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注目される 液状化+津波の複合災害
 

平成24年5月22日

 

 液状化+津波の複合災害が注目されています。

 東日本大震災では、地震によって地盤が液状化して建造物の基礎構造が破壊された上に津波による横向きの外力が加わり、港湾付近の建築物が横倒しになる事例が見られました。これまで確立されている検討方法としては、液状化を個別に安全性評価する手法は既にあります。また津波による外力についても個別に対策を検討する手法もあります。ただ、液状化と津波による外力の両方が組み合わさって被害が大きくなる場合のメカニズムは解明されておらず、当然現状では複合災害での施設の安全性を評価する手法はないのです。

 東日本大震災の現場報告でも液状化+津波の複合災害はよく報告されており、例えば下記は宮城県名取市での被害状況の一例ですが、ほぼ同じ津波の影響があったところでも、液状化した地域としない地域では、コンクリート製の水路の破壊状況が大きく違った事例です。

宮城県名取市での被害状況の一例(沿岸域の液状化−津波の複合被害への備えについて−高度防災工学センター)
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津波による被害はあるものの液状化による水路の浮上がりはない 液状化により水路が浮上がり、後に襲来する津波で遠方に運ばれた。典型的な液状化・津波による複合被害

 国交省では、地震の揺れと津波による浸水に対する港湾全体の安全性を評価する方法を2012年度中に確立するため、調査・検討を始め、その中で液状化と津波の複合災害への安全性評価手法も検討していきます。

 この液状化+津波の複合災害については、東日本大震災後多くの報告、研究などがあります(各報告に直リンク)。

「京」コンピュータによる 地震津波複合災害予測の展望(海洋研究開発機構)

「沿岸域の液状化−津波の複合被 害への備えについて」(名古屋工業大学)

 今後特に港湾施設に対し、地震による液状化で港湾地域の地盤が沈下したところに津波が来襲した場合の港湾全体の安全性を評価する手法、地震で海底の地盤が緩くなって防波堤が沈下したところに津波が来た場合の防波堤の津波低減効果と港湾の安全性評価などの整備がまたれます。

 

港湾の安全性評価手法を検討/液状化+津波の複合災害/国交省  H24.05.21
 地震による液状化と津波の複合災害への対応策が港湾施設での大きな課題に浮上している。液状化したところに津波を受けると、杭を打った施設でも横倒しになる可能性があり、液状化と津波それぞれの対策だけでは対応できない。このため、国土交通省は、特に石油コンビナートなど臨海部産業立地地帯を対象として複合災害への既存施設の安全性を評価する手法を2012年度中に検討する。

 東日本大震災では、地震によって地盤が液状化して建造物の基礎構造が破壊された上に津波による横向きの外力が加わり、港湾付近の建築物が横倒しになる事例が見られた。液状化への安全性を評価する手法は既にあり、安全性が不足する場合は対応を施すことが可能だ。津波による外力についても個別に対策を検討することもできる。

 ただ、液状化と津波による外力の両方が組み合わさって被害が大きくなる場合のメカニズムは解明されていない上、複合災害での施設の安全性を評価する手法はない。このため、既存施設での対応策の検討も困難な状態だ。特に、石油コンビナートなど臨海工業地帯では施設が横倒しなどになると被害が甚大な上、日本経済全体への影響も大きくなる。

 国交省では、防波堤の津波低減効果に着目し、地震の揺れと津波による浸水に対する港湾全体の安全性を評価する方法を12年度中に確立するため、調査・検討を始める。あわせて、液状化と津波の複合災害への安全性評価手法も検討する。地震による液状化で港湾地域の地盤が沈下したところに津波が来襲した場合の港湾全体の安全性を評価する手法を検討するほか、地震で海底の地盤が緩くなって防波堤が沈下したところに津波が来た場合の防波堤の津波低減効果と港湾の安全性評価方法も探る。

 さらに、地震と津波による相互作用があったとしても防波堤を粘り強く安定性を確保し続けるようにするため、大規模実験施設で相互作用が発生した場合の変形メカニズムと変形量を調べ、安定性を評価する方法を検討する。

 安全性・安定性の評価手法を確立できれば、評価結果を基に、防波堤などの施設を壊れにくくする方法や事業効果などを検討できるようになるとみられる。

(建設通信新聞)

 


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