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知取気亭主人の四方山話
 

『気持ち悪い!』

 

2025年7月2日

「十人十色」という慣用句がある。好みや考えなどは人によって異なるものだ、という意味で使われる。好みが高じて没頭するようになると趣味とも呼ばれる様になるのだが、この慣用句、特にそんな趣味の領域のことを端的に言い表しているような気がしている。その趣味、本当に十人十色で、色々な趣味の方がいる。切手や古いオモチャなどを集める、収集家と呼ばれる人などは結構多い。子供の頃から続けている昆虫採集や標本作りが趣味、という人も良く聞く。或いは体を動かすのが趣味の人もいて、野球やサッカー、或いはランニングなどに日々汗を掻いている人も結構多い。鉄道が趣味と言う人も良く聞く。俗に言う、「撮り鉄」、「乗り鉄」などと言われる鉄道ファンだ。

また、日本のような小さな島国でも、1億2千万人もいると“へーッ”と驚く様な趣味の人もいる。以前、世界各国の栓抜きを集めている人がテレビで紹介されていたし、先日は感動を与えてくれた世界の著名人のお墓を訪ね歩きお参りする、そんな人も紹介されていた。例えばドストエフスキーとかベートーベンだとか、夏目漱石だとかである。そうした世界に趣味の場を持つ人に比べれば、小生の“ぐい飲みを集める”なんて道楽は可愛いものである。また、買い物が趣味とか、食べるのが趣味とか、料理が趣味とか、料理を乗せる食器を集めるのが趣味だとか、日々の生活に密着した事柄を趣味にしている人も結構いそうだ。パッと思い付くまま挙げても、直ぐにこれだけ思い浮かぶ。十人十色、その慣用句通り、人それぞれ多種多様の趣味を持っている。

ただ、多種多様の趣味があっても、時々「撮り鉄」の人達がマナー違反をして鉄道の運行に支障が出たなどとやり玉にあがるぐらいで、総じて趣味の世界に没頭する人達は他人に迷惑を掛けることはあまり無い、そう思っていた。ところが、どうやら自分たちの欲望を満たすために、他人に迷惑をかけるどころか、趣味の域を逸脱し犯罪に手を染める輩がいて驚いている。それも、何とも言い難いほどの悪趣味だ。「気持ち悪い!」とさえ思う。そんな眉をひそめたくなってしまう趣味の連中が逮捕されたとの報道があり、世の親たちの怒りを買っている。呆れた事件として大々的に報じられているから皆さんご存じだと思うが、範を示すべき現役の小・中学校の教師が女子児童の下着などを盗撮し、SNSのグループに共有した疑いで逮捕された、というからビックリ仰天だ。趣味と言うにはおぞましい、何とも腹立たしい不愉快極まりない事件である。

それにしても、現役の教師が、守るべき児童をこともあろうに盗撮していたというのだから、何とも信じられない。それこそ、子供たちは誰を信じたら良いのだろう。この事件では、名古屋市の小学校教師・森山勇二容疑者と、横浜市の小学校教師・小瀬村史也容疑者が逮捕された、と報じられている。さらに驚かされるのは、森山容疑者が管理していたとみられるSNSグループには、幾つもの盗撮動画や画像が共有されており、そこに参加していた約10人のメンバーがいたというのだ。まるで秘密クラブだ。しかもそのメンバーは、全員が現役の小・中学校教師らしいと報じられていて、『何破廉恥な事やってんだ!』と腹が立ってしょうがない。驚きのあまり言葉も出ない。ここまで教師の質が落ちてしまったのかと、情けなくなってしまう。

現役の教師が、盗撮犯を捕まえたのならいざ知らず、自らが盗撮をしてその写真を仲間と共有して楽しんでいたというのだから呆れる。どう言い訳を考えても異常だ。写真を見てニヤついている姿を想像しただけで気持ちが悪い。同じ教育関係者のショックは勿論だが、それ以上に深刻なのが児童や保護者に与えたショックで、その影響は計り知れない。森山容疑者は子供たちに人気の先生だった、というから尚更だ。

今回のこの事件のことを子供たちにどう伝えたら良いのか、保護者の複雑な心情を考えると、こちらも一緒に頭を抱えてしまう。学校の中で信頼されるべき教師が信じられないのだから、子供たちにとってそんな不幸なことはない。保護者としても、『何かあったら先生に相談するんだよ』と、自信を持って言い切れないのは何とも辛い。さりとて、『先生を信じちゃだめだよ!』、なんてとても言えない。また子供たちの人気だけで、「あの先生は〇、あの先生は×」、なんて単純に評価することも出来ない。それは今回の事で思い知らされたはずだが、ではどう対応したら良いのだろう。小学生と言えば、人間形成の途上で、他人との信頼関係を構築する大事な機会なのに…。

子供たちに人気があったということは、「子供が好きだから教師になって、好きが高じて必要以上に関心を持つようになり、今回の犯罪に至った」、ということなのだろうか。だとすると、どこでも起こり得る、ということだ。しかも、小学生のうちは、人間形成の過程として、身近にいる人を疑うよりは信じることが優先される様にプログラムされているのではないかと思う。それを、学校の中で最も信じられるべき教師が裏切ったのだから、罪は重い。子供たちの心の傷も深い。しかも、芋づる式にまだまだ出てきそうな気がしている。そうならないことを祈るばかりである。


【文責:知取気亭主人】


アジサイ
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