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2025年8月6日
暫く前から、妻が韓国と中国のテレビドラマにハマっている。韓国のものは「韓流(はんりゅう)ドラマ」ともてはやされて久しいが、中国ドラマもここ十数年ほど前から随分放映される様になってきているらしい。妻曰く、どちらも日本ドラマにはない良さがいっぱい詰まっていると言う。そんな妻のお勧めもあって、小生も1年程前からチョコチョコ見る様になって来た。見続けると不思議なもので、やはり続きが気になってしまう。気に入ったドラマだと、『○○を観ようぜ』と、妻を急く様な時さえある。そうした中、今ドはまりしている中国ドラマがある。「WOWOW」で配信されている、中国歴史ドラマ『三国志〜司馬懿(しばい) 軍師連盟〜』(以降、『司馬懿』)だ。
何故ドはまりしているかと言えば、もう随分前になるが横山光輝の漫画で『三国志』を読んだことがあり、断片的ではあるが大まかな内容が記憶の片隅に残っていて、ドラマの内容について大筋理解し易いからだ。したがって、フィクションの部分が多いと知りつつも、記憶を再確認する作業を意外と楽しめている(8月4日現在、まだ放映中)。夫婦のあり様も、今更ながらに勉強になる。
また、丁度その頃の日本と、お隣の中国や朝鮮半島との意外に活発だった交流を、ほぼ同時進行で読んでいた本から知ったことも大きい。今までもやもやとしていた、その頃我々の先祖はどのような暮らしをしていたのか、加えて日本を含めた東アジアの様子がどのようなものであったかなど、何となくだが想像できるから面白い。ドラマ『司馬懿』の時代背景となっている中国で魏・呉・蜀の三国が覇権を争っていた頃、「魏志倭人伝」に登場している様に日本は想像以上に海外にも目を向けていて、他方お隣の朝鮮半島はこんな時代だったんだと。その本とは、『新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権』(NHK出版 2025)である。
副題にある様に、本書は、邪馬台国やヤマト王権の調査・探求を主題とした本である。邪馬台国、いまだにどこにあったのかその所在地さえ特定されていない、考古学や歴史ファンにとってはロマン溢れる響きである。本書は、そうした謎解きに加え、当時の中国や朝鮮半島との繋がりまで言及している。そうした知識を頭の隅に置いてドラマ『司馬懿』を観ていると、「こんな強国と交渉していたのか」と思えてくる。何となくではあるが、「国としての体を成していなかったのではないか」と思っていた当時の邪馬台国が、ところがどっこい、実は想像以上に文化的にも経済的にも進んでいたのではないか、と思えてきた。
そして、外洋を安全に航行できる大型の船も無く、航海術も未発達だった古代(弥生時代と呼ばれる時代)にあっても、結構活発な外交が行われていたことが読み取れる。現代の複雑な国際情勢の中において行われている丁々発止の外交交渉が当時も行われていたのかと思うと、日本という国の黎明期を支えてきた人達がなんだかとても愛おしくなってくる。当時も現代の為政者たちと同じ様に、何とか自国を存続させようと頑張っていたんだな、と感心してしまうからだ。
本書に「古代日本と東アジアの動き」と題する興味深い表がある。この表を見ると、卑弥呼が活躍した時代前後の日本と中国、そして朝鮮半島がどんな時代であったかが良く分かる。そして、その卑弥呼が「親魏倭王」の称号を得る凡そ180年も前、今から凡そ二千年も前に、「日本の王が後漢に朝貢した」とあるから驚きだ。朝貢したからには、「大陸(恐らく大陸という概念がもう既にあったのではないかと思う)には大国があって、ここの王様に挨拶しておかなければいずれ攻め滅ぼされる」との情報が、「倭の奴国王」には届いていたことになる。すさまじい情報収集力だ。
そんな事を想像すると、これまでの教育現場では弥生時代や古墳時代など資料が乏しい時代を一括りにしてしまってきているが、中国や朝鮮半島と同様に、もっと細かな区分けができるのではないだろうか、と思えてしまう。本書は、そんな思いを強くさせてくれる内容でもあった。また、古代から東アジアの結びつきが強く、物質的にも、人的にも、勿論経済的にも、活発な交流が行われていたことに確信を持てたのは、とてもよかった。古代日本史を学び直すにはもってこいの本だ。いずれにしても、歴史ファンならずともぜひ手に取っていただきたい、お勧めの一冊である。
【文責:知取気亭主人】
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「新・古代史 グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、 ヤマト王権」
【著者】 NHKスペシャル取材班
【出版社】 NHK出版
【発行年月】 2025/1/10
【ISBN】 9784140887356
【頁】 272ページ
【定価】 1,078円(税込)
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