昨年から、「i−コンストラクション」が話題になっています。
これは、建設現場の生産性向上を目指すことを目的とした国土交通省のプロジェクトです。
その中でも、土工分野において、ICT技術を全面的に活用する例が示されており、UAVを用いた3次元測量を有効活用することで、生産性の向上を図ることができるとされております。UAVについては、非常に魅力的で、いさぼうネットにおいても、
シリーズコラムとして特集してきました。
そこで今回、「では、いったいどれくらいの発注量があったのか?」という疑問をもとに、業務がどのくらい実施されているのかなどをまとめてみました。
まず発注状況を調べました。委託のみで、確認できただけで11件の業務が発注されています。
(2016年4月1日〜2017年1月11日まで。仕様書等に“UAV”が入っているもの。
※「入札ウォッチネット」調べ)
1) 入札結果
全11件が確認されました。
●国関連
・北陸地方整備局:2件
・九州地方整備局:1件
●県関連
・東京都:1件、 ・石川県:1件、 ・長野県:1件
・三重県:1件、 ・高知県:1件、 ・熊本県:2件

※「入札ウォッチネット」より
2) 業務内容
業務分野では、やはり「道路事業」「河川・砂防事業」が確認されました。
●道路事業 :5件
●河川・急傾斜事業 :4件
●その他 :2件
また、測量での発注が多く、5件となっております。
3) 受注金額
受注金額は、430万円〜1800万円
(結果の参照ができた10件の平均金額 約1000万円)
4) 特記仕様書
特記仕様書の例では、
●国土交通省が提唱するi-Constructionの取り組みにおいて、ICTの全面的活用を図るため、UAV等により取得したデータを3次元化する業務である。
●参加表明書に関する要件
:
3次元地形モデルの作成を含む測量又は計測業務、又は航空レーザー測量又は計測業務
●本測量業務は、国土交通省が提唱するi-Consutructionの取り組みにおいて、ICTの全面的活用を図るため、受注者の希望により、UAV等を用いた公共測量をすることができる業務である。
●無人飛行体(UAV)を利用した点検の実証実験
●定量的な点検の実証実験
●連続モニタリング観測の実証実験
●維持管理施設とりまとめ手法の検討
●無人飛行体(UAV)に高解像度カメラ等を搭載し、急傾斜地崩壊防止施設点検 への適用を実証実験する。実証実験においては、過年度の実証実験で抽出された 課題を踏まえ、課題解決の手段を講じた場合の適用性向上について、実際の定期 点検での活用を想定した検証を行う。
●UAV 撮影 パースの下資料とするため、UAV による航空撮影を行う。尚、現在の河道や背後地 の全体状況を把握することも目的とする。
●本業務は、UAV 空中写真測量により河川現況調査を行うものであり、管理システムへ搭載する基礎資料を作成することを目的とする。
●3 次元解析及び簡易オルソ作成。地図情報レベルは500。
●地上型レーザスキャンにより必要な範囲の地形データ取得を行い、既存航空レーザデータや平面図、横断図を作成する。岸壁の地形取得にUAVを併用する。
●データのグリッドサイズは、0.2〜0.5m
・地震に伴い UAV(ドローン)及び3次元デジタル測量による緊急調査を行った。
●3次元デジタル測量データを基に斜面の安定解析を行い、応急工事の必要性を判断する。
5) まとめ
UAVを購入したが、さてどのように活用しようか?という声が多い中で、上記特記仕様書例から読み取れるのは、すでに活用の幅が大きくなっている、ということ
です。
導入のしやすい
●パース作成のため
●3次元地形作成
●管理システムへの追加画像
という案件から、国の先導によるもの
●i-Constructionの取り組みに利用するもの
また驚いたのは、東京都や高知県の発注にみられるように、維持管理に使えないか?
という思想での発注です。
熊本県のように、3次元データを用いて安定解析を行う発注までありました。
今後もこれらの発注に関して注目して、動向を追っていきたいと思います。
