世界大百科事典 第2版の解説. |
かつだんそう【活断層 active fault】
活断層は〈最近の時代まで活動しており,将来も活動する可能性のある断層〉と定義される。ここでいう〈最近〉とは,厳密な規定はないが,現代の地質・地形学の分野では,一般に第四紀または第四紀の後期(およそ数十万年前以降)を指す。1906年のサンフランシスコ地震のときに,以前から地質学的には知られていたサン・アンドレアス断層が再活動し,新たな変位を生じた。それまで断層とは,過去の地質時代に岩石がずれ動いたことを示す単なる痕跡と考えられていたのが,このとき,断層のなかには現在もまだ活動をやめていないもの,したがって将来にも活動するかもしれないものもある,という考え方が生まれた。 |
一方で、日本の活断層データを集大成した「新編日本の活断層」(活断層研究会編、1991年)では、第四紀(約200万年前から現在まで)に繰り返し動いた断層を活断層としています。
「断層」は地殻表層に於ける物理的実態ですが、「活断層」はあくまで学問上の概念です。概念は社会通念を反映して変化します。従って、「活断層」の意味も捉え方も、昔と今とではかなり変わってきています。
「活断層」という概念は、1965年に地震予知計画が発足し、その一環として活断層研究が全国規模で始まったところに始まります。その最初の成果が「日本の活断層(1970
東大出版会)」です。この段階では地学を勉学する技術者のみが使用していました。
この「活断層」という言葉が一般によく使われるようになったのは、兵庫県南部地震が契機となっています。「活断層」という言葉が各種メデイアを通じて一般化されるようになったのです。