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知取気亭主人の四方山話
 

『東北から能登へ』

 

2024年3月13日

3月11日で、令和6年能登半島地震の発災から丁度10週が経ちました。そして11日は、誰もが目を疑ったあの大津波、あの東日本大震災(以後、3.11)の13回目の慰霊の日でもあります。この日が近づくにつれ、テレビでは特番が組まれ、津波の凄まじい破壊力や未曽有の被害の様子が放映されています。そして、逞しく生業を取り戻した人々の話や、その一方で今も生業を取り戻せないで苦しんでいる人の話、或いは終わりの見えない原発事故処理についてなど、13年後の今が盛んに報じられています。そうしたニュースに接し、あの大震災が如何に甚大な被害をもたらしたのか、改めて思い返しています。そして時の経過とともに、人情の温かさも聞き及び、前に向かって歩む人々に明日の希望も感じています。

そんな思いも抱きながら、これまでの災害により亡くなられた全ての方々に哀悼の意を捧げ、ご遺族の皆様にお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

気象庁ホームページに、『日本付近で発生した主な被害地震(平成8年以降)』という、平成8年(1996年)〜令和5年(2023年)の期間に日本付近で発生した、人的被害を伴った地震の一覧表がある(https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/higai/higai1996-new.html)。下表は、紙面の関係上、一覧表から「平成19年能登半島地震」以降の死者を伴う地震だけを抜粋し、今回の「令和6年能登半島地震」(以後、今回の地震)を加えて作成したものだ。


発生年月日 震央地名・地震名 M 最大震度 死者(※1) 住家被害(※2)
2024.1.1 令和6年度能登半島地震 7.6 7 241 113,354棟
2023.5.5 石川県能登地方 6.5 6強 1 734棟
2022.3.16 福島県沖 7.4 6強 4 56,935棟
2021.2.13 福島県沖 7.3 6強 1 20,556棟
2018.9.6 平成30年北海道胆振東部地震 6.7 7 43 15,978棟
2018.6.18 大阪北部 6.1 6弱 6 61,770棟
2016.4.14 平成28年熊本地震 7.3 7 273 205,886棟
2012.12.7 三陸沖 7.3 5弱 1 1棟
2012.3.14 千葉県東方沖 6.1 5強 1 3棟
2011.6.30 長野県中部 5.4 5強 1 6,141棟
2011.4.11 福島県浜通り 7.0 6弱 4 3.11に含む
2011.4.7 宮城県沖 7.2 6強 4 3.11に含む
2011.3.12 長野県・新潟県県境付近 6.7 6強 3 500棟
2011.3.11 東日本大震災 9.0 7 19,729
(2,559)
1,153,398棟
2009.8.11 駿河湾 6.5 6弱 1 8,678棟
2008.7.24 岩手県沿岸北部 6.8 6弱 1 380棟
2008.6.14 平成20年岩手・宮城内陸地震 7.2 6強 17(6) 176棟
2007.7.16 平成19年新潟県中越沖地震 6.8 6強 15 44,674棟
2007.3.25 平成19年能登半島地震 6.9 6強 1 2,426棟

※1:( )内の数値は行方不明者
※2:住家被害数は、全壊、半壊、一部損壊を足した棟数

なお、住家被害数については、いつの時点の数値であるか、気象庁の元表には書かれているので、疑問を持たれた方は確認していただきたい。また、「令和6年能登半島地震」については、前話(第1072話)から1週間後のデータである。

こうしてみると、死者が出るほどの強い揺れを引き起こした地震は、「平成19年能登半島地震」以降だけ見ても、17年間で19回も発生していることが分かる。平均して年1回は発生していることになる。そしてそれらの地震によって、20,347人もが亡くなり、2,565人がいまだに行方不明になっている(今回の地震の安否不明者は除く)。また、1,691,590棟にも及ぶ住家が被害を受けている。実際には、死者は出ていないもののケガ人が出ている地震はまだ一杯あって、それらには住家被害が発生しているものもある。それらを加味すると、17年間の住家被害は、170万棟を超えるのではないかと思われる。凄い数だ。

それ以外に、道路や鉄道など交通インフラの被害、上下水道や電気・ガスなど生活基盤を支えるインフラの被害、そして生活を支えてきた生業の喪失など、経済的損失は計り知れない。特に被災地が地方の場合、地域経済の被る痛手は深刻だ。その度に復興予算が組まれ被災地支援は行われるのだが、毎年どこかで深刻な災害が起こり、その度に自衛隊への救助要請が出されている。一朝一夕にはならない防災・減災の難しさ、なのだろう。

3.11の翌々年の2013年(平成25年)12月、「国土強靭化法」が公布・施行された。あれから、昨年の12月で10年が経った。「まだ10年しか」なのか、予算が少ないからなのか、複雑な地形と脆弱な地質のせいなのか、温暖化のせいなのか、地震も含め毎年のように大規模災害が繰り返されていて、国土が強靭化されたという実感はない。それどころか、災害の牙が年ごとに強く鋭くなっていくようで、正直怖い。

防災・減災の基本は想定外を無くすことだと聞くが、想定外だらけだった3.11。地震の規模、津波の凄まじい破壊力、人様が造ったのに成す術が無かった原発事故、どれをとっても想定外だった。恐らく、殆どの人々がそうだったに違いない。しかし逆に考えれば、3.11によって、漠然と描いていた想定が如何に都合の良いモノだったか知る事ができた、とも言える。その想定外の体験をした東北の被災地から能登の被災地へ、暖かな人情とともに、支援やエールが送られている。能登の被災者にとって凄く有り難い取り組みだ。3.11被災者の復興体験、その体験に知恵と勇気を貰い、能登の復興は強靭に成し遂げられる、と信じている。


【文責:知取気亭主人】


こんな写真集も発売された
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「特別報道写真集 2024.1.1 能登半島地震」

【著者】  中日新聞社
【出版社】 中日新聞社
【発行年月】 2024/2/20
【ISBN】 9784806208143
【頁】 64ページ
【定価】 880円(税込)

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