こんにちは。いさぼうネット調査員2年目、まだまだ土木勉強中のMKです。
今回、福岡県で行われた「第58回 地盤工学研究発表会」に参加してきましたので、その様子を報告します。
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会場入口の看板 |
今回、一般発表は現地のみで行われ、ディスカッションセッションや講演はハイブリッドで開催されました(前回は一般発表も対面(現地)とオンライン(Zoom)のハイブリッド方式で行われました)。
講演数は特別セッションやディスカッションセッションを含め938件(前回から+99件)で、技術展示コーナーには98機関(前回から+38機関)がブースを出展していました。
カテゴリ別のセッション数と、その中で講演数の多かった主なセッション(3セッション以上あったもの)は以下のとおりです。
主なカテゴリ |
総セッション数 (前回比) |
主なセッション |
調査・分類 |
12 (+4) |
サウンディング・物理探査 |
地盤材料 |
26 (+6) |
粘性土・中間土、改良土・軽量土、リサイクル材、砂質土 |
地盤挙動 |
11 (+1) |
地盤改良 |
地盤中の物質挙動 |
7 (+2) |
浸透 |
地盤と構造物 |
36 (+7) |
地中構造物、道路・鉄道盛土、堤防・ダム、杭基礎、地盤補強 |
地盤防災 |
23 (+2) |
斜面、液状化 |
一般セッションの中でわたしは、地盤防災カテゴリの「斜面」と「土石流」のセッションを聴講しました。
その中で気になった発表の内容は以下のとおりです。
●降雨によるため池の安全率調査
計算に用いたモデルが均一型ということも関係しているのかもしれませんが、「堤体が飽和しているから降雨の影響が少なくなった」という結果を理解できました。
●接峰面を用いた崩壊個所抽出
接峰面というものを初めて知り、「山に布をかけた時の形」という説明が分かりやすかったです。
●SAR衛星データを用いた斜面の危険度評価
SAR衛星のデータはマイクロ波で夜でも観測できるというのがすごいと思いました。
●透過型施設と地山の隙間からの土砂流出対策
全面をネットにするよりも、両端を不透過にしたほうがより多く捕捉できたという結果と、地山の護岸にもなるということが面白かったです。また、説明が分かりやすかったです。
●道路上の土石流解析
ただ崩壊したのではなく、ガードレールに遮られて水の流れが限定したから崩壊した、ということが勉強になりました。
●渓床面の凹凸による土石流の解析
下にある大きな粒子が最初は上に上がるということが驚きでした。また、水を流すのではなく、粒子に力を与える解析というのを知らなかったのですごいと思いました。
●大型土のうの模型実験
土のう自体が破壊されるのではなく、土のう同士の間から破壊するという結果に納得しました。また、3段目の間に2段目の土のうが落ちる破壊ではなく、2段目から壊れたという結果も聴けてとても勉強になりました。面白かったです。
最後に、現地の様子についてお伝えします。
前回は各所にアルコール消毒液が設置され検温も行われていましたが、コロナの規制が緩和されたためか、今回はアルコール消毒液をあまり見かけませんでした(おそらく会場設備として設置されているもののみでした)。
わたしが参加したセッションでは、会場の席は7割ほど埋まっている印象で、会場の形は横長で出入口が横の中央付近にある構造でした。1つ飛ばしぐらいで人が座っていたため、途中で参加するときに空席を探すのが少し難しかったです。
質疑応答では、マイクを使用していました。発表内容への理解を深められるような質疑が多かったので、勉強になりました。
技術展示コーナーは、1階・2階・5階の3か所に分かれていました。前回に比べて、人の出入りが多くあるように見受けられました。2階の休憩スペースは広く、また会場全体に座れるところがたくさんあり、休憩場所に困ることはありませんでした。
技術展示コーナーにはドリンクコーナーがあり、お茶やコーヒーを自由に飲むことができました。
当日、博多駅周辺では博多祇園山笠が行われており、また世界水泳も目前だったためか、周辺道路がとても混雑していました。気温も高く、バス車内も混んでおり、移動がとても大変でした…。
会場前にある世界水泳のマスコット(お花製)
今回は都合上2つのセッションしか聴講できず、聴きたかった発表を一部聴けなかったので、一般セッションもハイブリッド方式が良いなと思いました。(しかし、ハイブリッド方式は運営の負担が大きいようです。)
ただ、今回は業務でお世話になっている企業の方々に自分から挨拶することができ、拙い話し方でも皆様優しくご対応くださり、嬉しかったです。
ほぼ例年通りの現地開催に参加でき、発表と技術展示どちらもとても勉強になったので、良かったです。
以上で報告を終わります。
五大開発(株)の出展ブース