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知取気亭主人の四方山話
 

『信じられん!』

 

2024年2月7日

今回も、まず被害の状況から見ていきたいと思います。前回報告したものと大きくは変わりませんが、住家被害が石川県、新潟県、富山県で顕著に増え、2月4日夜の時点で確認できた、各県が公表している人的並びに住家の被害状況は、次の表のとおりです。

死者(人) 行方不明者(人) 負傷者(人) 住家被害(棟) 備考
石川県 240(15) 確認中 1,181 49,440 2月2日14時現在※1
新潟県 0 0 49 13,960 2月2日13時現在※2
富山県 0 0 47 6,058 1月30日9時現在※3
福井県 0 0 6 45 1月3日13時現在※4

なお、死者のカッコ内の数値(15)は、災害関連死と見られる人数です。また、行方不明者と確認された訳ではありませんが、住民基本台帳に基づく安否不明者は、2日の時点で14人と発表されています。

亡くなられた方々に哀悼の意を捧げご遺族の皆様にお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 (※1:https://www.pref.ishikawa.lg.jp/saigai/documents/higaihou_78_0202_1400.pdf)
 (※2:https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/390233.pdf)
 (※3:https://www.pref.toyama.jp/documents/38062/higai30.pdf)
 (※4:https://www.pref.fukui.lg.jp/doc/kikitaisaku/ishikawanotojisin_d/fil/kaigi2.pdf)

さて、「令和6年能登半島地震」(M7.6)の発災から丁度ひと月が経とうとしていた1月31日、ようやく仮設住宅が完成した。そして、3日から入居が始まったと報じられている。多くの被災者が待ち望んでいる仮設住宅は、奥能登の3市3町に内灘町を加えた3市4町で1,336戸を建設予定しているのだが、そのうちやっと輪島市の18戸が完成したのだ(※1より)。これまでの地震被災地に比べ、建設に随分と時間が掛かっているらしい。至る所で道路が損壊していたり、倒壊した家屋が道路を塞いだりしていて、資材の運搬は勿論、現地に入ることすら困難を極めていたことが大きな理由だ。また、適切な公有地が少ない、というのも足枷になっているらしい。

ただ、冒頭でも述べた様に、住家被害は極めて甚大だ。また、震災前の日常や生業を少しでも取り戻すためにも、地元での生活が続けられる仮設住宅は極めて重要だ。しかも被災者はお年寄りが多く、「地元に残りたい」という方々が圧倒的に多いと聞く。年老いてから住み慣れた町を離れるのは、確かに大きな決断がいると思う。だからこその仮設住宅なのだが…。

石川県の情報(※1)によれば、市町が用意した1次避難所(広域避難所含む)に8,985人、県が用意したスポーツセンターなどの1.5次避難所と旅館やホテルなどの2次避難所に5,435人、そしてそうした避難所以外(例えば県内外の親戚宅や車中泊、自宅など)で避難生活を送っている人も8,257人(2月1日時点での速報値)に上るという。合計すれば2.2万人を超える人たちが避難生活を余儀なくされている。更に増える可能性もある。いずれにしても、過疎が進む能登地域にとって、これは物凄い人数だ。

どれ程凄いか、第1065話『今何ができるか』と同じ様に、人口比率に置き換えてみた。能登地域4市4町合計の人口は約16.2万人だから、避難者数2.2万人は、実に13.6%にもなる。何と、地域に住んでいた総人口の1割を遥かに超える人たちが避難を余儀なくされているのだ。これがどんなに悲惨な事か、普通の神経の持ち主ならば容易に理解できるはずだ。ところが、こうした能登の惨状を利用して自らの利益を上げるためにフェイク情報を流す輩が横行している、というから信じられない。何週間か前にNHKラジオで報じられていたもので、一緒に聴いていた家内と、『えー!』と声を荒げてしまった。

NHKのネットニュース『能登半島地震 SNSで真偽不明や誤りの情報拡散 注意深く対応を』(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240204/k10014345991000.html)によれば、SNSのX(旧ツイッター)を中心に、真偽不明や明らかに偽りと分かる情報も拡散され、中には被災者を装ったとみられる投稿もあったという。ラジオでは、これらの偽の投稿の中には海外からのものもあって、住所とは違う場所の動画をつけて偽の救助要請していたアカウントをNHKが分析したところ、アラビア語やパキスタンの主要言語で投稿しているものもあったという(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240202/k10014341931000.html)。

こうした偽情報の投稿が増えた要因は、昨年の夏以降、Xで一定以上の閲覧数(インプレッション)を獲得すると収益を得られる仕組みが導入されたことが大きいという。閲覧数を増やすためならなんだってする、一時流行った飲食店での迷惑行為を投稿していた連中と全く同じ思考だ。要するに、銭の為なら被災者のことなどどうでもいい、ということだ。そうした連中は、数限りなくいる訳ではなく、ほんの一握りだとは思う。しかし、厳冬の中被災地で身を寄せ合って避難生活を送っている人達のニュースを見ていると、ほんの一握りだと分かっていても無性に腹が立つ。一言で言えば、『信じられん!』だ。弱者を思いやる気持ちは無いのだろうか?被災地に寄り添い思いを馳せる、そんな想像力は無いのだろうか?やっぱり、信じられん!


【文責:知取気亭主人】


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