメだ。仕方なく、備え付けの指を湿らす用具の助けを借りて何とか開けるのだが、いつも往生している。指の指紋が殆ど消えて無くなってしまったのと、指に潤いが無くなってしまったのが原因らしい。

実を言えば、指紋が無くなったのを実感したのは、随分前になる。ご同輩もそんな思いを持った人が多々いると思うのだが、60代に入ったあたりからスマホの指紋認証が出来なくなってしまったのだ。何度やっても認証されない。夜な夜な1万円札を数えていた訳でもないのに、本などのページがめくり難くなり、気が付けば知らず知らずのうちに指を舐めている。癖とは恐ろしいものだ。新型コロナが流行った当初は、舐めてしまってギョッとしたことが度々あった。いずれにしても、単純に「寄る年波には勝てないな」と諦めていたのだが、どうやら指紋が無くなるというこの現象、加齢だけが原因ではないことを最近知った。

指紋以外にも、2年ほど前から、左手人差し指の爪に異変が現れ気になっていた。波打つように、爪の表面が凸凹になって来たのだ。それが一向に改善されないまま、今度は同じ爪の脇に黒っぽい緑色のシミの様なものが現れ、洗っても、カッターで削っても落ちない。そのうち治るだろうと高を括っていたのだが、一向に治らない。見かねた家人に言われ、つい先週皮膚科に行ってきた。すると、細菌にやられているとの診断だ。思い当たるのは、会社のグリーンキーパーとして、草取りをする時に汚れ湿ったままのグローブを使い続けた事だ。ネットで調べると、土いじりなどで感染することの多い「緑膿菌」に侵された時の症状に酷似している。先生は明言されなかったが、恐らく「緑膿菌」で間違いないと思っている。塗り薬を処方され、ひと月ほど塗って効果を見ることとなった。

それはそれとして想定内の診断と処置となったのだが、当該の爪以外にも治療が必要だと言われ、こちらの方が驚いた。手全体を診て、両手の治療も必要だと言われてしまったのだ。「手が荒れている」と言う。本人としては、そんなに荒れている実感がないだけにビックリだ。手の甲がカサカサしている訳でもない。実感があるとすれば、指紋が無くなり指先がすべすべしている事、指先の両脇が硬くなり爪切りやカッターで切り落とすのが増えた事、指先の皮が少しむくれ引っ掛かる様になり良く剥ける様にもなった事、冬になると指先の冷えが激しくなった事などで、全て加齢によるものと思っていた。ところが、どうやらこれらの症状、或る病気特有の症状らしい。

先生は素人にも分かり易く、「荒れている」と表現してくれたのだと思う。ただ、この四方山に載せるに当たっては、もう少し具体的な病名や症例が欲しいということで、調べてみた。すると、『薬の通販オンライン すぐに見つかる私のくすり』なるサイトに、『進行性指掌角皮症がよくわかる疾患ガイドページ』(https://www.nyredcross.org/disease/34)のコンテンツがあって、僕とほぼ一緒の症例が示されているのを見つけた。

それによれば、この病気の主な症状は、@皮膚が乾燥して剥がれ落ちる、A指先が硬くなる、B亀裂が入る、C指紋が消える、だという。B亀裂が入るは、恐らく“あかぎれ”のような症状を指しているのだろう。このBは当てはまらないが、それ以外の3つの症状は、全て僕に当てはまる。ただ、主婦の皆さんの様に水仕事を頻繁にしている訳ではないのに、なぜ治療が必要になるほど荒れてしまったのだろう。

この病気は、水仕事やキーボードを頻繁に叩くなどして皮脂が失われ、その状態で何度も刺激を受けることで発症するのだという。どんな刺激があるかというと、示されているのは4つだが、思い当たるのは、その内?紙によく触れる、?パソコンのキーボードを叩く、の2つだ。振り返ってみると、60代に入ってから上記2つの刺激は急に増えたように思う。改めてこうした原因を知ると、「加齢が原因だ」の素人判断は禁物だと思い知らされる。「加齢…」は都合の良い逃げ道なのだがなぁ〜!


【文責:知取気亭主人】


ナンテンの実(難を福に転じてチョーダイ!)
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