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■緑化の課題

 

 緑化工法の課題って何だろう?そんなテーマをもって、緑化工のメーカーさんや施工業者さんに会い、いろいろなお話を伺いました。それらの話をいさぼうなりにまとめてみました。

 平成6年度に市場単価制度が採用されて以来、緑化工法についての検討書および提案書といった計画書が極端に減ったそうです。実際に最近の資料を見ましたが、精々で土壌硬度、pHの試験結果や基盤厚の検討がされているくらいです。
 何故なのでしょう?それにはいくつかの理由があるようです。

市場単価では同種の工法であれば金額が同じなため競争意識がない。
緑化工法の性能が確立されてきたため通り一遍のものは必要ない。
大手よりも地場業者が請け負うようになってきた事によ り事業が形骸化してきている。

 確かにそれでも植物は生育してはいますが、中には自然環境保全として生態系の保全を唱えながら、その周辺にはない草花、花木や外来種を推奨するなど、生態系や景観を全く無視した現場や、緑化基礎工が不十分なために湧水や降雨で基盤材が流亡しているといった現場も見うけられます。

 そういった意味でも、どんな植物群落を創造するか緑化目標を決め、それを成立させる種子配合、発芽、生育条件を満足する基盤材料、そして施工法、施工時期といった設計・施工方法をまとめた計画書が必要ではないかと思います。
 そして、『それを実現するだけの技術力や知識が求められて来る』、そんな時代がきっと来るでしょう。それに対して『技術者の多くは、その技術をまだ有していない』ということが大きな“課題”と考えられます。

 

■市場単価でいいの?

 

 市場単価って何なのでしょう?

 これまでは気にも止めなかったことですが、緑化工について調べれば調べる程、市場単価制度との関わりが大きな問題であるという認識が強くなってきました。
 いさぼうでは、それらを整理し、市場単価についての問題提起をしたいと思います。

 緑化工の積算では、平成6年度から市場単価方式が採用されていますが、それによって、それまで各メーカーが進めてきたそれぞれの工法に対する差別化への努力が、全て御破算にされてしまったようです。

 その中で、安価で簡易な工法は市場単価より更に金額を下げて採用を勝ち取ったり、また、高価ではあるが現場によく対応した工法であっても市場単価まで下げられたりといった事が起きています。
 発注者の立場になって考えてみれば公共事業が削減されていること、市場単価だと会検での説明が容易であること、積算が容易にできること、といった部分が便利なのでしょう。

 そもそも市場単価とは、工事を構成する工種について歩掛りを用いず、材料費、労務費および機械経費を含む施工単位当たりの市場での取引価格を把握し、直接的に直接工事費の積算に利用する方法であり、予備調査、試行調査、本施工調査といった過程を経て導入されます。
 そして、そのメリットと言えば、速やかに施工実態の変化や社会経済動向の変化に伴う工事価格の変動が把握できること、また、歩掛りを用いた積上げ方式が不要となるため、積算業務の省力化につながり、積算業務のシステム化が遅れている自治体においても、その効果が大きいと考えられます。
 確かにブロック積など工法的に画一化されたものであれば、それらの利点はでるのですが、果たして緑化工に適用できるでしょうか?

 緑化工は、その性質上、現地の状態によって定着するか否かが大きく左右されます。
つまり、緑化を成功させるためには、現地の状態をより細かく把握することが大切なのです。
従って現段階でやるべき事は単価の統一などではなく、より現地に合ったトータルコスト的にも最適な工法を選ぶということです。
 そして、メーカー側はそれに答えられるより良い製品を開発することです。
 そしてそれを実現するためには、市場単価の撤廃か見直しが必要なのではないでしょうか。

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