水防法等の一部を改正する法律案が平成27年2月20日閣議決定されました。
洪水浸水想定区域の設定において、従来は国土交通大臣が定める洪水防御に関する計画の基本となる降雨を用いていましたが、改正案では、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充しています。
今回の法律改正は、
多発する浸水被害への対応を図るため、想定し得る最大規模の洪水・いわゆる内水・高潮に係る浸水想定区域制度への拡充、雨水貯留施設に係る管理協定制度の創設等の措置を講ずるほか、下水道管理をより適切なものとするため、下水道の維持修繕基準の創設等所要の措置を講ずる、としています。
この背景には以下の様なことがあります。
○近年、洪水のほか、内水・高潮により、現在の想定を超える浸水被害が多発
○都市における浸水被害の軽減のため、下水道整備のみでは対応が困難な地域における民間の協力等が必要
○今後、老朽化した下水道施設が増加する一方で、地方公共団体での執行体制の脆弱化が進む中、予防保全を中心とした戦略的維持管理
○更新により、下水道機能を持続的に確保することが必要
○エネルギー基本計画等を踏まえ、再生可能エネルギーの活用促進が必要
また改正案の概要は以下の通りです。
(1)想定し得る最大規模の洪水・内水・高潮への対策
現行の洪水に係る浸水想定区域について、想定し得る最大規模の降雨を前提とした区域に拡充するとともに、新たに、いわゆる内水及び高潮に係る浸水想定区域制度を設ける。
(2)比較的発生頻度の高い内水に対する地域の実情に応じた浸水対策
都市機能が集積し、下水道のみでは浸水被害への対応が困難な地域において、民間の設置する雨水貯留施設を下水道管理者が協定に基づき管理する制度等を創設するとともに、汚水処理区域の見直しに伴い、下水道による汚水処理を行わない地域において、雨水排除に特化した下水道整備を可能とする措置を講ずる。
(3)持続的な機能確保のための下水道管理
下水道の機能を持続的に確保するため、下水道の維持修繕基準を創設するとともに、下水道管理の広域化・共同化を促進するための協議会制度の創設、日本下水道事業団が高度な技術力を要する管渠の更新や管渠の維持管理及び下水道工事の代行をできるようにする等の措置を講ずる。
(4)再生可能エネルギーの活用促進
再生可能エネルギーの活用を促進するため、下水道の暗渠内に民間事業者が熱交換器を設置することを可能とする規制緩和を行う。
この動きは水防法だけにとどまらず、雨に関わる分野全てに関係してきそうです。目を通しておくことをお勧めします。
▽水防法等の一部を改正する法律案について(国交省HPへ直リンク)
http://www.mlit.go.jp/report/press/mizukokudo03_hh_000868.html
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