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2026年2月25日
様々な情報で溢れかえる昨今のメディア。インターネットが普及する前に比べると、必要な情報を得るのが随分便利に、そして極めて楽になった。インターネットの環境さえあれば、欲しい情報はいとも簡単に入手できるようになってきたからだ。楽すぎて、そんな環境に慣れてしまうのが怖いぐらいだ。情報源が紙媒体とテレビ、そしてラジオ頼りだった昭和の時代とは隔世の感がある。ただその分、溢れかえる情報の中から真実を見極め、必要で適切な情報を取捨選択するのは、ますます難しくなってきている。また、これまで主に情報の受け手だった一般読者が情報発信の側に立つこともできるようになり、これまで以上にモラルが求められている。
そんな中、新聞やテレビなど最近のあらゆるメディアを席巻しているのが、AI(Artificial Intelligence)の二文字だ。AIの文字を見ない日はない。過去には、「人工知能(AI)がチェスの世界チャンピオンに勝った」とか、「将棋のトップ棋士に勝った」とかが話題になったこともあったが、今はもうそんなレベルではないらしい。コンピューターの進化がこれほどの速さで進むとは、「鉄腕アトム」を子供たちのヒーローにした手塚治虫先生もビックリされているに違いない。また、半世紀以上も前の1968年に映画化された『2001年宇宙の旅』(アーサー・C・クラーク著 伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫 1993)の中に出てくる、人工知能をもつ計算機「HAL9000」は、今のこの状況に、『遅かったじゃないか、待ちくたびれたぞ!』と檄を飛ばしているかもしれない。
とにもかくにも、AIの進化スピードは凄まじい。最近では、生成AIなるものが出てきて、学術論文にも多大な影響を与え始めているらしい。AIが書いたものなのか、提出者本人が書いたオリジナルのものなのか、そんなところにも神経を使わなければいけない状態だというから嘆かわしい。合成写真など得意中の得意、絵も漫画も、さては作曲さえもあっという間に手掛けてしまうらしい。贋作などお手の物なのだろう。便利さを通り越して、何とも恐ろしい時代になったものである。
とは言え、最早AIの利用は避けては通れないだろう。あらゆる場面で登場してくるに違いない。だとすれば、臆するのではなく、積極的に利用していくことを考えた方が良い。もっと言えば、AIを有効利用することで安全で豊かな生活を送る、そんな素敵な未来が描けたら最高だと思う。が、それには利用する人間側の人間力が問われることになる。果たして、過去の歴史に学べない我々人間が、AIを幸せなツールとして有効利用することができるのだろうか。それとも、過去何度も失敗してきたように、不幸な階段を駆け下りてしまうのだろうか。今がまさに正念場のような気がする。
そんなことを考えていたら、ちょっと閃いてしまった。AIに感情がない分、いろいろな審査や採点にはうってつけではないかと。ちょうど今、閉幕したばかりのミラノ・コルティナ五輪に関して、スノーボードのハーフパイプやフィギュアスケートなどの採点をめぐって、ネット上で「えこひいきだ!」とか「ありえない点数だ!」とか辛辣な意見が飛び交っている。これだ。
夏のオリンピックでも言えることだが、演技点や芸術点などと呼ばれる採点項目が入る競技種目は、我々素人が見ていても良く分からない。純粋に、「美しい演技だな!」とか「凄い技だなー!」とかは思う。しかし、他の選手と違って明らかな失敗を犯さなければ、素人目には同じように素晴らしい演技に見える。『この点数の違いは何?』と問われても、『何となく』としか答えようがない。
そこでお薦めなのが、AI搭載の採点機(以下、AI採点機)だ。これまで撮りためてある、オリンピックや世界選手権、或いはワールドカップなど、世界各地で開かれた主要大会でのトップ選手の競技映像を学習させれば、忖度の無い公平な採点ができる筈だ。減点方式ならばなお分かりやすい。映像と共に、「この失敗で−△.△点」と表示すれば、選手もコーチも熱狂的な応援団さえも納得するだろう。
ただ、「あの国の採点者はおかしい!」などと、既に先入観を持ってしまっている人もいるだろう。また、どの国で製造されたものか、製造した国にこだわる人もいるだろう。そうしたことを考慮すると、AI採点機は今と同じように複数の国から選ぶべきだろう。そして、大会ごとにAI採点機の評価を評価項目ごとに見える化して、恣意的な採点が多いと判断されたものは次の大会には採用しない、とすればどうだろう。少しは疑念も晴れるだろう。そうした条件を整備したうえで採用すれば、選手やスタッフ、加えて熱狂的な応援団も、皆納得すると思う。それでこそ、選手の血の滲むような努力も報われるというものだ。
ということで、将来採用されるかもしれないAI採点機に、前もってエールを送っておこう。『ええ塩梅(AI)で採点して!』
【文責:知取気亭主人】
「2001年宇宙の旅〔決定版〕」
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【著者】 アーサー・C. クラーク 著
伊藤 典夫 訳
- 【出版社】 早川書房
- 【発行年月】 1993/2/23
- 【ISBN】 9784150110000
- 【頁】 352ページ
- 【定価】 1,430円(税込)
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