|
2026年3月4日
いつの頃からなのか記憶は定かでないが、恐らく新型コロナウイルスが流行りだした頃から、我が家では空気清浄機がフル活動している。中でも冬場は、エアコンによる乾燥を防ぐ目的で加湿も併せて行っていて、風邪やインフルエンザなど、感染症対策の一助として大変重宝している。加えて、部屋の中がどのような状態であるか見える化されているので、結構気に掛けるようになってきた。例えば、湿度については「50」とか「60」のように数値で示してくれるので、加湿用タンクの水切れに注意を払うようになった。一方空気清浄機能については、湿度のような数値による表示機能は無いが、代わって、部屋の空気の汚れ具合を、緑、黄、赤の三色で示してくれる。単純だが、安全、注意、危険の目安としては十分使える機能だ。
尚且つ、隣の部屋の仏壇で線香をたいても早々に緑から黄に変わるから、汚れの感度としてはそこそこあるのだと思う。また、いたずら好きの長男が空気清浄機に向かっておならをした時など、たちまち真っ赤になり、家族一同大笑いしながらも反応の良さに感心したものだ。こうした身近な実験結果からも、それなりの性能の機械だと信頼を置いている。この空気清浄機のように、目に見えないものや見えにくいものを“見える化”してくれると、とても分かりやすい。同じ緑、黄、赤で言えば、交通信号はその最たるものだ。世界中の国で利用され、人々は恩恵にあずかっている。その一方で、見える化されたものの、あまり利用されず、しかも恩恵にあずかりたくないものもある。「世界終末時計」だ。
「世界終末時計(Doomsday Clock)」は、核戦争や気候変動、生物学的脅威などにより人類が滅亡する危機までの残り時間を見える化したものだ。1947年に米国の原子爆弾開発・製造に携わった科学者たちが原子爆弾によるリスクを警告するために「7分前」から開始したもので、その後気候変動などのリスクも加わり、今年1月の発表では過去最短となる「残り85秒」に更新されている(https://www.bbc.com/japanese/articles/c1502x9v7qdo)。我々人類に残されているのは、最早たった85秒だというのだ。
そう言われても、小生も含め日本に住む我々にはそれほどの危機感は無い。太平洋戦争終戦以後比較的平穏に過ごせていたことに加え、自らが求めなければ、「世界終末時計」にお目にかかることなど殆ど無いからだと思う。メディアで取り上げられることも殆ど無い。折角先人が知恵を絞って見える化し、世界共通認識として扱われても良い筈なのに、残念ながらこの「世界終末時計」、世界標準となった交通信号機ほど注目されていないし利用されていないのが実情だ。特に為政者たちにとっては、「世界終末時計、それなぁ〜に?」という感じなのではないだろうか。
ロシアによるウクライナ侵攻以降(以後、ウクライナ侵攻)、世界情勢に疎い素人目にも“戦火が世界に広がる言い様の無いきな臭さ”を感じている。しかも、世界各地の紛争は止むどころか逆に増えている様にすら感じる。一挙に世界大戦へ拡大する懸念はともかくとして、紛争周辺国への戦火拡大の緊張が高まってきているのは、誰の目にも明らかだ。中東のガザ地区では戦火が止む気配もないし、アメリカ軍によるベネズエラ大統領の拉致も記憶に新しい。そして、タイとカンボジア、インドとパキスタンの紛争も火種は残ったままらしい。また直近では、「2月27日未明にパキスタンがアフガニスタンを空爆した」との報道があった。更に我々の身近なところでは、いまのところ武力衝突には至っていないものの、日本と中国の関係は冷え切ったままだ。
そんな張り詰めた空気の中、パンパンに膨らんだ風船への一刺しではないかという暴挙が行われ、世界を震撼させている。米国とイスラエルによるイランへの空爆だ(現地時間で2月28日)。予告されていた攻撃だとは言え、「世界終末時計」はまた一歩終末に向けて進んでしまったのではないか、と心配になってくる。その心配を裏付けるかのように、ネットニュースには、「イランの報復攻撃によって中東の同盟国が被害を受けたとして、イギリス、フランス、ドイツの首脳が、イランに対し防衛的措置を取るとの警告の共同声明を出した」との記事が載った。当事国以外への拡大が懸念される事態だ。更に3月3日、「フランスのマクロン大統領が自国の核弾頭を増やすと表明した」との報道がネットニュースに載った。本当に嫌な方向に進んでいる。先の空気清浄機になぞらえれば、真っ赤になるほどのきな臭さだ。
こうしたきな臭さを「世界終末時計」の残り時間を使って、もっとアピールできる方法を取り入れて一層の見える化はできないものだろうか。例えば、スマホを立ち上げたら必ず「世界終末時計」が表示されるようにする、なんて方法はどうだろう。地球儀と共に残り時間を表示し、残り10分を切ったら黄色、5分を切ったら赤、1分を切ったら赤が激しく点滅する、そんな方法もインパクトあると思う。とにかく、今人類はそうした危機に瀕しているということを知らしめること、そしてそれを人類の多くが共有することが、危機を回避するための第一歩だと思う。突拍子もないアイデアだろうか?
【文責:知取気亭主人】
蕗の薹(平和の芽を見つけよう!)
|