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2025年10月15日
今、日本の科学界が久しぶりに脚光を浴びている。ノーベル賞受賞者が2人も出たからだ。大々的に報じられていたから皆さんご存じだとは思うが、坂口志文氏が生理学・医学賞を、北川進氏が化学賞を受賞した。「最近の科学技術分野において、日本は他の先進諸国に比べ何となく後塵を拝しているのではないか」と思っていただけに、胸のすく快挙だと言ってもよい。受賞の対象となった功績は、生理医学賞の坂口氏が、「制御性T細胞」と名付けられた、“免疫のブレーキ役を果たす細胞”があることを突き止め、その細胞をつくり出す遺伝子も特定したことだ。一方、化学賞を受賞した北川氏は、多孔性金属錯体を開発したことが評価されての受賞だ。
当然のことながら、どちらも聞きなれない専門用語が並ぶ。それらの詳しい説明は、報道機関の情報にお譲りしたい。小生が説明しようとすれば、どのみち新聞記事やネット情報の受け売りになってしまうからだ。小生にとってはどちらの分野も門外漢で、授賞理由を理解しようと報道記事をどんなに丁寧に読んでも、「へ〜ッ」と驚くばかりである。ただ疑問だけは自由に持てる、ということで今回の話題に入っていきたい。実は半月ほど前、免疫に関してある疑問が生じ、掛かり付け医に血液検査してもらったことがある。「免疫のブレーキ役」が関与しているのかどうかは知る由もないが、高齢者に発症することの多い“帯状疱疹”について、小生の発症可能性について知るため、抗体検査をしてもらったのだ。
先月の下旬、長女夫婦から電話があった。老夫婦の様子を気に掛けて孫の声を聴かせてくれる、いつもの定期便だ。いろいろな話の中で、婿殿に帯状疱疹が出てまだ完治しておらず時々痛くなる、と心配するような事を言う。よく聴くと、三叉神経に出たため、時折顔半分や頭半分が痛くなるのだという。ただ、我慢できないほどではないらしい。
それを聞いて少しは安心したのだが、帯状疱疹は高齢者に出ることが多いと聞いているのに、婿殿はまだ50代と若い。実際、『俺、帯状疱疹になっちゃった』と連絡をよこす友人・知人は、高齢になってからが圧倒的に多い。そんな連中に比べると、婿殿は体格も良いし、体力もばっちりありそうに見える。だとすると、「帯状疱疹は、免疫力が落ちた時に、昔罹患した水痘のウイルスが再び暴れだすことによって発症する」との話だから、よほど免疫力が落ちていたのではないだろうか。声を聞くと元気そうだが、詳しい状況が分からずなんとなく心配だ。
もう10年近くも前の事だっただろうか、帯状疱疹を発症した友人の話によると、「痛みで夜も眠れないほどだった」というから恐ろしい。婿殿はそれほどではなかった様だが、『お父さんもお母さんも気を付けてくださいよ』と気遣ってくれる。その言葉を聴いた家内が『私は暫く前にワクチンを打ったから大丈夫、安心よ』と応えていたのだが、これまで少々のんびり構えていた小生は少し焦りを感じてしまった。同世代に比べまだ体力はあるつもりだったのだが、昨年夏に受けた弁膜症の手術以来、「なんだか少し体力が落ちてきたかな?」と感じることが増えてきているからだ。
しかも、以前家内が帯状疱疹のワクチン接種を受けた時に、『あなたも打ったら?』と誘われたのだが、『俺水痘に罹った記憶がないから大丈夫じゃないかな?』と自信あり気に断っていた。ところが、婿殿たちと電話をしているうちに自信がなくなってきた。断っておくが、別段注射が怖いわけではない。ただ、発症確率が低いのなら打つ必要はないだろう、と思っているだけだ。そんな時、会話の中で長女が発した一言が、『オオ、それがあったか!』と気付かせてくれた。『ワクチン打つ前に血液検査をして抗体を調べれば、水痘に罹っていたかどうか判るよね』の一言だ。確かに、そうすれば不確かな記憶も確定できる。という訳で、早速掛かり付け医に行ってきた。
事の次第を説明して、血液検査をしてもらった。待つこと一週間、検査結果が出てきた。担当医は、『見事に抗体ありましたよ』と言う。検査項目の表記だと、「VZV−G−EIA」となっている。初めて見る検査項目だ。VZVは「水痘・帯状ヘルペスウイルス」を指すらしい。また、「G」とか「EIA」は、検査の方法を指すらしい。渡された「検査結果リスト」によれば、この検査項目の基準値は「〜2.0」とある。それに対する小生の検査結果は、“9.7”と記されていて、基準値の5倍近くある。小生の曖昧な記憶は見事吹っ飛ばされた。
残念ながら、『5倍近くもあるから今のところ帯状疱疹には掛からないでしょう』とは言ってもらえなかった。期待していたのに。果たして、この抗体たちは今でも役目を果たしてくれているのだろうか。水痘ウイルスに対する免疫力を保持しているのだろうか。それとも、坂口志文氏が解明したように、免疫のブレーキ役となる「制御性T細胞」によって密かにその能力は抑え込まれてしまうのだろうか。
ネット情報『帯状疱疹.JP BIKEN』(https://taijouhoushin.jp/prevention/)によれば、帯状疱疹は、50代から発症確率が上がり始め80歳までに3人に1人が罹ると言われる病気らしい。しかも、後遺症が残る場合もあるという。何とも厄介な病気だ。検査をお願いした掛かり付け医には『80歳になったらワクチン接種します』と格好よく見栄を切ってはきたものの、まだ3年半もある。免疫細胞頑張ってくれ!
【文責:知取気亭主人】
コリウス(シソ科)
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