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九州、関西に集中!平成24 年の水害被害額
 

平成25年10月2日

 
 国土交通省が平成24 年の水害被害額を発表しています。その概要は以下の通りです。通年を通しての被害金額3600億円に対して、H.24.7の九州北部豪雨が1520億円と40%を超えるような大きな被害を出しています。
 
■水害被害額は、全国で約3600億円(過去10カ年で4番目)

■被災建物棟数は、全国で約51000棟(過去10カ年で3番目)

■浸水区域面積  約17000ha(宅地・その他 4131ha、農 地 12667ha)

■主要な水害の被害状況
○梅雨前線豪雨(九州北部豪雨)(水害被害額:約1,520億円)
・国管理河川のうち、2 河川(花月川・矢部川)で堤防決壊したほか、5 水系7 河川で氾濫が発生
・国管理河川のうち、4 水系4 河川で観測史上最高の水位を記録
・被災建物棟数のうち、全壊流失・半壊棟数の割合が過去10 カ年で最大
○8月豪雨(水害被害額:約620億円)
・水害被害額のうち、一般資産等被害額の割合が約9割

※水害統計調査の概要
 水害統計調査は、都道府県を通じて実施する次の3つの調査により構成

(1)一般資産水害統計調査
 水害によって生じた一般資産の被害額等を把握するため、浸水深別被害建物棟数、被災世帯数等を調査する。なお、一般資産とは、以下の資産を指す。
 @ 建物 A 家庭用品 B 事業所資産 C 農作物 等

(2)公共土木施設水害統計調査
 水害によって生じた公共土木施設の被害額等を把握するため、被災施設、災害復旧事業費等を調査する。なお、公共土木施設とは、国土交通省所管の以下の施設を指す。
 @ 河川 A 海岸 B 砂防設備 C 道路 D 港湾 E 下水道 F 公園 等

(3)公益事業等水害統計調査
水害によって生じた公益事業等の被害額等を把握するため、物的被害額、営業停止損失額等を調査する。なお、公益事業等とは、以下の事業等を指す。
 @ 鉄道事業 A 水道事業 B 電力会社 C 電気通信事業者 等

 

 都道府県別では熊本県、福岡県、大分県の順で多く、次いで大阪府となっています。以下のマップで見ても九州と関西が多く、関東や中国、四国が少なかったように見えます。

 

都道府県別水害被害額

都道府県名水害
被害額
都道府県名水害
被害額
北海道 7,071滋賀県 1,175
青森県 1,668京都府 20,459
岩手県 1,042大阪府 42,646
宮城県 4,697兵庫県 1,267
秋田県 3,051奈良県 3,123
山形県 3,704和歌山県 6,525
福島県 2,085鳥取県 185
茨城県 983島根県 2,791
栃木県 1,151岡山県 7,065
群馬県 4,186広島県 1,728
埼玉県 59山口県 827
千葉県 537徳島県 809
東京都 86香川県 51
神奈川県 614愛媛県 1,311
新潟県 5,491高知県 2,350
富山県 2,881福岡県 56,215
石川県 1,716佐賀県 1,242
福井県 6,269長崎県 5,419
山梨県 1,141熊本県 63,765
長野県 2,289大分県 44,773
岐阜道 4,483宮崎県 3,534
静岡県 7,543鹿児島県 11,731
愛知県 4,702沖縄県 1,118
三重県 10,133合計357,688

国土交通省Press Releas「平成24 年の水害被害額の暫定値(全国・都道府県別)等について」から引用

 

 ゲリラ豪雨、異常気象などの影響か、対策整備がされ続けているにもかかわらず、水害は依然と猛威をふるっています。水害・・・人的被害は無論ですが、その他としてどんな被害があるのでしょうか。以下の被害が考えられます。

 @交通途絶による波及被害
 Aライフラインの停止による波及被害
 B経済被害の域内・域外への波及被害
 C医療・社会福祉施設等の被害
 D地下空間の被害
 E文化施設等における被害

 我々技術者が社会資本整備という切り口で社会貢献するには、被害を受けている実体とその復旧期間の違いにも目を向けなければなりません。

 最も顕著なのが水害規模による復旧期間の違いです。小規模な水害においては復旧にさほど時間を要しませんが、大規模かつ壊滅的に被災した場合には、非常に長期間を要することになります。例えば、ハリケーン・カトリーナで甚大な浸水被害を受けたニューオリンズ市では、被災から5 年を経過した2010 年においても人口は被災前の75.5%までしか回復していない等、未だに復旧が十分に進んでいない状況となっています。

 また、復旧に必要な人材や資材状況等による復旧期間の違いが上がられます。被災施設の補修にあたっては、損傷箇所の部品等の在庫状況や生産体制、作業人員の確保などの諸条件に左右されます。特にライフラインをはじめとする大規模設備類は受注生産であることが多いため、部品調達には長期間を要することが多いのです。

 さらに、住民、企業、ライフライン等の各部門の復旧状況が、相互に影響を与えることによる復旧期間の違いもあげられます。大規模な水害によってライフラインの復旧に時間を要すると、企業再開にも影響を与えることになります。また、企業が被災地域から撤退してしまうと、人口の地域外流出につながり、それがさらに他の企業活動に波及することもあります。


 以上のような点に留意の上、過去の事例を参考にしつつ、氾濫ブロック毎、水害規模毎に復旧期間を考慮した計画を行うこと、そんな視野の広い計画が技術者にも求められます。

参考として過去の災害と復旧期間を示します。道路に比べ鉄道は長くなります。またライフライン系は緊急の復旧がされています。

道路
平成22 年、豪雨により道道天人峡美瑛線で橋台上部が流出し、天人峡温泉につながる唯一の道が不通となり、温泉客ら300 人以上が孤立した。迂回路開通まで約4 日間不通
道路
平成22 年、豪雨により山口県周南市の国道489 号では、法面崩壊によって全面通行止めとなった。迂回路開通まで55 日
鉄道
平成22 年、豪雨により山口県美祢市・山陽小野田市のJR美祢線では、橋梁が流出したほか、盛土が約20m にわたって流出113)するなど、甚大な被害が発生した。復旧までに1年2ヶ月
鉄道
H17 年9 月6 日の台風14 号の豪雨により、宮崎県が出資する第三セクター「高千穂鉄道」では、鉄橋が流失するなど、甚大な被害が発生した。その後、再開を目指したが、資金を確保できなかったことから、経営継続を断念しH19 年9 月廃線
ライフライン
H12 年9 月の東海豪雨では、変電所の冠水や配電線の断裂などにより、中部管内で最大約33 万件が停電した。完全復旧には約5 日間
ガス
平成23年3月に発生した東日本大震災においては、仙台市ガス局管内においては約36万戸へのガス供給が停止した。4月16日までには東部沿岸地区等,津波被害が甚大で復旧作業ができなかった地区や,避難勧告区域などを除き、都市ガスの供給を再開
上水道
平成17 年台風14 号による洪水では、浄水場の多くが停止し、宮崎県内57,000 戸余りで断水した。特に宮崎市の富吉浄水場は、施設浸水により、応急復旧・断水解消まで45 日
下水道
平成23 年に発生した東日本大震災において、来襲した津波により仙台市南蒲生浄化センターが浸水。土木・建築構造物が破壊され、機械・電気設備が冠水、流失するなど、処理機能に壊滅的な被害を受けた。復旧までは5ヶ年程度を要すると見込
地下空間
平成5 年8 月27 日の台風11 号の水害では、赤坂見附駅が浸水し、14 時頃に丸ノ内線と銀座線が不通となった。
排水作業や施設点検などを実施し、28 日早朝に復旧
文化財
平成15 年7 月の豪雨では、福岡県飯塚市にある国の登録有形文化財で江戸歌舞伎小屋様式の嘉穂劇場が浸水、1階の舞台や客席が壊滅的な被害を受けた。修復、再開まで約1年1 ヶ月

 


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