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2025年4月16日
そんな経験をしたのは、もう随分前になる。机に向かったまま寝落ちし、握られていた鉛筆で不思議な模様を描いた事だ。大学受験に頑張っていた頃とか、繁忙期に仕事の報告書を手書きしていた頃だとか(最終的には和文タイプライターで清書するのだが)、ワープロが出回る前だから、40年とか60年とか半世紀前後も前の事だ。寝不足のまま鉛筆を持ち机に向かっているといつの間にか居眠りしてしまい、それまで書いていた文字とは一変、ミミズが這ったような、記号でも絵文字でも勿論文字でもない摩訶不思議な文様が描かれている事が度々あった。時には、ご丁寧に、寝落ちする前に書いた文字の上にわざわざ重ね書きしたのではないかと思わせる様な、がっかりするようなこともあった。
特に、文章を書き連ねることの多い報告書の場合は悲惨だった。重ね書きした箇所を消しゴムで消すと前の文章も消さねばならず、また半分眠っている頭で作業を再開すると、前何を書いていたのか明瞭に思い出せず、ダブルでミスを犯すこともあった。如何せん、手書きは手間暇が掛かる。手書きだとたった一文字の削除や挿入でさえ難儀をし、ましてやパソコンの様にコピーペーストすることが出来なかったから、何度も下書きをして“これで良し”と判断した段階で清書していた。したがって、それをミミズが這ったような意味不明の線で上書きしてしまうのだから、ビックリするやらガッカリするやら、目が覚めた時のショックは中々のものだった。
そこにいくと今は、作業中に寝落ちしてしまっても、余程の事がない限り被害は軽微で済む。例えば、文章を打っている時に眠ってしまうと、指が置かれたボタンの文字や記号が連打されている事が多い(小生の場合は“N”が多い)が、これはデリート機能を使えば瞬時に消すことができる。そういう意味では、ショックは意外と少ない。ただ、桜が咲く今の季節、遠い昔から「春眠暁を覚えず…」と言われている様にぐっすりと眠れるし、冬の疲れが出たのか昼間でも寝落ちをする人は意外と多い。小生も食事の後にいつの間にか座ったまま寝てしまったなんて事がちょくちょくあるが、小生の場合は、恐らく歳のせいもある。
彼の場合も、寄る年波には勝てず、スマホを持ったまま眠り落ちてしまったのだろうか。小・中学校以来の友人A君のことだ。先日、A君からショートメールが送られてきた。良く使う連絡手段だ。しかし、内容が良く分からない。最初送られてきた吹き出しに、二文字が書かれている。「さゆ」と。彼からそんな愛称で呼ばれたこともない。また、呼んだこともない。「何だ?」と訝しんで、送信者を再確認すると、間違いなくA君だ。「はて、どういう意味だろう?」と頭を悩ませていると、続けて第二段が送られて来た。ぱっと見、今度はタイトル付きの文章なのか、俳句ほどの長さがある。
しかし、である。タイトルと思しき単語も、俳句だと一瞬思い込んでしまった文章も、何度読み返してもまったく意味が掴めない。ユーモア溢れる彼のことだから、回文の様に何か意味を含ませているのかなと想像し、あれこれ頭を巡らせてもチンプンカンプンだ。スマホの画面を家内に見せ、『どういう意味か分かる?』と訊いてみた。
すると「数独」や「パズル」が好きな彼女、『ある特定の文字だけ抜いたら、意味の通じる文章になるんじゃない?』と、さすがのヒントをくれた。ところが、である。回らぬ頭を必死に捻っても、さっぱり解らない。お手上げだ。「こりゃダメだ」と断念して、A君にどういう意味なのか直接聞くことにした。本人に電話をかけたのだ。ところが、電話の向こうで彼は、予想に反して至って平常に受け応えする。どうやら、寝ぼけても酩酊もしていない様だ。ただ、どんな文章を送ったのか覚えていないらしい。それどころか、送った事すら覚えていない様子だ。どんな文章を送ったかよく見る様に伝え、電話を切った。やがて返ってきた文章が振るっている。何と、本人も意味が解らないというのだ。送った本人が解らなければ、受け取った小生などに解る筈がない。
スマホでの文章入力は(小生にとっては)パソコンに比べて少々煩雑だから、誤操作だとは考えにくい。考えられるのは酔っぱらって半分意識がなかったか、それとも殆ど寝落ち寸前だったのか、そのどちらかではなかったか。その後、この難問を解決するためにあれやこれやと頭を悩ませたが、結局埒が明かなかった。どなたかこの謎解き、解決してもらえないだろうか?
因みに、A君とやり取りしたショートメールのスクリーンショットを添付しておく。
【文責:知取気亭主人】
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