まだまだ年度末納品に向けてお忙しい時期ではありますが、来年度の国土交通省の予算概要をお伝えします。
平成29年度の予算ポイントは、
□平成29年度国土交通省予算
一般会計計 |
5兆7946億円(前年比1.00) |
東日本大震災復興特別会計 |
5318億円(前年比0.77) |
財政投融資 |
3兆6362億円(前年比2.09) |
となっています。
平成29年度の基本方針ですが、
・平成29年度予算においては、東日本大震災や熊本地震等による「被災地の復旧・復興」を加速させるとともに、「国民の安全・安心の確保」、「生産性向上による成長力の強化」及び「地域の活性化と豊かな暮らしの実現」の4分野に重点化し、施策効果の早期発現を図る。
・特に、激甚化する水害・土砂災害や切迫する巨大地震等から国民の生命と財産を守り、国土強靱化の取組を推進するため、防災意識社会への転換を図りつつ、ハード・ソフトを総動員した防災・減災対策を推進するとともに、戦略的なインフラ老朽化対策に取り組む。また、我が国の領土・領海を守るため、戦略的海上保安体制を構築する。
・あわせて、「成長と分配の好循環」による日本全体の成長力の底上げと地方創生を実現するため、ストック効果を重視した社会資本整備を推進するとともに、「コンパクト・プラス・ネットワーク」の形成や子どもから高齢者まで豊かに暮らせる住生活環境の整備など地域の魅力・活力の向上に取り組む。
さらに、訪日外国人旅行者数2020年4000万人等の目標達成を目指し、観光先進国の実現に取り組む。
(国土交通省「平成29年度予算の基本方針」)
やはり、「安全・安心」、「生産性向上」、「地域の活性化」、「土砂災害」、「巨大地震」、「国土強靭化」「インフラ老朽化対策」といった、現在の日本にとって重要な項目が全体方針に記載されています。
公共事業の効率的・円滑な実施では、
・公共事業の効率的・円滑な実施を図るため、改正品確法の趣旨を踏まえ、適正価格・工期での契約、地域企業の活用に配慮しつつ適切な規模での発注、工事の品質確保等に取り組む。
あわせて、国庫債務負担行為の活用等による施工時期の平準化やICTの全面的な活用等によるi-Constructionを推進する。
(国土交通省「平成29年度予算の基本方針」)
「改正品確法」、「施工時期の平準化」、「i-construction」、「ICTの活用」といったキーワードから、建設にかかわる事業の健全化に向かう姿が読み取れます。
平成29年度 予算の重点化(各項目)の中で、いさぼうネットが注目した予算、および、伸び率の高い予算は、
T.被災地の復旧・復興 |
(1)東日本大震災からの復興・創生 |
(b)インフラの整備 |
2,833 億円 |
U.国民の安全・安心の確保 |
(1)ハード・ソフトを総動員した防災・減災対策の推進 |
(a)水防災意識社会の再構築に向けた水害対策や土砂・火山災害対策の推進 |
4,735 億円
(1.03) |
(b)被害想定・リスク情報の共有等による災害対応の強化 |
12 億円
(1.53) |
(c)南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策等の推進 |
1,622 億円
(1.06) |
(d)火山、地震、津波、台風、集中豪雨等に対する観測・監視体制の強化 |
57 億円
(2.85) |
(2)インフラ老朽化対策の推進 |
(a)インフラ老朽化に対応する戦略的な維持管理・更新の推進 |
4,249 億円
(1.05) |
(b)次世代社会インフラ用ロボット開発・導入の推進 |
0.6 億円
(1.00) |
(3)生活空間の安全・安心の確保 |
(b)公共交通における安全・安心の確保 |
3 億円
(3.51) |
(c)踏切や通学路等の生活空間等における交通安全対策の推進 |
2 億円
(1.21) |
(5)戦略的海上保安体制の構築等 |
(a)戦略的海上保安体制の構築等 |
548 億円
(1.44) |
V.生産性向上による成長力の強化 |
(1)ストック効果を重視した生産性向上に寄与する戦略的な社会資本整備 |
(a)効率的な物流ネットワークの強化 |
2,529 億円
(1.06) |
(b)ストレスなく快適な旅行環境の整備 |
224 億円
(2.29) |
(a)PPP/PFI の推進 |
277 億円
(1.03) |
(c)インフラシステム輸出戦略の推進 |
37 億円
(1.14) |
(4)現場を支える技能人材の確保・育成等 |
(a)建設業、運輸業、造船業等における人材確保・育成、物流の生産性向上 |
34 億円
(1.10) |
W.地域の活性化と豊かな暮らしの実現 |
(1)コンパクト・プラス・ネットワークの形成 |
(d)地域の広域的な連携と「小さな拠点」の形成推進 |
3 億円
(1.20) |
(3)地域の魅力・活力の向上 |
(b)バリアフリー・ユニバーサルデザイン化等の推進 |
27 億円
(1.14) |
(c)離島、奄美群島、小笠原諸島、半島等の条件不利地域の振興支援 |
52 億円
(1.16) |
(d)アイヌ文化復興等の促進のための民族共生象徴空間の整備 |
6 億円
(4.60) |
といったものがあります。
全体的に、足元をみつつ、将来の国の形に沿った予算・投資の思想を感じました。
随所に、生産性革命、ICT、IoT、ビックデータ、AI、i-constructionというキーワードが出てきます。
ぜひ一度お時間ができましたら、予算から見える国の姿を確認してはいかがでしょうか。
▽平成29年度予算概要(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_005277.html
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