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知取気亭主人の四方山話

『脳トレ』

2026年1月21日

昨年末から、時々思い出したように脳トレをしている。立ち寄った百均の店で脳トレ本を見つけ、これに挑戦しているのだ。言わずと知れた、認知症対策だ。「『どうあがいても手の施しようがない』と言われる前に何とかしなくては!」との思いを常々持っていたのと、百均の店に抱いていたイメージに似合わない商品だっただけに、陳列棚の中でひときわ目立って見えた。そして、「人や物の名前がなかなか出てこない“度忘れ症状”がこれ以上酷くなったらどうしよう」と思い始めていたところもあって、すぐに飛びついたという次第だ。

本のタイトルは、『毎日脳活 最新30日30種 脳ドリル』(分響社)とある。妻が好んで取り組んでいる、幾つも並んだ九つのマスに1〜9の数字を重複することなく当てはめていくゲーム、いわゆる「ナンプレ」の本と違い、タイトルの通り30日分すべて違うゲームが用意されている。くだんの“ナンプレ”もあれば、よく見かける“間違い探し”もあるし、ちょっとひねった“計算問題”もある。例えば“足し算引き算がひらがなで表記された計算問題”などがあって、暗算に手を焼いてしまった。勿論、漢字に関する問題もいくつか用意されている。同じ漢字を使う四種類の二字熟語の共通漢字を当てる「二字熟語クロス」とか、二字熟語の反対の二字熟語を書き出す「反対語発見クイズ」など、同じ漢字問題でも多岐に亘っていて、なかなか工夫されている。

中でも励みになるのが、全ての問題に目標時間が設定されていることだ。問題によって異なるのだが、五十代までなら15分、六十代だったら20分、七十代以上は30分とかである。私はと言えば、五十代を遥かに凌ぐ速さで回答できたと思えば、七十代の目標時間を超えてしまう問題もある。単なる得手不得手なのか、脳の部位によって衰え方が違うのか、原因は定かでないが、とにかく面白がって取り組んでいる。

そんな中、あえて脳トレ本を買ってこなくても脳トレは日常生活の中でもできるな、と気が付いた。特に最近、そんな事案に恵まれている。例えば、四文字熟語の「大義名分」を考える、或いは推測するというトレーニングだ。そんな脳トレ問題を出してくれたのは、我が日本国の政治家たちだ。

19日の月曜日、高市総理が衆議院の解散を表明した。既に永田町界隈は騒々しくなっていたが、これで一挙に選挙モードに突入となる。こうした選挙絡みの話題が、脳トレにもってこいなのではないかと気が付いたのだ。高市総理は、諸々の思いがあって解散の決断を下したのだろう。しかし政治に疎い我々からすると、「ついこの前参議院選があったばかりなのにまたか!」との思いが強い。しかも、緊張感が高まっている日中問題や、トランプ大統領の予測不可能な外交に振り回されている世界情勢、そして国内では物価高騰問題など問題が山積していて「選挙にかまっている場合ではないだろう」との声が大きい。そんな中での解散・選挙だ。だとすると、賛否はともかくとして、国民が納得できる大義名分が必要だと思う。それを考えるだけで、結構な脳トレになる。

考え・楽しめる大義名分は、高市総理の解散・総選挙の決断だけではない、これまで意見の隔たりがあった立憲民主党と公明党が手を組み新たな「中道改革連合」を結党するという決断にも、そして大阪府知事と大阪市長が共に辞任して「維新の会が訴える大阪都構想」の是非を問うとした決断にも、どんな大義名分だったらより多くの人達が納得するか考えるのも必要だろう。本来は当事者たちが考え発表するものなのだろうが、ここは“勝手連”ということで、好き勝手な考えを楽しみたい。

高市総理の解散表明会見を聴いた。さすが総理になるだけあって上手いことを言うものだと感心する。そして「高市政権も維新の会との連立政権もまだ国民から信任を得ている訳ではない、したがってこの選挙で信を問いたい」との趣旨を発言した。でも意地悪爺さんからすると、「世論調査による高い支持率は信任の証ではないのか」と思えてしまう。発言からは、「高い支持率の今だったら自民党は勝てる、勝って過半数を握り、自らが思う重要政策を実現させたい」の本心が窺える。分からないでもない。でも、どうも大義名分とは言い難い。こうした状況を五文字熟語で表すならば、「永田町論理」とでも言えるだろうか。

「中道改革連合」発足のケースはどうだろう。別々の党が一緒になるということ自体は、新党結党を批判している自由民主党自体も「自由党」と「日本民主党」が一緒になって結党したものだから(1955年)、昔から行われてきたことでそんなに不思議ではない。ただ、今回の場合の大義名分はどこにあるのだろう。意地悪爺さんとしては、腑に落ちる説明が欠けているように思う。水面下で交渉していたのかもしれないが、「泥縄では?」の疑問は払拭できない。このケースで浮かぶのも、やはり「永田町論理」だ。

最後は、知事と市長が共に辞任して選挙に臨む維新の会のケースだ。これこそ、大阪府民にとっては訳の分からぬ選挙で、「大義が分からない」とボヤいている人達が多い、との記事も見かける。国政選挙ではないからこじつけの気がしないでもないが、“政治家の独特の論理”という意味では、このケースも「永田町論理」の見本みたいなもの、と言えるだろう。

選挙絡みの脳トレ、聞いたことがあるような五文字熟語で“落ち”としたいが、一向に腑には“落ちてこない”。これこそが「永田町論理」、なのかもしれない。


【文責:知取気亭主人】


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