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知取気亭主人の四方山話
 

『愛称』

 

2024年5月1日

「欽ちゃん」、平成&令和生まれの人には馴染みがないかも知れないが、テレビ全盛期とも言える昭和の時代に一世を風靡した、コント芸人(元々故坂上二郎とコント55号というコンビを組んでいた)萩本欽一の愛称だ。今でこそめっきり見られなくなったが、「欽ちゃん」を冠した番組もたくさんあったように記憶している。また、今は離婚後の騒動で何かと話題を提供している元卓球選手の「愛ちゃん」も、小さな頃から「泣き虫愛ちゃん」などとも呼ばれテレビ番組に登場したりしていて、成人してからもこの愛称が良く使われていた。トップ選手だった時代には、中国でも人気を博していたという。同じスポーツ選手で言えば、シドニーオリンピックの女子マラソンで日本人初の金メダリストとなった高橋尚子さんは、「Qちゃん」と呼ばれ、国民期待の星となっていた。

この様に愛称で呼ばれるということは、関心を持たれている証拠であり、人気のバロメーターであるとも言える。上記の3人ほどではなくても、我々庶民も、気心が知れた小さなグループ内で、愛称で呼び合うなどということは良く行われていると思う。小・中学校などの友達同士とかクラブ活動内で、などである。少しニュアンスの違いがあるかもしれないが、呼ばれる本人が嫌いでなければ、あだ名なども愛称と言えるのかもしれない。ただこの「あだ名」、気を付けないと本当は嫌なのにそれを口に出せない人もいて、知らず知らずのうちにイジメをしている事になりかねないから注意が必要だ。

そうしたあだ名ではない愛称は、名字や名前を縮めたりすることが多い。小生もそう呼ばれた口だ。さすがに高校時代になると、名字を呼び捨てにされるか後ろに君を付けて、『○○君』と呼ばれることが殆どだったのだが、小・中の時代は古き田舎の匂いがプンプン漂う呼び方をしたものだった。小生の場合は、名字絡みで呼ばれるときは『○○ちゃー』だったし、名前絡みで呼ばれるときは(名前の漢字二文字の前の漢字だけを拾って)『△△ちゃ』と呼ばれていた。時にはごく親しい友達からあだ名で呼ばれることもあったが、強そうな名前だから良いか、と呼ばれるまま放っておいた。

しかし、『△△ちゃ』と呼ばれるのはあまり好きではなかった。呼ぶ友達に全く悪気はないのだが、音の響きが余り好きではなかったのだ。後期高齢者になってしまった今はさして気にもならない。ただ、多感な時は結構気に障っていた。終戦後の動乱期に静岡県西部の田舎で生まれた小生の名前は、その地域の知恵袋と目されていたらしいお寺の住職が付けてくれた、と母から聞かされている。したがって、それなりの理由がある名前らしい。それもあってなのだろうか、使われている漢字二文字は結構気に入っている。ところが惜しい事に、『△△ちゃ』と呼ばれた時の音の響きが今一つなのだ。

そうした名前の愛称に関して言えば、誰もが頭を悩ませるのが、我が子の命名だ。母と同じ様に誰か他人に付けてもらう場合もあるだろうが、殆どの家庭では、自分達で考え決めているのだと思う。画数を調べ幸せになる様な名前を付けてやりたいと、喜びを感じつつも悩んだお父さんお母さんも多かったことだろう。勿論我々夫婦もその口だ。そうした悩みに加えて小生は、自分の経験を踏まえ、「ちゃん」を付けた時に響きが良くて愛らしく聞こえる様にと、頭を悩ませたものだった。そうしたこともあって、二人で付けた4人の子供たちは、何れも「ちゃん」付けでも響きが良いと自負している。そして、恐らく気に入ってくれているものだと思っている。

ただ、響きの良い名前となると、似た様な名前の子が増える。それは道理だと思う。有名人にあやかった名前が増えるなんて現象も過去には何度かあったし、また最近は一瞥しただけでは読めない当て字が多い様に思うが、名前の後ろに「ちゃん」を付ける愛称となると、意外と似たような響きになってしまうような気がする。実は、そのことに関して面白い体験をした。つい先日の日曜日の事だ。

晴天に恵まれた28日、大人4人、子供3人で近くの山へBBQをしに行ってきた。テントサイトも併設している、狭い小学校のグランドほどある広場の脇にBBQ施設はある。近くには、鯉が放たれているため池もある。周りの山にはササや下草が生い茂った雑木林が広がっている。そんな場所で、9歳の孫娘の姿が見えなくなった。驚いた大人が、『□□ちゃーん!』と呼ぶと、さらに驚いたことに、隣でBBQの準備をしていた若い女性の、明るい『ハーイ!』という声が聞えてきた。事の次第を説明してからは、我々の呼び掛けに答えなくなったが、偶然とは言え同じ愛称の人とこんなところで出会うとは正直ビックリだ。

孫娘も無事見つかり、話を伺うと、面白い偶然だったことが分かった。若い女性は名前の漢字2文字に“ちゃん”を付けた愛称で、一方の孫娘は、名前の漢字3文字の前2文字に“ちゃん”を付けた愛称だったのだ。ただどちらも、日頃から『□□ちゃん』と呼ばれている事が分かった。その後、同じ愛称だと分かった孫娘と母親が何かと差し入れをしたり、逆に美味しそうな焼き肉を持ってきてくれたりと、思わぬ交流ができた。

別れ際に寂しそうにしていた孫娘を見ると、たかが愛称と言っても、小さな子にとってはとても大事にしているのだと改めて気付かされた出来事だった。考えてみれば、小生が『△△ちゃ』と呼ばれるのがあまり好きではなかったのも、同じ発想なのかもしれない。たかが愛称、されど愛称なのだ。


【文責:知取気亭主人】

僕の愛称は?
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