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2025年10月22日
時々思い出したように使っている例え話に、「茹でガエル現象」というのがある。カエルはいきなり熱いお湯に入れられるとビックリして逃げだすが、水の状態から入れられて徐々に暖められていくとお湯になったことに気付かず、やがて茹でガエルになって死んでしまう、そんな残酷な説話を意味する言葉だ。その説話からの教訓として、「自分を取り巻く環境の変化が穏やかだった場合、変わって行くことに気付かず、気付いた時には致命的な状況に陥ってしまっている場合が多いから気を付けろ」という意味でよく使われる。周りの環境への慣れに注意しろ、という意味合いもある。本のタイトルにも使われていたが、それに関連するビジネス書も出版されている。
ビジネス書に取り上げられるように、仕事をしていく上での教訓としてよく耳にする言葉だ。しかし、仕事関連でなくても、我々が日々生活しているとそれとよく似たことを経験する。取り返しのつかない致命的な失敗でなくても、「あの時気が付いてこうしておけば、或いはああしておけば良かった!」と反省することなどがそうだ。例えば、健康診断で「メタボですね」と診断されたら、徐々に不健康への道を進んでいるにも関わらずその変化に気付かず、「もう少し運動しておけばよかった」とか、「おやつのあの間食を止めとけばよかった」とか、健康診断結果のシートを見つめながらため息をついたお仲間も多いことだろう。血糖値の高い方も、尿酸値の高い人も、血圧の高い人も、似たような反省を度々していることだろう。健康診断の鋭くも有り難い指摘は、「このままいけば間違いなく致命的な状況に陥るから気を付けろ」を言ってくれているのに、茹でガエルになってしまってからでないと事の重大さに気付かない典型事例だ。恥ずかしながら、かく言う小生もその一人だ。他人事のように聞こえるかもしれないが、困ったものである。
気付いたら「茹でガエル」になってしまっている原因は、とりもなおさず“周りの環境への慣れ”だ。慣れなければちょっとの変化でも気付く筈なのに、慣れてしまうと気付いた時には大変な事態になっている、そんな事が多い。そうした事は、仕事や健康に関してばかりでなく他の事でも言えそうだ。示唆に富んだ言葉だからどんな世界でも通じるとは思うが、我々国民の生活に深く関わり、国家のかじ取りを担う政治の世界でもこうした訓話がそのまま通用しそうで、正直驚いている。
いまだにメディアを賑わしている自民党の総裁選挙後のドタバタを見ていると、そんな風に思えてくる。第1党であっても単独で過半数に達しないのは明らかなのに、手を携える相手がなかなか決まらなかった。大衆劇場として気楽に楽しむだけだったらいいのだが、我々の生活に直結する重要事案だけに、ずっと気になっていた。4日の投票から2週間たった20日になって、やっと「日本維新の会」との「連立政権樹立に合意した」と報道されている。その報道に呼応するかのように、株式市場は大きく値を上げたらしい。
そうした歓迎ムードがある一方で、自民党と長年手を携えて数々の難しい政局を乗り切ってきた「公明党」が、見事なほどすっぱりと袂を分かった。自民党は、「我々と長年一緒にやってきたのだから今回も一緒にやってくれる筈だ」と、高を括っていたきらいがある。自民党にすると青天の霹靂だったようだが、考えようによっては、その自民党自身が気付かないうちに茹でガエルになってしまっていたからではないか、そう思えてしまう。勿論、「公明党」より「日本維新の会」との連立政権の方が良い、との意見もあるだろう。しかし、26年という年月は決して短くはない。これまで、無理を押しての選挙協力もあっただろう。
ただ、先の選挙で与党が大敗し、その原因の一つである裏金問題に国民の多くが拒否反応を示していることを、相方の公明党は重く受け止めたのに、肝心の自民党の方は甘く考えていたのではないか。そんな風に考えると、自民党は「茹でガエル現象」にはまってしまったカエル、ということができる。選挙には負けたのに「石破首相はやめる必要がない」との声があったのも、「これまでとは何か違う環境の変化」だった筈だ。しかし、これまでずっと一緒にやってきたからという慣れや慢心がそうしたものを見落とし、今回のドタバタ劇に繋がったのではないかとみている。もしそうだとすれば、慣れというのは恐ろしいものである。
これを書き終わろうとしている21日、「自民党の高市早苗総裁が衆参両院の本会議で第104代首相に指名された」と、報じられている。テレビ報道番組のコメンテーターの意見を聞いていると、女性初の総理大臣として期待する声が多いように感じている。それ自体は大変結構なことだと思う。ただ、国内や国際における環境変化を敏感に感じ取れる、尚且つその変化に柔軟に順応できる、そんな政治を行ってもらいたいと切に願っている。決して茹でガエルにだけはなってもらいたくない。そう思いながら、高市首相誕生のネットニュースを読んでいる。
【文責:知取気亭主人】
栗(もうすぐ食べられそうだ!)
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