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(公社)地盤工学会「第60回地盤工学研究発表会」参加レポート
2025.07.31

今年の地盤工学研究発表会は、2025年7月22日〜24日に山口県下関市で開催されました。発表件数は1,100件以上、企業の技術展示は83件と非常に盛況でした。斜面・土砂災害に関するセッションを聴講しましたので簡単にレポートします。

<「第60回地盤工学研究発表会」概要 >
開催日:2025年7月22日〜24日
会 場:海峡メッセ下関、下関市生涯学習プラザ、下関市民会館
URL:https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/jgs60

ここでは、「斜面@」セッション(7月22日午前、発表件数:8件)から特に興味深かった研究発表を紹介します。このセッションは、斜面を対象とした数値解析やAIなどを中心としたものでした。

地盤の粘着力が降雨による法面崩壊に与える影響に関するMPMシミュレーション(中道洋平)

極限平衡法では法面崩壊の規模や時間に関連する地盤の変形を解析できないことを問題として、MPM(Material Point Method)で、地盤の粘着力が法面崩壊の規模や時間に与える影響に関して調査した発表です。結果としては、粘着力が大きいほど、法面崩壊の規模は小さくなり、崩壊開始が遅くなるとのことでした。

傾斜地上の樹木が斜面災害リスクに与える影響の解析的評価(松本素、若井明彦)

斜面上の樹木が斜面安定にどの程度の効果があるのかを解析的に検討した発表です。豪雨時の土砂災害危険度を評価するプログラムに、樹幹遮断による降雨強度の変化を算出する式を追加し、また、緊縛効果となる土の粘着力の増分を安全率の式に組み込むことで評価していました。樹木が存在すると、裸地の状態と比較して、遮断効果により地表に到達する降雨が減少したことで地下水位の上昇を抑制でき、安全性が向上できたとのことでした。

機械学習による斜面崩壊危険度評価手法の高度化と他地域への適用性検討(五十嵐大輝、大塚悟)

平成23年7月新潟・福島豪雨における魚野川流域を対象として、標高や地質が異なる4つの領域に分割し、1つの領域で学習したモデルが他領域の崩壊/非崩壊を判定できるかを検討した発表です。崩壊地データを正解として、傾斜量や曲率などの様々な地形量パターンの組合せによる精度比較を行い、また、地形量の作成方法に関しても検討していました。結果として、地質が類似している領域間では判定精度が高くなる傾向があることを示しました。

ここでは1セッションのみの紹介となりますが、実際には地盤情報、土質や液状化など様々なテーマのセッションが多数開催されていました。暑い中でしたが、会場を渡り歩いて、様々なセッションを横断的に聴講し、知見を広げることができました。また、研究部門に所属する私自身も、自分の研究に活かせるヒントを得ることができました。

今回の地盤工学研究発表会では、会場近くのショッピングモールで子供向けのイベントが開催されていました。これまでの地盤工学研究発表会でも、液状化現象やVR体験など一般向けのイベントが開催されていました。研究発表を聴講していたので、私は参加していませんが、今回は土砂災害をテーマとして、土石流の模型実験などが行われていたそうです。小さい頃から少しでも防災について興味を持ってもらえると嬉しいですね。

来年の地盤工学研究発表会は、2026年7月7日(火)〜10日(金)に静岡県静岡市のグランシップ静岡で開催される予定です。ご興味のある方は、ぜひ参加して最新の研究動向に触れてみてはいかがでしょうか。

以下は、今回の地盤工学研究発表会で私が撮影した写真です。

メイン会場の海峡メッセ下関
会場に設置されていた企業の技術展示案内
企業の技術展示の風景
<参考リンク>
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