|
『荒ぶる自然(日本列島天変地異録)』 【著】高田 宏
日本の近代史に残る大規模自然災害を丹念な取材と多数の体験談で綴った高田宏著の「荒ぶる自然(日本列島天変地異録)」(新潮社)は、自然の持つ非情なまでの破壊力とすさまじさ、牙をむいた自然の前ではどうすることもできない人間の微力さを再認識させてくれた本である。扱っている災害は、以下の12災害である。
○福井地震 ○浅間山天明大噴火 ○伊勢湾台風 ○天竜川三六災害
○有珠山噴火 ○狩野川台風 ○三八豪雪 ○伊豆大島噴火
○三陸沿岸大津波 ○桜島大正噴火 ○室戸台風 ○下北ヤマセ冷害
この中で雪を扱っているのは、昭和38年の豪雪を描いた「三八豪雪」である。北陸地方で今でも語り継がれる「三八豪雪」は、静岡生まれの私にとっては想像もできない雪の降り方・量だったようで、富山生まれの友人によれば『一晩で1m余り降り積もった』とのことである。私も金沢に来て初めて豪雪と呼ばれるものを経験したが(56豪雪)、雪が積もるときは本当に“深々”と言う表現がぴったりで、音もなく静かにそして見る間に積もり朝起きたときにビックリしたのを覚えている。
当時の福井県でも100年ぶりと言われるほどの大雪になり、勝山市横倉では連日の降雪で積雪は4mを越え、新雪を巻き込んで幅200mを越える大アワナダレ(福井県では表層雪崩をそう呼ぶ)が発生し四世帯16人がなくなっている。この雪崩の他に本書では、前年に南米ペルーで発生した桁違いに大きい雪崩と、日本最大の雪崩の規模についても触れている。「当時の福井新聞によると」として、桁違いに大きい雪崩は1962年(昭和37年)にアンデス山脈で起こったもので、6つの町が流され、死者は8千人を超えたと記している。
一方、日本最大のものは、現在の新潟県魚沼群湯沢町三俣で1918年(大正7年)に発生した雪崩で、多数の犠牲者を出している。
「三八豪雪」の事ばかり書いたが、他に扱っている災害も含めて災害史として、また「人間よもう少し謙虚に生きろ!」の警鐘本として面白い本である。
【文責:知取気亭主人】 |