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 通達、業界ニュース
 被災地外から復興に参加!復興JV制度の創設
 

平成24年2月28日

 
東日本大震災の復興工事が本格化します。果たして工事は被災地内の企業だけでまかなえるのでしょうか?それとも全国の企業がかかわれるほどの量があるのでしょうか?またかかわるとすればどのような形式となるのでしょうか?被災地以外の技術者にとっても気になるところです。

被災地では、既に復旧・復興工事が進みつつありますが、技術者不足や労務費の高騰などの問題が深刻化してきています。具体的には、復興需要の増加に伴って急増している入札不調問題です。宮城県では土木一式の入札不調が45%、仙台市では49%と2件に1件が不調に終わっています。その原因は工事量が増えているために技術者が足りないこと、業者が足りないこと、労務単価が日々刻々変わっていくため、年2回行われている労務単価の設定が実勢を反映していないことなのです。

これに対して国土交通省では、被災地内外の建設会社同士で結成する「復興JV」制度を創設したり、契約後の労務単価の上昇に応じて請負代金を変更する「インフレスライド」を適用することを決めました。またこれは国交省発注の工事だけでなく、自治体発注の工事にも適用するよう2月中に通知するようです。

具体的な施策は以下の通りです。

(1)復興JV制度の創設

【現 状】 復興事業については、今後、大量の業務が集中的に発注されることが想定されるが、地元の単体の企業だけでは担い手の数が不足したり、施工能力が十分確保できないことが懸念される。

【対応策】 被災地域内の建設企業が被災地域外の建設企業と共同する復興JV制度を被災3県において試行する。被災地域においては、単体企業に加えて復興JVを事業の実施主体として位置付ける。また、復資料3−1興JVにおいては、一の構成員が監理技術者等を専任で配置する場合、他の構成員については、主任技術者の専任要件を緩和する。これにより、被災地域において不足する技術者や技能者を広域的な観点から機動的に確保する。なお、被災地域内における試行等を踏まえつつ、速やかに新たなJV制度として整備する。(→2月中の試行開始に向けて関係通知を発出)


(2)一人の主任技術者が管理できる近接工事等の明確化

【現 状】 密接な関係のある二以上の建設工事を同一の建設業者が同一の場所又は近接した場所において施工する場合、同一の専任の主任技術者がこれらの建設工事を管理することができるが、その適用に当たっては、各事業に即して慎重に検討する必要があるとしている。

【対応策】 被災地域内の復旧・復興のための公共工事等において、工事の対象となる工作物に一体性又は連続性が認められる工事で、かつ、工事現場の相互の間隔が5km 程度の近接した工事を同一の建設業者が施工する場合は、二箇所までは建設工事を管理できることとする。(→2月中の運用開始に向けて関係通知を発出)


(3)地域維持型建設共同企業体制度の活用

【現 状】 修繕など社会資本の維持管理のために必要な工事については、地域維持型建設共同企業体を活用できる制度を導入。

【対応策】 復旧事業においても、小規模な修繕を包括発注する場合などには、地域維持型建設共同企業体制度が活用可能であることを再度周知する。(→連絡協議会を通じた周知又は周知のための通知を発出)


(4)主任技術者又は監理技術者の専任を要しない期間の明確化

【現 状】 監理技術者等の専任を要しない期間について、適切な運用が行われていない事例が見受けられる。

【対応策】 契約締結から現場施工に着手する日までの期間などにおいては、主任技術者又は監理技術者の専任を要しないものであることを再度周知する。(→連絡協議会を通じた周知又は周知のための通知を発出)


被災地以外の技術者が気になるのは、復興JV制度でしょうか。

「復興JV」は、被災地外の建設会社が地元の建設会社と共同して復興事業に取り組む共同企業体を結成することが出来る制度。被災地内外の建設会社が共同チームを結成することで、これまで地元企業だけに入札参加を認めていた工事の入札が可能となり、被災地外の建設会社も復興事業に積極的に関わることが出来ます。

 

復興JVは良い制度と思います。ただ被災地で人が不足しているのに対し、他地域では建設不況が続いている現状が続いていたことを考えると、かなり遅れた対応とも言えます。何はともあれ被災地外の企業が参加できる口は出来たわけです。全建では被災地と全国の企業のマッチング支援を行なっていくとしています。このようなマッチング支援にたよるか、自ら現地に乗り込むのか、その企業の戦略が問われていきそうです。

 

■国交省復興施策の事業計画(国交省ページに直リンク)

国交省復興施策の事業計画(全体版)

 【全体版】事業計画

国交省復興施策の事業計画(地域版)

【市町村版】事業計画(青森県内市町村)
【市町村版】事業計画(岩手県内市町村)
【市町村版】事業計画(宮城県内市町村)
【市町村版】事業計画(福島県内市町村)
【市町村版】事業計画(茨城県内市町村)
【市町村版】事業計画(千葉県内市町村)
 

■復旧・復興建設工事における共同企業体の当面の取扱いについて(国交省ページに直リンク)

 

国交省/震災復興工事支援策をパッケージ化/大規模災害への対応力強化    H24.02.27

国土交通省は、今後発生が予想される首都直下地震や東海・東南海・南海の3連動地震などの大規模災害への対応力強化の一環で、東日本大震災の復興工事支援策のモデル化に取り組む。復旧・復興工事が進む被災地で深刻化する技術者不足や労務費の高騰などを受けて新たに取り入れた「復興JV」制度などの施策を中心に災害時の建設業界への支援メニューをパッケージ化し、どの被災地にもすぐに適用できるようにする。東北の被災地で試行を通じて施策のモデル化を進める。
東日本大震災では、東北の岩手、宮城、福島の3県を中心に津波などによる壊滅的な被害が広範囲で発生。被災地全体の復旧・復興事業に対して今後5年間で約19兆円が投じられる見通しだ。膨大な量の工事が、短期間に集中的に発注されることから、技術者の不足や労務費・資機材価格の高騰などの問題が深刻化する可能性もある。被災自治体の発注工事では、これらが原因で既に入札不調が頻発するなど復興の阻害要因になることが懸念されている。こうした事態を受けて国交省は、地元自治体や建設業界団体などと「復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会」を組織し、被災地と被災地外の業者が共同企業体を組んで復興工事に参加する「復興JV」制度や労務単価の見直し期間の短縮など、一連の対応策を先に打ち出した。
同省の佐々木基建設流通政策審議官は24日、東京都内で開かれた建設業振興基金主催のシンポジウムで講演し、「首都直下や3連動地震などを見据え、新しい非常時の(復興支援)システムをつくっていきたい」と発言。復興JV制度など復興工事に対する一連の支援策を、今回の震災に限った特例措置にせず、パッケージ化して今後の災害にも適用していきたいとの考えを示した。
今回の震災は、過去に経験したことのない規模で、復旧・復興工事では官民双方とも手探りの状態で対応策を探っているのも現状。被災地では今後もさまざまな問題が表面化してくる可能性もある。同省は、27日に再開する建設産業戦略会議などを通じて新たな支援策を検討する一方、今回創設・導入した対策についても現場のニーズに合わせて改良・拡充を図り、支援メニューをモデル化していく方針だ。


(日刊建設工業新聞)


 

 


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