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今回の軽量盛土工法は、FCB(Foamed Cement Banking:発泡させたセメントの盛土)工法についてご紹介します。
「道路土工擁壁工指針(平成24年7月)日本道路協会」p.7では『気泡混合土を用いた擁壁』として分類されています。(図-1参照)
また、「FCB工法設計・施工要領(平成19年1月)東、中、西日本道路株式会社」p.3では、この『気泡混合軽量土』を用いた軽量盛土の事をFCBとして定義されています。

■FCB工法概要
FCB工法は、硬化する前のセメント(またはモルタル)に微細な気泡を混入させたエアミルク(またはエアモルタル)を、打設・養生した「多孔質の軽量コンクリート」を盛土材として用いる軽量盛土工法です。
道路拡幅を行うためのFCB打設状況を下記(写真-1)に示します。

画像引用元:FCB研究会
FCB工法の単位体積重量は、一様に○(kN/m3)と画一的に決まったものではありません。
FCB工法では、気泡量やセメントの配合設定によって単位体積重量を5〜12(kN/m3)に、一軸圧縮強さを300〜1,000(kN/m2)程度まで調整することが出来ます。(図-2参照)
ここで、単位体積重量が10(kN/m3)より軽いものは水に浮くことになり、組成のイメージとしては「人工的に作った軽石」と言えるかもしれません。

■FCB工法の特徴
<軽量性>
気泡混合軽量土は、セメント(またはモルタル)に多数の微細な気泡を混合させることから、一般的なコンクリート(23.0kN/m3)よりも軽量となります。
また、この気泡量やセメントの配合は、任意に調節することが出来るため様々な強度や密度のFCBを構築することが出来ます。
<流動性>
気泡混合軽量土は、土とセメントに水を加えてスラリー化したものに気泡を加えることで、流動性に優れた特性を有します。
この特性によって敷均しや締固め作業を省略できます。
また、狭小箇所の埋戻や充填が可能です。
一般的な土砂と比べると、敷均し・締固めの工程が不要となるため、振動や騒音を抑制できます。
<硬化後の自立性>
硬化後は自立することから鉛直壁の構築が容易です。
構造物の裏込材として、土砂の代わりに用いた場合には前面の構造物に掛る圧力を減らすことが出来ます。
<施工性>
大規模な施工機械を必要としないため工事用機械の侵入が困難な箇所の施工が可能です。
また、構成の大部分を気泡が占めるため材料の運搬が軽減されます。
さらに、複雑な地形への追随性にも優れています。
<その他>
・セメント系の材料であるため、不燃性であり、有機溶剤にも溶解しません。
・現地発生材を利用することも出来るため、建設発生土の有効利用を図れます。
■FCB工法の留意点
<消泡に留意>
・雨天時には、雨水によって気泡が消失してしまうため施工を中止します。
・打設時に高所から落とすような方法では消泡してしまうため、注意が必要です。
・1層当たりの打設厚さは1m程度です。
これ以上厚くすると、自重による消泡が増加してしまうためです。
<その他>
・FCB工法では現地に仮設プラントを設ける必要が有ります。
仮設プラントの種類は、施工規模によって表-1に示すように3種類の方法が有ります。
| 施工規模 | 方 式 | 必要ヤード | 概要 |
| 大 | 現場プラント方式 | 大 | モルタルの作成から気泡をブレンダで混合するまでの全ての工程を現場で行う。 |
| 中〜大 | モルタル購入方式 | 中 | 生コンクリートプラントで製造したモルタルをアジーテータ車で現場に搬入し、気泡をブレンダで混合して製造。 |
| 小 | アジテータ内混合方式 | 小 | 生コンクリートプラントで製造したモルタルをアジテータ車で現場に搬入し、アジテータ車内に気泡を投入して混合することにより製造。 |
※仮設プラントを必要とするため、小規模な現場では割高となりやすい傾向が有ります。 しかし、材料費自体は安価なため施工規模が大きくなると経済性で優位となる傾向が有ります。
■FCB工法の豆知識
FCB工法は、硬化してしまっても人力で容易に掘り起こすことが可能です。
この特性を活かして、トンネル坑口部の補強として用いられることも有ります。
図-3 トンネル坑口の補強
■まとめ
FCB工法は1987年に国内に導入され、仮設道路や軟弱地盤上の盛土や拡幅工事、急傾斜地盤上での盛土工事、狭小な空間の埋戻しなどに採用され、2015年3月までに約580万m3の実績を誇ります。
このように素晴らしい特性を持つFCB工法ならば、厳しい現場条件においても対応できるのではないでしょうか。

