■平面破壊・トップリング破壊の判定手法
破壊現象の起こり得るゾーンを、”daylight
envelope”と呼びます。この領域はどのようにして設定されるのか。答えは至極簡単です。上の(a)を見てください。岩盤斜面の勾配をφf、節理面の角度をφA、φB、φCとすれば、当たり前のことですが以下の関係が成り立ちます。
@φA < φf の時 平面破壊の可能性
AφB > φf の時 安定
BφC < 90°の時 トップリング破壊の可能性
また節理の走向については、(b)を見てください。平面破壊については斜面の走向に対して±20°の範囲が破壊発生の可能領域に設定します。
つまり1つの平面斜面を設定した場合、強度などと関係なく、各タイプの破壊が起こり得る領域が”daylight
envelope”なのです。この領域の中に実際計測した亀裂や節理がどの程度あるか
、あるいはあった場合その破壊の可能性、について解析するのです。
次に平面破壊の可能性ですが、”daylight
envelope”の中で、φA > 内部摩擦角φ の時、物理的に発生する可能性が高いと判定します。これも当たり前のことですが、ステレオネットを用いて統計的に処理することが求められてい
ます。
■平面破壊・トップリング破壊の判定例
@さあ実際にソフトを使って解析をしてみます。ステレオネットを用いて解析します。
先ずステレオネットの中心座標と節理面の内部摩擦角を入力します。
真ん中に内部摩擦角の領域ができ、この領域の内側は内部摩擦角よりも緩い面なので平面破壊は起きません。 |
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A次に解析する斜面の情報を入力します。斜面自体を傾斜/走行として入力します。
右図の赤範囲はこの斜面のDaylight
envelopeの範囲です。つまり赤範囲の内側にある節理は、平面破壊が発生しうるという範囲です。 |
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B次にDaylight envelopeの中で、節理の走向に対する制御を行います。±20°の領域を求めます。
@、A、Bに合致した領域(右図の斜線範囲)が平面破壊発生可能領域としてとらえることができます。
この領域の中に実際計測した亀裂や節理がどの程度あるかを解析するのです。 |
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一方トップリング破壊は、φC < 90°かつ±20°の領域が、転倒破壊発生の可能性があると判断します。 |
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