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知取気亭主人の四方山話
 

『明るくなるってこういうことか!』

 

2025年9月17日

前話で予告したように、今回は先月末に受けた眼の手術&入院の話題を提供したい。8月25日から同29日まで、白内障と緑内障の手術を受けるため入院した。既に経験していた知り合いに聞くと、白内障の手術は日帰りでやる病院が多いという。ところが、両眼ともに手術を受けることからなのか、掛かりつけ医から紹介された中核病院では、端から入院する前提で話が進められた。或いは、緑内障の手術も併せておこなうことからなのかもしれない。いずれにしても、確たる理由は定かでないが、4泊5日の入院・治療を受けた。恥ずかしながら、これで三年連続して手術・入院をしたことになり、妻や家族に心配かけっ放しだ。健康には自信があったのに…。

白内障の手術は、年寄りの間では良く聞く手術で、亡くなった母は二度受けたし、長女の嫁ぎ先のお母さんも暫く前に受けたという。受けた年齢はまちまちだが、友人・知人でも結構な数の人達が受けている。今回の執刀医や掛かりつけ医曰く、白内障の手術は完成された手術だという。『だから安心して下さい』とも言う。とは言え、目玉を取り出して本人の知らないところで治療する訳ではないから、どう考えても眼を見開いたまま手術を受ける訳で、瞳孔を開くなど何らかの処置をして執刀するとしても、眼に鋭利なメスなど手術器具が近づいて来ることを想像するのは、あまり良い気分ではない。全身麻酔ではないから寝ている間に終わっているということでもなく、何となくゾクッとする。

それはともかくとして、白内障とは、カメラに例えればレンズの働きをしている水晶体が濁ってしまう病気だ。今回の治療に当って渡された、岩手医科大学医学部眼科学講座教授 黒坂大次郎氏監修の『白内障の手術を受ける方へ 病気と検査について』(興和株式会社 2023)(以下、小冊子)によれば、水晶体が濁ると、@「かすんで見える」、A「見えにくい」(視力の低下)、B「まぶしく感じる」といった症状が現れるのだという。確かに小生も数年前から@とAを痛感していて、昨年受けた運転免許更新検査では、通過ギリギリの視力だった。手術前には、細かなテレビの文字はぼやけて殆ど読めなくなっていた。

そんな状態を案じた掛かりつけ医が、手術を勧めてくれた。水晶体と言っても水晶のような固い物質がある訳ではなく、円盤状の袋(嚢)の中にゼリー状の物質(皮質と核)が詰まっているのだという。簡単に言うと、白内障の手術は、嚢の中からこの濁ったゼリー状の物質を取り出し、代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)入れて行うものだ。よくよく考えると、小生にとっては、昨年心臓に入った牛の筋膜由来の大動脈弁に続いて、二つ目の人工物との入れ換えとなる。我が身が少しずつサイボーグ化されていく…、なんて冗談はさて置くとして、この手術による効果は想像以上だった。

手術の数週間前に『手術を受けると明るくなってまぶしく感じるから、術後に使って』と長女夫婦がサングラスを贈ってくれた。「明るくなる」とは経験者たちから良く聞かされていたが、一回目の手術翌日に、早速その気配りの有り難さを実感した。入院して三日目、27日のことだ。前日に左眼の手術を受けていて、27日は、“左眼が術後”、“右眼が手術前”、いわゆるビフォー&アフターの状態で、安静を保つべくベッドで寝ていた。夕方になり左眼の眼帯が取れた状態で、ボーっと天井を見ていた。そして何気なく、片方の眼を手で覆い隠し、交互に見比べてみた。するとどうだろう、術後の左眼で見ると天井板は白いのに、右眼で見ると、黄砂が舞っている景色を見ている様に薄い肌色に見えるのだ。その見え方の違いは明白で、まるで下の写真の様だった。

下の写真は、2枚ともほぼ同じ場所からほぼ同じ金沢市内の遠景を写したものだ。ただし、撮影時期は違う。写真-1は黄砂で霞んでいるが、写真-2は霞みもなくクリアに見える。まさに27日に見た病室の天井は、写真-1が手術前の右眼、クリアに見える写真-2は術後の左眼の見え方そのものだった。この見え方の違いを知った瞬間、『明るくなるってこういうことか!』と、いたく納得した次第である。

写真-1,まるで術前の見え方(ビフォー) 写真-2,術後の見え方(アフター)
写真-1,まるで術前の見え方(ビフォー)
写真-2,術後の見え方(アフター)

お蔭で、両目の手術が終わった現在、これまで掛けていたメガネは、度が強すぎて使えなくなってしまった。視力が安定するまでにひと月ほど掛かると言われていて、それまでは、引っ張り出して来た古い眼鏡に頼るしかない。でも、有難い話である。

さて最後に、緑内障の手術についても、簡単に触れておく。病院から手渡された手術に関する説明・同意書によれば、「緑内障とは、眼内を灌流している房水の排出がうまくいかなくなるために眼圧が上昇し、視神経が圧迫されて次第に委縮し、視野欠損が生じ、続いて視力が低下し、最終的には失明する病気」と説明されている。今回受けた手術は、房水の排出を促進するために、ごく小さなデバイス2本を流出路に挿入したものだ。既に委縮してしまった視神経が回復する訳ではないが、眼圧が下がることで、これまで処方されていた目薬を点さなくても良くなる可能性がある。実際、術後2週間目の検診では当該目薬を点さなくても下がっていることが確認されている。「死ぬまで大丈夫!」と掛かりつけ医からは言われているものの、下がったまま安定してくれると嬉しいのだが…。


【文責:知取気亭主人】

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