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知取気亭主人の四方山話
 

『杜甫先生、どうしよう?』

 

2025年9月24日

先日15日の北陸中日新聞朝刊(以下、新聞)1面に、「敬老の日」にちなんだ記事が載った。総務省が14日に公表した人口推計によると、65歳以上の高齢者人口が3619万人となり、総人口に占める割合が29.4%と過去最高を更新したというのだ。この割合は人口4千万人以上の国々の中でトップだ、とも記されている。ただ、トップだからと言って単純に喜んではいられない。長寿自体は、使われている「寿」の漢字の通り、喜ばしいことだとは思う。しかし、総人口の凡そ3分の1もが小生の様な年寄りだと考えると、行く末が心配になる。実際、小生が住む団地やその周りでは、最近子供の声がめっきり聞かれなくなって来た。寂しい限りだ。日本と違って子供や若者が多く活力みなぎる発展途上国が、何とも羨ましい。このままだと、日本の国はやがて活力が失われ衰退の一途を辿ってしまうのではないか、と不安になってくる。

しかも、新聞の記事に掲載されている1950年から2025年までの高齢者数の推移を表した棒グラフを見ると、65歳以上の高齢者数のうち後期高齢者と呼ばれる75歳以上の人の割合が、2010年辺りから半分以上を占める様になってきているのが分かる。大雑把に言えば国民の15%が75歳以上、ということになる。小生もその中の一人だが、必然的に国民全体の平均年齢がどんどん上がって来ているのだ。

毎年生まれてくる子供の数が減り続けている現状を考えると、この傾向はますます顕著になっていくことは疑いの余地がない。新聞によると、国立社会保障・人口問題研究所は、今から15年後の2040年には高齢者の割合が総人口の34.8%、人口で言えば3928万にも達する、と推計しているらしい。65歳以上の割合が、15年後にはついに3分の1を超えてしまうのだ。予想されていたこととはいえ、「たった15年後で!」と知るとショックだ。その上、高齢者は、年金、医療など、ほぼ全員が社会保障制度にお世話になる。実際、小生も年金を貰っているし、加えて74歳から毎年入院している。そうしたお世話になる人口が今後増え続けるということを考えると、現状の社会保障が成り立たなくなるという恐ろしい社会のクツ音が、徐々に大きくなってきているように感じられる。

もう随分前から少子高齢化問題が国の重要課題として俎上に上がり、「いずれ日本の社会保障制度は立ち行かなくなる、そんな時代が遅かれ早かれやってくる」と叫ばれてはいたが、効果的な対策が打たれないままここに来てしまった。少子高齢化が進むほどに、たくさんの働き手で高齢者1人を支える「おみこし型」から少人数で支える「騎馬戦型」へ、そしてやがてはほぼ1人で支える「肩車型」へと移行していくと言われている。今はもう既に、「騎馬戦型」になってしまっているらしい。しかも、騎馬の後ろで支える2人は徐々に減って1人に、その1人も一人前の活躍は期待できないほどに体力が衰えてしまっているらしい。行き着く抜本的な対策は少子高齢化にブレーキを掛け逆戻りすることなのだが、今メディアを賑わしている自由民主党の総裁選、候補者たちがどこまでその重要性を認識しているのか、小生に投票する資格はないものの関心を持って見守りたい。

さて、そんなお堅い話は置くとして、今から1300年ほど前、中国は唐の時代に活躍した杜甫は、「人生七十古来稀なり」と詠ったと言われている。「古稀」の謂われである。当時の中国では、齢70を迎えられる人は稀だったとみえる。ウィキペディアによれば、杜甫自身は712年に生まれ770年に没したとされているから(日本では奈良時代に当たる)、58歳で亡くなったことになる(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%9C%E7%94%AB)。だとすると、当時は確かに「人生七十古来稀なり」だったのだろうな、と思う。

ところが、今の日本はどうだろう。日本人の平均寿命は、女性は87歳を、男性は81歳を超え、男女とも70歳を超えるのは珍しくなくなっていて、もう「人生七十古来稀なり」なんて言えないのだ。77歳を祝う「喜寿」や80歳を祝う「傘寿」でさえ、喜ばしいことに半数の人が体験することになる。新聞の「おくやみ欄」に載る人たちの年齢は、今や70代後半以上が多くを占める。時には、100歳を超えた方もおいでる。そうすると、杜甫が詠んだのと同じ様に「古来稀なり」と言えるのは、現代では何歳を指せばいいのだろう。

平均寿命以上で長寿の祝いとされているのは、88歳の「米寿」、90歳の「卒寿」、もっと長生きすれば99歳の「白寿」や100歳の「紀寿(百寿とも)」、もっともっと長生きすれば120歳の「大還暦」などがある。ただ、日本人の過去の最高齢の方でも、正式には「大還暦」を迎えた方はおいでないとされているから、さすがに「大還暦」は対象外とすべきだろう。すると、残るのは「米寿」、「卒寿」、「白寿」、「紀寿」だが、さてどれを「古稀」相当に選ぶべきなのだろうか。どうでも良い事だが…、でも難しい。杜甫先生、どうしよう?


【文責:知取気亭主人】


紫式部(40歳前後で亡くなったらしい)
紫式部(40歳前後で亡くなったらしい)

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