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知取気亭主人の四方山話
 

『遊びの流儀』

 

2025年7月23日

7月20日、参議院選挙の投開票が行われた。結果は、メディアで大々的に報じられている様に、自民党と公明党の連立政府与党が惨敗し、衆議院に続き参議院でも過半数割れとなってしまった。予想通りの結果と言ってしまえばそれまでだが、「落選」という厳しい現実を突きつけられた与党の元議員さんたちは、仲間も含め自分達が蒔いた数々の火種の大きさに今更ながら驚いているに違いない。しかし、取り返しのつかない事をしてしまった、言ってしまった、と悔やんでももう遅い。因果応報とはよく言ったものである。

そうした自民・公明に比べると、一挙に党勢を拡大したのが国民民主党と参政党だ。どちらの政党も若者たちなど現役世代から支持を得た、と報じられている。SNSなどを使った今どきの選挙運動も功を奏した、と言われている。両党の主義主張に賛成できるかどうかはともかくとして、若者たちの政治への無関心さ、投票率の低さが懸念されている昨今、若者たちが政治に関心を示す切っ掛けとなるなら、両党への関心の高さは大いに結構だと思っている。無関心よりよほど良い。対抗する反対勢力も声を上げる様になるだろうから、議論は活発になる。何しろ、街頭インタビューを聞く限り、この国の将来が不安になってくるほど、政治に対して無関心な若者が多い。そうなってしまったのは、信頼を失った政治の責任だし、我々年寄りの責任でもある。その反省の意味も込め、そうした若者が、今回の選挙をきっかけに、少しでも政治に関心を示すようになってくれることを切に願っている。

と、お堅い話でスタートしたが、今回の選挙の論点として挙がっていたのは、「物価高対策」や「少子化対策」など、至極当然ながら現役世代が抱えている課題対策がメインだった。我々後期高齢者世代に対して、「墓場までの残された時間をどうやって充実したものにさせるか」などを熱く語る候補者も政党も、誠に遺憾ながら皆無であった。ひそかに期待していたのに…。このご時世、勿論そんな政治家も政党もあろうはずもない。冗談だ。ただ、我々老人といえども、現役世代と同様に、日々の生活はしている訳で、せめて残された“天国からお呼びがかかるまでの時間”は充実した生活をしていたい、と思うのが人情だ。そうなると、どうやって充実させるかというのが重要なカギとなってくる。

投開票日の翌日(21日)、そのカギを自ら作り出し、充実した生活を見事体現している人生の先達に会った。一人はこの四方山話でも度々登壇してもらっている御年90歳の従兄、もう一人は今年80歳になったという従兄の遊び仲間である。二人とも、静岡県の西部地方、周智郡森町三倉という山間の小さな集落に住んでいる。公共交通機関に見放された、俗に言う限界集落の住人である。ただ二人とも便利さとは無縁の山間の集落に住んでいることを逆手にとって、残された時間を思い切り楽しんでいる。当落の喧騒とは無縁の、楽しんで生きるってこういうことなんだ、を垣間見させてもらった。幾つになっても、遊びを楽しむ童心を失わないでいる。そこには、彼らならではの「遊びの流儀」がある。

限界集落だけあって、集落を出て行く人は絶えないらしい。必然的に放棄される畑も多い。そうした畑の一部を利用して、二人して200本余りのブルーベリーを植え、育てている。無農薬で育てていて、もいでそのまま食べられると笑う。初めてだろうからと連れて行ってくれた(写真-1、2)。小さなポリバケツを手渡し、『取れるだけ取れ!』とはっぱをかける。畑の周りには鹿よけの柵はあるが、上空にネットはない。『ムクドリやヒヨドリなど、鳥たちと共存してるよ』と笑う。『昨日は、子供たち20人ほどが来て、ふかふかの畑に大喜びして木の間を駆け回っていた』と嬉しそうに話してくれる。ブルーベリー狩りを催して、現金収入に加え、街の人達との交流も楽しんでいるらしい。

写真-1(ブルーベリー畑) 写真-2(上の方は、これから本格的に熟す)
写真-1(ブルーベリー畑)
写真-2(上の方は、これから本格的に熟す)

無農薬と言えば、ブルーベリーやお茶もそうだが、地域で一番早く導入したキウイフルーツも無農薬で栽培していて、以前から『皮のまま食べられるよ』と教えてくれていた。そのキウイ畑も案内してくれた。キウイの柵下は涼しいので、暫く前から避暑も兼ねて少しずつ摘果(てきか)している最中だと言う。確かにたわわに実っている(写真-3)。果肉の色が緑、黄色、赤の3種類を栽培していて、もう少し摘果した後袋掛けをするのだそうだ。熟したかどうかはハクビシンが教えてくれるから、収穫時機を逸したことはないという。『だから、少しだけハクビシンにも分け前をやっている』と大らかに笑う。実に上手く共存している。

こうした遊びと実益を兼ねた色々なチャレンジを、従兄は“イタズラ”と面白がって言う。いつも電話口で『もう少しイタズラしていく』と笑う声は若々しい。自然に逆らわず、無農薬で栽培し、人の喜ぶ顔を見る、そして童心に帰って自分たちが一番楽しむ、それが従弟たちの遊びの流儀だ。憧れるなー!


【文責:知取気亭主人】


写真-3キウイ
写真-3キウイ

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