今年の日本地すべり学会は、9月16日(火)から9月19日(金)にかけて、奈良県奈良市の奈良春日野国際フォーラム 甍〜I・RA・KA〜をメイン会場に開催されました。会場は多くの参加者で賑わっており(参加者数 約650名)、口頭発表プログラム129件、ポスター発表55件、新技術紹介(ブース出展)27機関でした。
口頭発表プログラム
| 地すべり機構 |
11件 |
| 地すべり調査 |
11件 |
| 地すべり計測 |
10件 |
| 斜面安定 |
13件 |
| 事例報告 |
18件 |
| 対策・施設維持管理 |
13件 |
| 防災教育、警戒・避難 |
5件 |
| 特別セッション1:斜面対策工の設計技術に関する国際化の課題と対応 |
4件 |
| 特別セッション2:令和6年能登半島地震2025 |
21件 |
| 特別セッション3:英語発表セッション |
9件 |
| 特別セッション4:斜面未災学の確立と推進 |
14件 |
|
129件 |
いさぼう調査員が特に興味深かった発表は以下の通りでした。
@ 植生伐採による土砂災害リスク評価
近年、たびたび話題となる太陽光発電施設の設置に伴う傾斜地の植生伐採が土砂災害リスクに与える影響について評価した発表がありました。斜面の植生を伐採し、太陽光発電施設を設置した場合の土砂災害の発生に与える影響をモデル化し、解析を行っていました。樹木の伐採により、斜面の安定性の低下や土砂流出への影響が大きいことが確認されたと結論付けていました。太陽光発電施設の設置に伴うリスクを低減し、安全に運用していくため、非常に有益な研究だと感じました。
A 3次元モデルを活用した解析・評価
3次元モデルを活用した解析・評価に関する研究が普及してきていると感じました。複数のセッションにおいて、実際の現場の3次元モデルを作成し、研究に活用していました。実現場に即した3次元モデルによる解析・評価を行うことは、精度や可読性等の向上に寄与すると考えられます。一方で3次元モデル作成のコストがまだまだ高いため、モデル作成の効率化、自動化等の技術が必須であると感じました。
B 集水井点検におけるモデル化の動向
点検手法も徐々に変化していると感じました。Structure from Motion(SfM)を基盤としながらも、データ取得手法が、「2D写真→UAV→360度カメラ写真・LiDAR」と時代とともに変化していることを実感しました。
C ポスターセッション
ポスターセッションは9月16日・17日の2日間にわたり、コアタイムが設けられ、多くの研究者、技術者が活発に議論していました。口頭発表のセッションと異なり、質疑の時間に制限がないため、内容の深い部分まで議論がなされていたように感じました。
ポスターセッションでは多種多様な内容が発表されていましたが、その中でもAI、SAR、画像処理等の先進的な技術を業務効率化のために活用する研究が目を引きました。地すべり分野において、これらの技術を用いた研究は一般化しつつありますが、今後も進む業務従事者数の減少への対応のためにも、一層発展していくことが期待されます。
研究発表会 第1会場 能楽ホール
ポスターセッション
会場「奈良春日野国際フォーラム 甍〜I・RA・KA〜」
観光客や修学旅行生や鹿のいる奈良公園の奥に位置している
奈良公園の鹿
<参考リンク>
▽公益社団法人 日本地すべり学会
https://japan.landslide-soc.org/
▽(公社)日本地すべり学会「第63回研究発表会」参加レポート(2024.09.26)
https://isabou.net/Convenience/Tool/report/20240926.asp