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知取気亭主人の四方山話
 

『大相撲とMLB』

 

2025年11月26日

23日の日曜日、令和7年(2025年)納めの九州場所(11月場所)が終わった。3敗同士、横綱豊昇竜と関脇安青錦による優勝争いは、大変見ごたえがあった。関脇安青錦の初優勝で幕を閉じたが、優勝決定戦までもつれ込んだこともあって、3敗で並んでいた横綱大の里の“まさかの千秋楽休場”というアクシデントを軽く呑み込んでしまうほどだった。まだ21歳、しかも戦火のウクライナから来日して僅か3年、初土俵から僅か所要14場所、今年の3月場所で入幕を果たしたばかりなのに早くも優勝など、幾つものサクセスストーリーがあって、安青錦人気はうなぎ上りだ。

幕内に入ってからずっと負け越し知らず、それどころか入幕以来4場所連続で11勝を挙げ、番付を一度も落とすことなく関脇まで一気に駆け上ってきたのだから凄い。そしてどうやら、大関昇進もほぼ間違いないらしい。まさに出世街道まっしぐらだ。これまで以上に安青錦人気に火が付くのは間違いない。両横綱や不惑の年を超えても衰えを知らぬ玉鷲など、人気力士はあまたいるが、その徹底した相撲スタイルや、大男の中では小兵に入る体格(182cm、140s)なのに体格で勝る力士をも土俵に転がしてしまう、そんなところが判官贔屓(ほうがんびいき、はんがんびいき)の日本人にはたまらないのではないかと思う。いずれにしてもニューヒーローの誕生だ。相撲界にとっても願ってもないことだ。

今、大相撲は結構人気があるらしい。今回の九州場所も連日大入り満員だったという。それは、土俵上を回る懸賞金の旗の多さからも分かる。家内はその数に興味を示していて、『この取り組み〇〇本だったよ、凄いね〜!』と言っては、驚いている。小生などもっと現実的に、勝ち力士が両手で受け取る懸賞金の袋の束を見ては、思わず懸賞金額を計算している。そして、下手をすれば年金を遥かに上回る金額に、夫婦で顔を見合わせて再び驚きの声を上げている。何とも平和な一瞬だ。この懸賞金、いったい幾ら懸けられ、力士の懐にはいったい幾ら入るのか、残念ながら小生の懐に入るわけではないが、興味が湧いて調べてみた。

日本相撲協会の公式ホームページによれば、土俵上を回るあの懸賞金の旗は1本7万円とある(https://www.sumo.or.jp/IrohaOther/kensho/)。その内勝ち力士に入るのが6万円で、残りの1万円は日本相撲協会(以下、協会)の手数料として差し引かれるらしい。そして、15日間で15本(105万円)を基本とし、贔屓であっても1回の取り組みに掛けられるのは最大で5本まで、という決まりが書かれている。神事であるためなのか、結構細かな規定が設けられている。相撲人気もあって、今回の九州場所だけで2,177本の懸賞が懸けられたという。都合、15,239万円、約1.5億円という計算になる。仮にこの金額が全6場所懸けられたとすれば、6場所合計の賞金総額は、約9億円になる。ただ、これを一人の力士が総取りするわけではなく、それぞれ懸賞が懸かった取り組みの勝ち力士がもらう訳なので、小生は意外と少ないな、と感じている。

また、懸賞以外の給与に当たるものは、いろいろな手当てを別にして基本給として支給されるのが、最高位の横綱でさえ300万円だという。30代半ばあたりで引退する世界であることを考えると、もう少し高くてもいいような気がする。ましてや、米大リーグ(MLB)の一流どころの年俸を聞くと、一年10数億円の選手などざらにいて、ビックリしてしまう。一線で活躍できる実働年数がほぼ同じだと考えると、大相撲にはもう少し夢があっても良いような気がする。ただ、地上波のテレビ中継はNHKだけ、しかも15日間が6場所、都合90日だけの放送では放映権もそう高くはないだろう。加えて入場料収入だって、レギュラーシーズンだけで162試合もあるMLBには遠く及ばない。

そうしたこともあってなのか、今年のロベルト・クレメンテ賞に選ばれたムーキー・ベッツ選手のように慈善事業に熱心なお相撲さんをあまり聞かない。NHKが主催し日本相撲協会が後援して開催される「NHK福祉大相撲」と名付けられたチャリティーイベントもあるが、お相撲さんが個人的に関わっているという話は聞いたことがない。「相撲は神事」という伝統的な考え方があって、一連の所作はもちろんのこと、言動も厳しく指導されているのに違いない。とは言え、子供たちに夢を与え、多くの国民に応援してもらわなければいけない。そこで、個人が難しいのなら協会で、と考えてみた。

今の懸賞金は、勝ち力士の総取りとなっている。そこで、負け力士も貰えるように新たな懸賞金枠を作ってみてはどうだろうか。「慈善金」とするのはどうだろう。慈善事業だから協会は手数料を取らず、2万円を負け力士に渡す。そして、残りの5万円は協会で積み立て、場所終了後小学校の給食費の補助として寄付する、というアイデアはどうだろう。食べて体を作るのが相撲取りの基本だから、食に関する慈善事業が良いと思う。何らかの形で「慈善金」を出した企業団体の名前が公表できれば、その企業団体のアピールにもなっていいと思うのだが…。

爺の白昼夢でした。


【文責:知取気亭主人】


優勝おめでとう(富山のかまぼこ)
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