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雪崩関連 書籍紹介  - No.2 -

出版社】:宝島社 
【ISBN】:
4796615679
 (1999-08-09出版)

【ページ】:325p (
文庫判)
【本体価格】:\600(税別)
 

 

『いまだ下山せず』  【著】泉 康子

 死者6065名、行方不明者318名、これは1989年末現在で山岳遭難により家庭に帰ってこられなかった人たちの数である。新田次郎の「孤高の人」や井上靖の「氷壁」など、登山を扱った小説に面白いものは多いが、泉康子の「いまだ下山せず」(宝島文庫)は、実際に起こった厳冬期の山岳遭難を捜索の側から描いたドキュメントであるだけに、胸に訴えるものがある。

 1986年(昭和61年)12月末、槍ヶ岳を目指して北アルプスの縦層に出かけた「のらくろ岳友会」の3人が遭難する。著者はこの岳友会の創立メンバーで、他の岳友会メンバーとともに捜索に携わる。1987年1月5日の「いまだ下山せず」の第一報から同年6月28日の遺体発見まで、約6ヶ月間にわたる捜索活動の記録である。巻頭言として『各県の山岳遭難統計によれば、山に出かけたまま行方不明となり、遺体が発見されなかった登山者の数は、日本アルプスだけでも、209名に達している。』と泉は書いているが、特に遭難現場の特定が遺体発見にとって重要である。本書は、のらくろ岳友会と同時期に北アルプスを登っていた他のパーティーの証言を元に、事実を一つ一つ積み重ねついに遭難現場の特定をするまでを克明に描いたドキュメントである。

 遺体が発見されたのは、雪崩が発生しやすい為に「冬は沢が山で一番危険なところ」と言われる沢、常念一ノ沢であった。それも発見状況からして3人は沢に滑落したのではなく下山路を求めて下ったとされる。そこに岳人としての著者の“なぜ”が何時まで脳裏を離れず、遺体発見後も雪崩についての書物を読み「雪崩を防ぐための講習会」にも参加し雪崩の恐ろしさを体験することになる。終章にはこの体験も含め雪や雪崩の基本情報や、参考文献の名前も記載されているので、是非読んでいただきたい。ちなみに、日本勤労者山岳連盟の中山建生氏によって『雪崩遭難発生地点図』が作られているそうである。

【文責:知取気亭主人】

 

 

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