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知取気亭主人の四方山話
 

『ひどすぎないか?』

 

2025年2月26日

小生のお気に入り料理のひとつに、天ぷら蕎麦がある。中でも“野菜のかき揚げ”が乗っかったやつには目がない。野菜ではないが、30年程前に静岡の国道1号線脇で食べた桜エビのかき揚げ蕎麦も美味かったなぁ。『次は?』と問われれば、海老の天ぷら(以下、海老天)だろうか。甲乙つけがたいが、野菜の天ぷらもイカなど魚の天ぷらも大好きだ。こうしてみると、天ぷらと蕎麦、相性抜群の組み合わせだと思う。蕎麦アレルギーの人には申し訳ないが、国民食のひとつだと言って良いだろう。

凡そひと月前、そんな大好きな天ぷら蕎麦を昼食にしよう、ということになった。勿論、もろ手を挙げて賛成だ。しかも、贅沢にも、生活協同組合(以下、生協)で取り寄せた冷凍の海老天があるという。『これだよ』と見せられたのは、見るからに美味しそうな色と形、そして結構立派なサイズの海老天だ。これを豪勢にも、「2匹もいっちゃおう」というから堪らない。もう食べる前から期待は膨らむ一方だ。

ところが、である。台所で海老天を乗せ、ドンブリを食卓に運び、『さあ、いただきます!』と食べ始めようとしたところ、卵色の美味しそうに見えた衣がぷかぷかと浮かんでいる様に見える。「アレッ何かおかしいな?」と海老の尻尾を箸でつまみ引っ張ると、ズルズルと脱皮でもするかのように衣から抜け出てくる。その様子にも驚いたが、抜け出てきたその身のあまりのか細さにビックリ仰天だ。『これが海老か?』と二度見してしまう程やせ細っていて、とても海老には見えない(添付写真参照)。まるで、“刺身のつま”として時々付いてくるハジカミに見える。生協への信頼は結構高かったのに、「ひどすぎないか?」と一言言ってやりたい気分だ。勿論、大量に厚着された衣は、脱ぎ捨ててしまった。

ただ、この手のインチキ、20年ほど前友人と川原でバーベキューをやった時に。教えられたことがある。どこで覚えたのか、器用に海老天のインチキ嵩増し術を手ほどきしてくれた。親指と人差し指で海老の身を挟み、ギュッギュッと押し伸ばし衣で隠せば、“小さな海老”でも“大きく立派な海老”に変身させられる、というのだ。成る程上手いこと誤魔化すものだとその時は感心したのだが、いざ自分が騙されると、腹が立つ。ただ、厚い衣を脱がされげっそりとやせ細った海老を見た瞬間、あまりの違いに、怒るのを忘れ笑ってしまったのも事実だ。その一方で、「ひどすぎないか?」との思いもなかなか消えず、今でも我々夫婦の間では、このフレーズが時々笑い話として登場している。最近では、日常の枠を超えて国際的な出来事にも引っ張り出している。皆さん察しが付くと思うが、世人では想像しがたい、トランプ大統領のお騒がせ言動だ。

彼の大統領、常識という言葉が通用しない御仁だけに、常識にとらわれ過ぎる嫌いがある我々小市民からすると、「ひどすぎないか?」と思うことばかりだ。メキシコ湾をアメリカ湾へと呼称を変えたり、パナマ運河の返還を要求したり、グリーンランドを売ってくれと突然言い始めたり、友好国だと思っていたカナダやメキシコへの高関税を吹っ掛けたりと、就任直後からやりたい放題だ。相手を無視している様に見えるそのやり方に、『ドラえもん』の中のジャイアンに重ねて見ている人も多いだろう。

アニメの中のジャイアンは、理不尽が衣をまとったキャラクターに描かれている。トランプ氏も似た様なもんだ、という訳だ。だとすると、これまでが平穏だからと言って、日本も決して安心できない。取り敢えず石破総理との会談は、日本側からすると合格点を貰えた様にも見えるが、これからどんな問題を吹っ掛けられるか、ハラハラドキドキの状態が続く。早速「自動車の関税を25%に引き上げる」とぶち上げられ、何とか適用除外を取り付けようと躍起になっているが、さてどんな風に落ち着くのか、固唾を飲んで見守っている。

こうした貿易に関する交渉も厄介だが、世界の多くの人々を驚かせているのは、“パレスチナのガザ地区での戦闘”と、24日で3年目に突入した“ロシアによるウクライナ侵略戦争”における、停戦交渉の仲介役としての彼の突飛な言動だ。名乗りを上げたまでは格好良かったのだが、聞こえて来るのは、当事者双方の意見を尊重し聴くのではなく、どちらか一方に肩入れしているやりたい放題のジャイアンそのものだ。しかも、肩入れしているのが、人道的にも世界的な秩序から言っても、多くの国や組織が守らなければと思っている国や地域ではなく、理不尽な事をしている方に肩入れしていると受け取られる言動ばかりで、世界の指導者たちもあっけに取られている状態だ。隠しマイクをオンにすれば、『何とも非常識で、ひどすぎる!』の怒りの声が、至る所から聞こえてくるだろう。

しかし、こんな事がいつまでも許されるものではない。やがて時を経ずして、世界の国の指導者たちから総スカンを食い、意気揚々と集まった大統領スタッフたちの中からは、「もうやってられん!」と離脱していく者も次々と出てくるだろう。それでもジャイアンがそうであるように、トランプ氏も恥や外聞など全く気にしないのだろうな、と思う。これから4年間、世界は彼に振り回されるしかないのだろうか?


【文責:知取気亭主人】


海老の惨めな姿
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