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知取気亭主人の四方山話
 

『県民性?』

 

2024年11月20日

先週末、長野県の安曇野市に住む長女家族が泊まりにやって来た。10時ごろ自宅を出て15時ちょっと前には着いたから、途中の買い物や食事時間、そしてトイレ休憩を入れても凡そ5時間で着いたことになる。半世紀ほど前に比べると、随分と早い。あの頃はまだ北陸自動車道が全線開通していなくて、金沢から安曇野に行くには、部分開通していた黒部インターやその後開通した朝日インターまで高速道路に乗り、後はひたすら下道(国道8号線と国道148号線)を走るしかなかった。もっと前は富山インターさえ開通していなかったから、今とは隔世の感がある。

北陸地域を貫く一桁国道の国道8号線は、富山県と新潟県の新潟県側県境付近に「親不知子不知」と呼ばれる交通の難所があって、年がら年中工事をしていた。工事用の信号機もあって、通過にはとにかく時間が掛かっていた。その難所を過ぎ、国道8号線を離れて糸魚川から姫川沿いを松本に向かって南下する国道148号線を走るのだが、この国道も今ほど改良されておらず、安曇野や松本と聞くと、「随分遠いなぁ」と思ったものだった。車の性能が今ほど快適ではなかったことも、遠いと感じさせる要因だったかもしれない。

当時は、地方の高速道路網の整備が始まったばかりと言っても過言ではない時代ではあったが、モータリゼーションの到来と重なり、既に車は結構多かった。その頃から交通事故も増えたのに違いない。それもあって、一旦停止違反やスピード違反など、高速道路も含め交通違反の取り締まりが結構頻繁に、そして厳しく行われていた。そうした取り締まりの効果があってのことだろう、交通規則を守っていた運転手も意外と多かった様に感じている。今の様に、あおり運転した上に相手の車を止めて暴力を振るうなんて聞いたこともなかったし、ましてや高速道路の走行車線や追い越し車線で悪意を持って意図的に車を停止させるなんて、危険極まりない常識外の暴挙を仕出かす輩がニュースになった記憶もない。

ところが、最近のニュースからは、アッと驚く様な事を仕出かした故の事故や事件がやたらと聞こえて来る。そして、車という密閉空間に乗り込んでしまうと素の人格が出て来るのか、身の回りでもマナーの悪い車が多い。路側帯に自転車専用レーンがあるのに自転車が通れない様極端に左側に寄せたり、横断しようとしている歩行者がいるのに横断歩道の前で止まらず通過したり、信号機の手前でわざととしか思えないほどノロノロと移動して後続の車を赤信号で停止させたりとか、いつもではないが、ここ金沢でも目に付く。

孫娘を学童保育に迎えに行って帰宅する時、信号機のない横断歩道の脇で立っているのに、スピードも落とさず通り過ぎる車がなんと多かったことか。データは取っていないが、恐らく半分近くは止まってくれなかったと思う。「ウインカーを出すのが遅い」と言われているのと同じ様に、「県民性なのかな」と思っていた。ところが安曇野の婿殿、小生と二人で買い物に行った帰りに、脇から出てきた車を前に入れてやりながら、『信号機のない横断道で脇に立っている歩行者を見つけた場合に車が一時停止する率は、長野県が1位で石川県が2位でしたよ』、と教えてくれた。思ってもみなかった情報に地元民としてはちょっぴりうれしくなったが、その出処が気になった。

帰宅して11月17日付の北陸中日新聞朝刊をよく見ていたら、その情報が載っている記事を見つけた。日本自動車連盟(JAF)が行った、全国調査の結果だったらしい。そこには確かに、長野県が87%で1位、石川県が80.9%で2位だったとある。ただ、JAFのホームページ(https://jaf.or.jp/common/news/2024/20241108-001)によると、「調査は各都道府県で2箇所、全国合計94箇所においてした」とあり、しかも全国で7,000台に満たない車両数だとあるから、全国2位だと言っても手放しで喜べるものではなさそうだ。

ところでこの「信号機のない横断道で脇に立っている歩行者を見つけた場合に、車が一時停止するか、しないか問題」、実は一人の小学生が行ったこの問題の自由研究が警察を動かした(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/1549137?display=1)、というニュースをテレビで知って感心したところだった。岐阜県各務原市に住む小学6年生の女子生徒が、実際に横断歩道の脇に立ち、止まってくれない車の台数を調べるのを、自由研究にしたのだという。これを半年間にわたって続けたというから感心する。更に感心するのは、その結果を警察にも報告して、対策に生かしてもらったというからえらい。また、その自由研究を対策に生かした警察と道路管理者である市も、さすがだ。こうでなくちゃいけない。今では、各務原市の横断歩道の手前の路面が赤色(テレビではピンクだったようにも見えたが?)に塗装されているという。しかも、塗装されてから一時停止してくれる車が増えた、というから嬉しい。こうした子供の意見でも積極的に行政に取り入れていく、この柔軟性こそ県民性なのかもしれない。

いずれにしても、日々ハンドルを握る皆さん、信号機のない横断歩道で歩行者を見たら必ず一旦停止ですぞ!


【文責:知取気亭主人】


路上菊花展
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