「雪崩の世界から」(新田隆三著 古今書院出版)を読んだ方なら、ご存じかと思いますが、その中で「国際分類(1973年)は出来過ぎている感じがする」と前置きしながらも、以下のように分類されています。 |
・ 発生の原因(4種類) |
・ 発生の形態(5種類) |
・ 滑り面の位置(6種類) |
・ 発生時の雪の水分(3種類) |
・ 通過区の形態(3種類) |
・ 堆積区内の混入物(6種類) |
・ 運動形(3種類) |
・ デブリの粗さ(5種類) |
・ 堆積した雪の水分(3種類) |
・ 堆積区内の混入物(6種類) |
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以上の組み合わせによって、約30万種類の雪崩形態が完成します。
公益社団法人日本雪氷学会では、雪崩の発生時の状況に主体を置き、雪崩発生の形・雪崩層の雪質・滑り面の位置の3つから、区分した結果次のような分類をしています。 |
表1 雪崩の分類 |
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出典:「道路防雪便覧」(日本道路協会) |
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表2 雪崩の名称と解説 |
雪崩の名称 |
解説 |
点発生
乾雪表層雪崩 |
気温が低いとき、降雪中に起こりやすい。雪庇、樹枝、露岩などから落ちた小雪塊がきっかけとなることが多い。乾いた雪が雪煙となってなだれる。雪崩後は判別しにくい。斜面上の一点から、くさび状に動き出す。小規模なものが多い。 |
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面発生
乾雪表層雪崩 |
気温が低いとき、既に積もったかなりの積雪の上に、数10cm以上の新雪があるときに起こりやすい。低い気温が続く間、降雪中、降雪後を問わず起こる。斜面上のかなり広い面積にわたり、一斉に動き出し大規模であるものが多い。巨大な雪煙を伴い、山麓から数kmに達することがある。大災害を起こすことがある。 |
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面発生
乾雪全層雪崩 |
本州に起こるものと北海道に起こるものでは発生の機構が異なる。本州では斜面上の既に積もった雪の上に、気温が低いとき急速に多量の新雪が積る際、その荷重で斜面上の積雪全層が幅広くなだれ落ちることがある。表層の乾いた新雪層は雪煙となって山麓から遠くにまで達する。新雪層の下の雪が古い雪の場合は、その雪は雪煙とならず、流れるようになだれて行く。北海道では、きびしい寒気が長い間続くと、地面付近の雪層がくずれやすいもの(しもざらめ層)に変わり、それが崩れて全層がなだれ落ちる。表層の乾いた雪の層は雪煙となりやすく、山麓から遠くにまで達する。両者のなだれとも、なだれた雪が山麓から遠くにまで達するということで、面発生湿雪全層なだれと異なる。 |
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点発生
湿雪表層雪崩 |
20〜30cm積もった新雪層が、好天暖気にさらされた時に起こる。スノー・ボールがきっかけとなり、湿った雪の層がくさび状にしかも縮まるように運動を始め、斜面が長ければ、崩れて流れるような運動をする。小規模なものが多い。春先の、表面がざらめ雪となった積雪が、十分な暖気にさらされた場合にも起こる。 |
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面発生
湿雪表層雪崩 |
降雪後、天気が良く気温が上がった時に、発生しやすい。面発生乾雪表層雪崩の雪崩層の雪が水気を含んでいる場合である。なだれる雪は、雪煙とならず、流れるように落ちて行く。 |
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面発生
湿雪全層雪崩 |
春先の融雪期に多いが、冬でも気温が高いと起こりやすい。斜面上の頂上近くに、雪の表面から地面まで割れ目ができ、地面と積雪下部との間に雪解け水が流れて隙間ができてくると、雨の日とか暖かい日にこの雪崩が発生しやすい。大規模のものが多く斜面上の固い雪が、時には地はだを削り取って行く。雪煙は伴わず、流れるように運動する。大きな災害を伴うことが多い。 |
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出典:「道路防雪便覧」(日本道路協会) |
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点発生表層雪崩のモデル |
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面発生全層雪崩のモデル |
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雪崩の種類には表1、2のような分類がされています。表2の解説には「乾いた雪が雪煙となってなだれる。」とか「雪煙は伴わず、流れるように運動する。」といった運動形態の説明がされています。日本道路協会では、雪崩の運動形態を3種類としています。下図がその運動形態のモデル図とその特徴です。 |
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湯之谷村 湿雪全層雪崩 91年 |
(写真提供:新潟大学 和泉薫 助教授)
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