土壌汚染対策法の中では、次表に示すように25種類の有害物質が指定されている
(アルキル水銀は、「水銀及びその化合物」の一つとして扱っている)。
各々の特定有害物質は、表中の用途にも示したように我々が社会生活を営む上で極めて身近な商品として、あるいは身近ではないが重要な役目を担う商品として存在している。
この他に、土壌汚染対策法では特定されてないが、水質汚濁防止法で定める「要監視項目及び指針値」(平成5年3月)で特定している物質もあるのでそちらも参考にすると良い。
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特定有害物質 |
基準値※1 |
主な用途※3 |
地下水基準
(1リットルにつき) |
土壌基準※2
(土壌1kgにつき) |
カドミウム及びその化合物 |
カドミウム0.01mg以下 |
カドミウム150mg以下 |
合金、電子工業、電池、めっき、顔料、写真乳剤など |
六価クロム化合物 |
0.05mg以下 |
六価クロム250mg以下 |
酸化剤、めっき、触媒、写真、漁網染色、皮なめしなど |
シマジン |
0.003mg以下 |
− |
農薬(除草剤)など |
全シアン化合物 |
シアンが検出
されないこと |
遊離シアン50mg以下 |
めっき、試薬、触媒、有機合成、蛍光染料、冶金、燻蒸消毒剤など |
チオベンカルブ |
0.02mg以下 |
− |
農薬(除草剤)など |
四塩化炭素 |
0.002mg以下 |
− |
フロンガス原料、消化剤、溶剤、脱脂洗浄剤、ドライクリーニングなど |
1,2-ジクロロエタン |
0.004mg以下 |
− |
塗料溶剤、洗浄、抽出、殺虫、塩化ビニル中間体など |
1,1-ジクロロエチレン |
0.02mg以下 |
− |
溶剤、医薬など |
シス-1,2-ジクロロエチレン |
0.04mg以下 |
− |
溶剤、医薬など |
1,3-ジクロロプロペン |
0.002mg以下 |
− |
農薬(殺虫剤)など |
ジクロロメタン |
0.02mg以下 |
− |
溶剤、冷媒、脱脂剤、抽出剤、消化剤、局所麻酔剤など |
水銀及びその化合物
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アルキル水銀 |
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水銀0.0005mg以下
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検出されないこと |
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水銀15mg以下
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− |
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電解電極、金銀の抽出、水銀灯、計器、医薬、顔料など |
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農薬、医薬、有機合成など |
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セレンおよびその化合物 |
セレン0.01mg以下 |
セレン150mg以下 |
半導体、光電池、鋼材の防食被覆、特殊ガラス、乾式複写機感光体など |
テトラクロロエチレン |
0.01mg以下 |
− |
ドライクリーニング溶剤、原毛洗浄、石けん溶剤、その他の溶剤など |
チウラム |
0.006mg以下 |
− |
農薬(殺菌剤、害虫の忌避剤)など |
1,1,1-トリクロロエタン |
1mg以下 |
− |
溶剤、金属の常温洗浄、塩化ビニルデン原料など |
1,1,2-トリクロロエタン |
0.006mg以下 |
− |
溶剤、金属の常温洗浄、塩化ビニルデン原料など |
トリクロロエチレン |
0.03mg以下 |
− |
金属表面の脱脂洗浄、羊毛の脱脂洗浄、香料抽出、冷媒、殺虫剤など |
鉛及びその化合物 |
鉛0.01mg以下 |
鉛150mg以下 |
合金、はんだ、活字、水道管、鉛ガラス、ゴム加硫など |
砒素及びその化合物 |
砒素0.01mg以下 |
砒素150mg以下 |
半導体製造、殺虫剤、農薬など |
ふっ素およびその化合物 |
ふっ素0.8mg以下 |
ふっ素4000mg以下 |
ガラス加工、金属表面処理、冷媒、フッ素樹脂など |
ベンゼン |
0.01mg以下 |
− |
燃料混入など |
ほう素およびその化合物 |
ほう素1mg以下 |
ほう素4000mg以下 |
ガラス原料、防腐剤、殺虫剤など |
ポリ塩化ビフェニル(PCB) |
検出されないこと |
− |
触媒、電気絶縁体、変圧器、コンデンサ、複写機、インキ溶剤など |
有機りん化合物 |
検出されないこと |
− |
農薬(殺虫剤)など |
※1:基準値は「土壌汚染対策法施工規則」(平成14年12月26日環境省令第29号)を参考とした。なお、基準値には、
(1)第六条第一項関係、(2)第十八条第一項関係、(3)第十八条第二項関係、(4)第二十四条第一項第一号関係 の計4種類の基準があるが、ここでは、(1)と(3)を示した。
※2:「土壌汚染対策法施工規則」(平成14年12月26日環境省令第29号)では要件となっているが本特集では土壌基準として記載した。
※3:主な用途は「化学物質の危険・有害便覧」中央労働災害防止協会を参考とした。

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