台風19号により、各地で土砂災害や河川の氾濫が相次いで発生しました。
災害の犠牲となられた皆様に哀悼の意を表しますとともに、行方不明となられた方々が一刻も早く救助されるようお祈り申し上げます。
また、負傷された方及び被災された方、ご家族、関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
台風第19号は12日19時前に大型で強い勢力で伊豆半島に上陸した後、関東地方を通過し、13日未明に東北地方の東海上に抜けました。
台風本体の発達した雨雲や台風周辺の湿った空気の影響で、静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となり、10日からの総雨量は神奈川県箱根町で1000mmに達し、関東甲信地方と静岡県の17地点で
500mmを超えました。
この記録的な大雨による被害は、未だ被害の全容が把握されていませんが、歴史上最大級の豪雨災害です。
雨は一旦は止みましたが、19日(土)は、東北地方の太平洋側で、低気圧の発達の程度等によっては大雨となるおそれがあるようです。
各地の気象台が発表する気象情報や気象庁ホームページの危険度分布に留意していただきたいと思います。
また雨が一旦止んでも、「深層崩壊」は数日後にも起こることがあります。
統計上は雨量が降り始めから400mmを超えると発生しやすいと言われています。
▽「深層崩壊」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/shinsouhoukai.html
深層崩壊の特徴は、以下のように地すべりとはやや異なります。
1) 斜面を構成する土塊は崩壊と同時にバラバラになって移動するか,あるいは原形を留めてすべり始めた後にバラバラになる。
2) 崩壊土塊(土砂)は高速で移動する。
3) 崩壊土塊(土砂)の大部分は崩壊範囲の外へ移動する場合が多い。
深層崩壊の移動土塊は、そのまま土石流となって流れくだる場合や
天然ダムを形成する場合、さらにはその天然ダムが決壊して土石流化する場合などがあります。
国土交通省では、事例から、第四紀隆起量と地質との関係を整理分析、
統一的な指標で深層崩壊の危険性を検討し「深層崩壊推定頻度マップ」
を作成し、公表しています(H22.8月)。
▽「深層崩壊推定頻度マップ」(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/000121614.pdf
今回の豪雨で、箱根では、観測史上最大の降水量が記録されました。
これまでは2011年7月19日に高知県魚梁瀬で記録された851.5mmでしたが、それを70mm上回りました。
今回の箱根の日降水量を見ると以下です。
2019年10月10日 | 7.0mm |
2019年10月11日 | 72.0mm |
2019年10月12日 | 922.5mm |
また、2019年10月12日の時間降水量は以下です。
時 | 降水量(mm) |
1 | 9 |
2 | 6 |
3 | 18 |
4 | 18 |
5 | 32 |
6 | 40 |
7 | 45 |
8 | 39.5 |
9 | 51.5 |
10 | 53.5 |
11 | 74.5 |
12 | 58.5 |
13 | 78.5 |
14 | 72.5 |
15 | 47 |
16 | 53 |
17 | 44.5 |
18 | 52.5 |
19 | 76.5 |
20 | 48.5 |
21 | 3 |
22 | 1 |
23 | 0 |
24 | 0 |
災害認定の基準である時間降雨量20mmを、5時〜20時まで16時間超え続けたのです。
災害復旧だけを考えても、“再度災害防止”として設計降雨量を上記に設定するのは他の設計規格とかなり乖離します。
全てのインフラ整備がこのようなレベルの降雨は想定していませんので、今後ハード対策、ソフト対策含めて設計基準や設計者の概念を再整理する必要性が問われています。
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