いさぼうネット
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
知取気亭主人の四方山話
 

『その気持ち良く分かる』

 

2025年2月5日

プロ野球千葉ロッテマリーンズに所属していた佐々木朗希選手の米大リーグへの移籍先が決まった。大谷翔平選手と山本由伸選手が所属する、昨シーズンのワールドチャンピオンチーム、ドジャースだ。佐々木選手の大リーグ挑戦の話題が持ち上がった時点で有力視されていたチームのひとつだが、これだけ日本のプロ野球で実績があり将来性豊かな選手が集まってしまうと、何とも複雑な気持ちになってしまう。もっといろいろなチームに散らばって、どこのチームにも主力選手として日本人が活躍している、そんな景色を見てみたいと思っている天邪鬼(あまのじゃく)としては、少々がっかりもしている。その上で、やっぱり金満チームは違うな、と斜め目線で見てしまう。

それにしても、近ごろは大リーグに挑戦するプロ野球選手が随分と増えた。この天邪鬼より5歳年上の村上雅則氏(1944年生まれ)がアジア人として初めて海を渡った時代や、その後野茂英雄氏が大リーグへの道を切り開いた当時に比べると、雲泥の差だ。しかも最近は、大谷選手や今回の佐々木選手がそうだったように、日本のプロ野球界での実働年数が短い選手でも大リーグへの移籍を希望する選手が少なくない。若く体力のあるうちに挑戦してみたい、そして大リーグで可能な限り長く活躍したい、ということなのだろう。若者のチャレンジャーとしてのその気持ち、分からないでもない。

しかし、アマチュア時代から有望選手を見出し、目を掛け、そしてプロとしてやっていけるまでの体力や技術を身に付けさせ育成してきた関係者にとっては、さあこれから我がチームの看板選手として活躍してもらおう、と思った矢先にサヨナラされる訳で、掛けてきた愛情の分だけ落胆も大きい。また、先行投資が回収できない、というビジネス上のマイナス面も指摘されている。日本のプロ野球は米大リーグの草刈り場になっていると揶揄されているし、今回佐々木選手を送り出した千葉ロッテマリーンズからは愚痴とも取れる様な話が洩れ聞こえていて、送り出す側としては複雑な思いもあるようだ。とは言え、定められた制度に則ってやられている訳で、恨みつらみをどこかにぶつけることも出来ないでいる。ただ、そのやりきれない気持ち、良く分かる。

実は、天邪鬼ゆえかもしれないが、若者が次々と都会に出て行き、人口減に拍車を掛けている厳しい現状が報じられることの多い地方に住んでいると、人口動態が発表される度に、日本プロ野球界のやりきれなさと同じ様な気持ちにさせられるのだ。子供を産み育て、苦労して大学まで出しても、華やかな都会の生活にあこがれるのか、やりたい仕事が生まれ育った地元には無いのか、入りたい会社が都会にしかなかったのか、理由は様々だとは思うが、生まれ育った田舎を出て都会に移り住む若者が多い。それこそプロ野球の新人選手ではないが、やっと一人前になってさあこれからという段になると、親元を離れ都会に出て行く。幸いにも、4人いる我が家の子供たちは、転勤族が一人いるにはいるが、全員都会の雑踏が苦手で敢えて都会に住みたいとは思わないらしく、そうした悲哀を味合わないで済んでいる。

悲哀を味わうのは親ばかりではない。その地域の行政などもそうだ。親元を離れることは必然だとしても、働き手が増えずに減る一方な訳で、当然税収も減る。様々な公共サービスを受けて子育てをしてきたのに、そのサービスを持続させるための税収が先細っていく。働き手が減る、ということはそういうことである。埼玉県の八潮市で起きた道路の陥没事故、どうやら老朽化した下水道の破損が原因らしいと報じられている。こうした公共施設の更新にも多額の費用が掛かるというのに、働き手が大都会に出て行き税収が先細っていく地方自治体は、どこと言わず頭を悩ませている。

1月31日、総務省が2024年の人口移動報告を発表した。それによると、転入者数が転出者数を上回る「転入超過」は、東京都が79,285人で最多だったという。細かな人数はともかく予想通りである。(https://www.stat.go.jp/data/idou/2024np/jissu/youyaku/index.htm
詳しく見ると、「転入超過」となったのは、東京圏に大阪府と福岡県を加えた7都府県だけである。では、我が石川県はどうだったか。4,176人の転出超過だったとある。2024年元日に発生した能登半島地震の影響があるとはいえ、全県人口(約110万人)の凡そ0.4%も多く出て行ってしまった事になる。これに出生と死亡を加味した自然減を加えれば、トータルで減少した人口はもっと多い。何とも頭の痛い問題である。

しかも、2月1日の北陸中日新聞朝刊の1面には、もっと悩ましい記事が載っていた。能登半島地震で被災して県外の公営住宅に暮らす避難者への石川県の意向調査で、回答した176世帯のうち4割を超える78世帯が、「石川県には戻らない」と答えたというのだ。高齢や就労がその理由らしい。恐らく、転出していった人の理由の多くは就労だったのだと思う。しかし、賃金や華やかさだけに注目するのではなく、“暮らしやすさ”だとか“自然や文化的な豊かさ”だとか、金銭では計れない魅力が地方には満ち溢れている。今、インバウンドで地方に訪れている外国人観光客の方が、その魅力に気が付いているような気がする。日本の地方、まだまだ捨てたもんじゃない!このインバウンドによる賑わいをヒントに、夢を追いかけ出て行った若者を地方で夢を実現させるために呼び戻す、そんな夢ある企てをしようぜ!


【文責:知取気亭主人】


我が家の2階から見た景色(今シーズン最強の寒波だという)
我が家の2階から見た景色(今シーズン最強の寒波だという)

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.