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防災・減災の観点に立った国土・地域政策
 

平成24年7月31日

 平成24年7月30日国土交通省国土政策局国土情報課から平成24年度 国土政策関係研究支援事業の研究課題の選考結果が発表されています。

この国土政策関係研究支援事業は、国土政策局で実施している事業で、国土計画・国土政策等に関する調査・研究を行う若手研究者に対して、研究課題を広く公募し、提出された研究企画案を審査の上、優秀な研究企画案に対し、研究委託の形式による研究助成を行っているものです。

 このような国が先導する研究テーマは、時代に何が求められているか、土木はどこに向かおうとしているのかが見え、技術者としての引き出しを増やす情報となります。

 今回の応募では、国土政策・国土計画上の重要課題をあらかじめ指定課題として設定し、5月10日に大学、研究機関、NPO法人等に所属している若手研究者を対象として研究企画案の公募を開始し、6月12日に締め切ったものです。今回の採択件数は10件で、指定課題別では以下の通りです。

・指定課題1:防災・減災の観点に立った国土・地域政策 4件
・指定課題2:低炭素・循環型の地域づくりを考慮した国土・地域政策 0件
・指定課題3:多様な主体の連携による国土・地域政策 1件
・指定課題4:地域活性化に資する国土・地域政策 5件
・ その他  :その他国土・地域政策に関する研究 0件

 それぞれのテーマと概要は以下のとおりです。我々の世界に近い「防災・減災の観点に立った国土・地域政策」に着目すると、防災をはじめとする都市社会の評価方法の関する研究が2件、これらは今後計画されていく様々な整備・対策の必要性や優先順位の策定に役立っていくものと考えられます。作成される具体的な評価法そのものもそうですが、その途中段階の考え方などが大いに参考となると思われます。

 またその他の2つは震災関連から生まれたテーマで、1つは”地盤の液状化”にターゲットを当てた、地盤の3次元モデルと液状化危険度評価結果の情報配信システムの研究であり、もう1つは、震災時における人々の避難・移住・帰還に至る一連の行動を説明するシミュレーションモデルを構築し、モデルの適合性を評価する研究となっています。いずれも土木技術者にとっては直接的に有用というよりも、切り口として理解しておかなければならない情報となります。

 平成25年3月を目途に、研究成果の報告会の開催を予定してそうですので、公開されたらその内容をまた紹介したいと思います。
 

【指定課題1】防災・減災の観点に立った国土・地域政策 4件

○秋山 祐樹(東京大学)ほか
テーマ:国土スケールにおける大規模地震への災害対応力の定量的評価と我が国の防災政策への提案
概要:震災時における建物・施設の被災度と、災害への初期対応力(指標例;消防施設の整備状況、指定避難場所への距離等)とを推定した上で、災害への対応力を評価する。

○石原 与四郎(福岡大学)
テーマ:地盤の3次元モデルの構築とその共有に関する研究−地盤・防災情報のユビキタス化−
概要:紙媒体の地盤情報を基に、液状化危険度を評価し、その評価結果をWebGIS等を用いて3次元的に視覚化する情報配信システムの検討を行う。

○越山 健治(関西大学)
テーマ:災害後の住宅再建を見据えた都市空間の強靭性評価に関する研究−住宅再建過程に影響を及ぼす空間配置・量の事例分析より−
概要:過去の災害事例を参考に、震災時における仮設住宅の設置や住宅の再建等に必要な空間量を推定し、実態との比較を行うなど、災害に対する都市の強靱性を評価する。

○宋 軒(東京大学)ほか
テーマ:160万人の長期GPS移動データに基づく災害避難行動の分析とシミュレーションモデル構築に関する研究
概要:160万人のGPS携帯電話の利用履歴を基に、震災時における人々の避難・移住・帰還に至る一連の行動を説明するシミュレーションモデルを構築し、モデルの適合性を評価する。

【指定課題2】低炭素・循環型の地域づくりを考慮した国土・地域政策 0件
【指定課題3】多様な主体の連携による国土・地域政策 1件

○菊池 慶之((財)日本不動産研究所)
テーマ:不動産証券化の展開が都市空間の再編に及ぼす影響に関する研究
概要:不動産証券化が進んでいる地域を把握し、都市のコンパクト性に関わる指標(宅地・人口の集中度等)との関連性について分析することで、不動産証券化が都市空間の再編に及ぼす影響を明らかにする。

【指定課題4】地域活性化に資する国土・地域政策 5件

○菊地 吉信(福井大学)
テーマ:地方都市における高齢者所有住宅の空き室を活用した新たな下宿事業の提案
概要:高齢者の見守り支援及び学生の孤立緩和の観点から、高齢者住宅の空き部屋を大学生の下宿先とする事業案を提案するため、国内外の事例収集、現地アンケート調査、住民によるワークショップによる検討を行う。

○倉知 徹(関西大学)
テーマ:地域の多主体連携による新たなプラットフォーム構築と地域活動の実施が成立する条件と課題
概要:兵庫県による補助事業を実施した地域団体・NPOを対象に、助成前後における地域コミュニティ活動の状況をヒアリング等により把握し、地域団体・NPOが成立する条件について検討する。

○但馬 英知((株)タジマラボ)ほか
テーマ:震災復興の観点からみた水産都市と周辺漁業集落における史的形成構造と地域政策のあり方
概要:東日本大震災で被災した漁村を対象に、産業面における地域特性を明らかにした上で、漁港整備や地域雇用の促進方法に関わる振興策について考察を行う。

○谷山 智彦((株)野村総合研究所)ほかテーマ:テキストマイニングによる国土政策評価手法の研究−社会的心理状態を可視化する「地域センチメント指標」の開発−
概要:テキストマイニング(自然言語処理;Twitterや新聞記事等の膨大な量のテキストデータから、地域住民の行政に対する心理状態を表すキーワードを抽出)を用いて、地域住民の心理状態と国土政策・地域活性化との関連性について検討を行う。

○福島 綾子(九州大学)
テーマ:宗教遺産の近代的営繕と動態保全の仕組みに関する研究−地域の特性としての宗教遺産継承を目指して−
概要:一般信徒が教会の営繕に参画している歴史的事例を収集し、その経緯、体制、財政の仕組みについて把握することで、宗教遺産の保存・継承に資する提案を行う。

【その他】その他国土・地域政策に関する研究 0件

 


国土政策関係研究支援事業 とは
国土政策関係研究支援事業は、国土政策局で実施している事業で、国土計画・国土政策等に関する調査・研究を行う若手研究者に対して、研究課題を広く公募し、提出された研究企画案を審査の上、優秀な研究企画案に対し、研究委託の形式による研究助成を行っているものです。
 

 


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