液状化+津波の複合災害が注目されています。
東日本大震災では、地震によって地盤が液状化して建造物の基礎構造が破壊された上に津波による横向きの外力が加わり、港湾付近の建築物が横倒しになる事例が見られました。これまで確立されている検討方法としては、液状化を個別に安全性評価する手法は既にあります。また津波による外力についても個別に対策を検討する手法もあります。ただ、液状化と津波による外力の両方が組み合わさって被害が大きくなる場合のメカニズムは解明されておらず、当然現状では複合災害での施設の安全性を評価する手法はないのです。
東日本大震災の現場報告でも液状化+津波の複合災害はよく報告されており、例えば下記は宮城県名取市での被害状況の一例ですが、ほぼ同じ津波の影響があったところでも、液状化した地域としない地域では、コンクリート製の水路の破壊状況が大きく違った事例です。
宮城県名取市での被害状況の一例(沿岸域の液状化−津波の複合被害への備えについて−高度防災工学センター) |
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津波による被害はあるものの液状化による水路の浮上がりはない |
液状化により水路が浮上がり、後に襲来する津波で遠方に運ばれた。典型的な液状化・津波による複合被害 |
国交省では、地震の揺れと津波による浸水に対する港湾全体の安全性を評価する方法を2012年度中に確立するため、調査・検討を始め、その中で液状化と津波の複合災害への安全性評価手法も検討していきます。
この液状化+津波の複合災害については、東日本大震災後多くの報告、研究などがあります(各報告に直リンク)。
「京」コンピュータによる 地震津波複合災害予測の展望(海洋研究開発機構)
「沿岸域の液状化−津波の複合被 害への備えについて」(名古屋工業大学)
今後特に港湾施設に対し、地震による液状化で港湾地域の地盤が沈下したところに津波が来襲した場合の港湾全体の安全性を評価する手法、地震で海底の地盤が緩くなって防波堤が沈下したところに津波が来た場合の防波堤の津波低減効果と港湾の安全性評価などの整備がまたれます。
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