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2026年8月5日
魚には、浮袋を備えたものと、備えていないものがいるという。2日に放送されていたNHKのラジオ番組「子ども科学電話相談」の請け売りだ。多くの魚は浮袋を備えているが、ハゼなど海底で生活しているグループは、浮き沈みをする必要が無いので、浮袋は退化して無いのだという。また、深海に棲むグループにも浮袋を持たない種がいるらしい。調べたところ、サメにも浮袋が無い。体を支える骨が比重の軽い軟骨(海水よりも僅かに重い程度で、硬骨魚類の約半分程度)でできていることや、肝臓に蓄えられた大量の油(比重は海水や真水よりも軽く、体重の凡そ1/4〜1/5ほどもある)によって、浮袋の代わりを果たせているのだという。同じ海中という生活環境なのに、浮袋を得たグループとは異なる進化を遂げているのは興味深い。また肺魚に代表されるように、浮袋ではなく肺を持ったグループもあって、元々のこうした肺が進化して浮袋になった、と考えられているらしい。それぞれの生き残るための選択だったとは言え、随分と違う道を辿ったものである。
浮袋が無いグループの話は一旦置いておくとして、浮袋のあるグループが空気を体に取り入れる方法も、興味深い話だった。鯛や鱈などが鰓(えら)から取り入れるのに対して、鯉や鮒など主に淡水に棲む魚は、水面から口を出して空中から直接取り入れるのだという。ここにも、進化の方向性に違いがあって、面白い。ただ、どんな進化を辿っていようとも、「子孫を何とか残そう」との思いの結果であることに違いはなく、営々と続けてきた気の遠くなるような進化の積み重ねと、そしてその英知には驚くばかりである。結果的には、その時々の環境に適合できたものだけが、今生き残っている。
この様に、生物が生き残っていくためには、周りの変化に適合していく事が必要不可欠だ。それは、堺屋太一(1935−2019)がその著書『組織の盛衰』(PHP研究所 1993)で書き表したように、人間が創り出した組織や仕組みにも当てはまる。組織や仕組みは、まるでか弱い生き物のように、極めて敏感に環境変化の影響を受ける。したがって、組織や仕組みを衰えさせない為には、周りの変化や不測の事態に対応できるように準備を怠らないこと、そしてPDCA(Plan Do Check Action)のサイクルを回し続けること、そんな思考と行動が必要だ。そうした思いを強くさせるショッキングな出来事が、つい先日あった。先月28日に発生した「令和8年熊本地震」だ。
報じられている様に、28日16時27分頃、熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生した。ほんの10年前にも大きな地震に見舞われたのに、再び火(肥)の国が大きく揺れた。またもや最大震度7を記録し(宇城市、氷川町)、大きな被害が出ている。熊本県の発表によれば、4日午後2時時点で死者38人、傷病者102人、避難者は7,646人に上るという。中でも、ニュース映像を観ていて目を疑ったのは、「イオンモール熊本」で起こった爆発事故だ。爆発した瞬間の威力も、爆発後の惨状も、想像を絶するものだった。一瞬、15年前に発生した「東日本大震災」の時の福島第一原子力発電所事故を思い出してしまった。
この爆発事故、地震直後には、「かなりの人数が閉じ込められているのではないか」との報道もあって、相当な数の被害者が出るのではないかと案じていた。結果的には、専門店の従業員7人が亡くなり、26人が怪我をしたという。亡くなった方やケガをされた方、そしてその関係者の方々には大変心苦しい表現になってしまうが、「利用客だけで約3,000人、加えてスタッフが1,300〜1,500人もいたとされるのによくこれだけで済んだな」というのが正直な思いだ。それは取りも直さず、完ぺきではなかったものの、イオンの危機管理マニュアルがそれなりに機能していたからだと思う。いわゆるBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)がしっかりと整備され、そしてそれに基づく訓練が確実に行われ、更にPDCAのサイクルがしっかり回されていたからだろう。
とは言え、大惨事を招いてしまったのも事実だ。報道されている通りLPガスの漏れが原因だとして、なぜガス漏れを防げなかったのか、どうして安全装置が働かなかったのか、徹底的な検証が必要だ。そして、二度と同じような事故が起こらない様に、二重三重の安全対策を講じ、BCPに反映させること、それが当事者企業に課せられた課題だと言える。また、イオンは「マニュアル上、避難した客や従業員が店の中に戻ることはない」と説明していたにもかかわらず、なぜそれが徹底されなかったのか、これも徹底的な検証が必要だ。いずれにしても、今回のこの教訓を生かさなければ、亡くなった方も浮かばれない。
繰り返しになるが、人間が創り出した仕組みであるBCPも、変化に適合できなければ陳腐化していくのは、生き物と同じだ。いざという時に役立つには、進化し続けることが必要不可欠だ。爆発のニュースを聴いてそんな思いを強くした。ただ、イオンの社長の真摯な説明を聴けば、「この事故を教訓により進化したBCPに生まれ変わるだろう」と素直に思う。期待しよう。国を挙げて、他の施設や組織への水平展開も、きっとやってくれるだろう。そして、二度と似たような事故は起こさない、そうなってほしいものである。
最後になりましたが、亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、 被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、一日も早く心安らかな生活が戻りますことを願ってやみません。
【文責:知取気亭主人】
ザクロの実(まだ未熟ですが…)
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