2024年7月3日
7月1日で、元旦に発生した「令和6年能登半島地震」から丁度半年となった。亡くなられた方々に哀悼の意を捧げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
それにしても時の過ぎ去るのは本当に早い。あっという間の半年だ。連日報道されているとおり今も復興がままならないだけに、強くそう感じる。被災者にとっては尚更だと思う。また、半年というこの間に避難所などで亡くなる方も増え、被災がいまだに継続していることを実感させられている。被災地は高齢者が多く、寒い真冬の期間を暖房のきかない避難所で過ごすには、あまりにストレスが多すぎたのだと思う。これから夏に向かい、快適な環境の中で暮らすには、まだ多くの時間が掛かるだろう。そうしたことも踏まえ、特に被害が著しかった石川県にスポットを当て、人と住宅の被害状況について、以前(直近が第1077話)と同じ表にまとめてみた。
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死者(人) |
行方不明者(人) |
負傷者(人) |
住家被害(棟) |
備考 |
石川県 |
281(52) |
3 |
1,208 |
84,594 |
7月1日14時現在※1 |
※1:https://www.pref.ishikawa.lg.jp/saigai/documents/higaihou_142_0701_1400.pdf
この表で注目すべき点が、二つある。一つ目は、行方不明者数についてだ。第1077話(4月10日アップ)当時は「確認中」とされていたものが、人数が明記される様になった。行方不明者として確定できたのは、石川県発表の被害状況速報を調べると『被害等の状況について(第125報)』( 令和6年4月23日14時00分現在)からで、それまでは住民票は置いてあるのに実際は住んでいなかった人もいたりして、実際何人が行方不明なのか把握できていなかったのだ。そうした確認に凡そ100日も掛かったことになる。地元への愛着が強いからこその情報錯綜だった、とも言える。ただ、行方不明者の人数は確定されたものの、地元の新聞やテレビの報道によれば、必死の捜索にも拘らず、残念ながらいまだに見つけられないでいる。行方不明者がゼロになる日が早く訪れるのを祈るばかりである。
二つ目は、ここに来て急に死者数が増えたことだ。その最大の要因は、(表中死者数の後ろに括弧書きの)災害関連死が増えたことだ。災害関連死数は、7月1日時点で52人となり、4月5日時点(第1077話に掲載データ)の15人から37人も増えた。結果、トータルの死者数は281人を数え、熊本地震の死者数276人(うち関連死226人)を上回った。この災害関連死については、避難中に亡くなった方々が関連死かどうかの審査会が今も順次開かれており、まだまだ増える可能性がある。加えて、50%近くにもなる輪島市・珠洲市を始めとした被災地の殆どが、全国平均を上回る高齢化率の地域であり、免疫力の低下した高齢者にとって厳しい環境の中での避難生活が長引いていることも、懸念される材料だ。
増加が懸念される災害関連死を防ぐのに重要だと言われているのが、口のケアだ。実は私事で恐縮だが、今検査入院していて、入院に際しまず言われたのが、『虫歯はありませんか?』と『入れ歯はありませんか?』だった。そのことを友人に話すと、彼の亡くなった奥さんが心臓の手術を受けた時、歯槽膿漏を患っていた為、前歯を残し全部抜かれてしまったと教えてくれた。それ程、口の中を健康に保つというのは、命に係わる重要な事らしい。考えて見れば、口は体の機能の全てを司っている脳に近く、しかも体外から必要な栄養を補給できる唯一の器官だ。そう考えると、口の中を健康に保つこと、言い換えれば良く言われるお口(口腔)のケアが、体を健康に保つ上でいかに大切か分かる。平時でもそうなのだから、災害という非常時に口のケアを心掛けるのは当然だとも言える。
そうした災害関連死と口のケアについて分かり易くまとめられたパンフレットが、ネット上で公開されている。山形県口腔保健支援センターから出されているもので、『災害時の口腔ケア』(https://www.pref.yamagata.jp/documents/17944/saigaiji.pdf)と題して、阪神淡路大震災や東日本大震災、そして熊本地震の例を挙げ、口腔ケアの大切さを訴えている。それによると、今回の能登半島地震でも大きな問題となった水不足、この水不足によって水分が十分採れず口の中が乾燥すると、ウイルスに感染しやすくなるのだという。加えて、歯磨きがしっかりできないと、口の中の細菌が増え、虫歯や歯周病など持病の悪化だけでなく、誤嚥性肺炎の発症など全身の健康に影響を与える可能性がある、と警鐘を鳴らしている。更に口の中の健康状態が悪化して食べ物が食べられなくなってしまえば、体力は落ち、免疫力は衰え、体が衰弱して行くのは自明の理である。そうした口のケアの重要性を説いて、同パンフレットでは、『災害時にお口の健康を心がけることは命を守ることにつながります。(原文のまま)』と強く訴えている。
違う視点で口の健康に関して言うと、随分前になるが「8020(ハチ・マル・二イ・マル)運動」というのを聞いたことがある。「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動で、調査によって20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足に噛めることが科学的に明らかになっているという。80歳で20本以上残っている人は、間違いなく口の中も健康だ。そう考えると、口を健康に保つということは、平時でも災害時でも、体を健康に保つ秘訣の一つであると言える。皆さん、くれぐれもお口を健康に!
【文責:知取気亭主人】
老いも若きもお口のケアを!
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