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会計検査院が「ため池の防災減災事業について」改善の処置要求
令和2年4月30日

 令和元年10月21日付で会計検査院から、「ため池の防災減災事業について」と題して会計検査院法第36条の規定による処置要求が会計検査院のホームページに掲載されました。

 今回は、この処置要求について解説します。

 検査は、平成25年度から平成30年度までの間に、23府県において、防災減災事業により詳細調査が実施された10,346か所のため池を対象としてとして実施されました。

 検査の結果、会計検査院より大きく2つの指摘がありました。要旨は下記の通りです。

1.対策工事の必要性が適切に判定されていない
 
@  平成31年3月末現在、検査の対象とした10,346か所のうち豪雨調査が実施された7,860 か所のため池が所在する7県において、豪雨調査の照査内容を検査したところ、 3,936か所については要改修ため池と判定されていなかった。
A  耐震調査において対策工事の必要性が適切に判定されていない
平成31年3月末現在、検査の対象とした10,346か所のうち耐震調査が実施された3,199か所のため池が所在する23府県において、耐震調査の照査内容を検査したところ、21府県の2,774か所については、貯水量が10万m3未満であったり、堤高が10m未満であったりするなど、規模等による目安を満たさないことなどから、被災による影響を十分に検討することなく、重要度区分がAA種に該当しないとして、 L1照査のみにより耐震性能が評価されており、L2照査は実施されていなかった。
上記のAA種に該当すると認められるため池は16府県※131箇所である。


※京都府、福島、群馬、千葉、新潟、山梨、岐阜、静岡、兵庫、和歌山、島根、福岡、長崎、
 大分、宮崎、鹿児島

2.要改修ため池について対策工事が実施されるまでの間に適切なソフト対策が実施されていない
 


平成31年3月末現在、検査の対象とした10,346か所のため池のうち、要改修ため池は23府県の5,604か所となっており、このうち23府県の5,351か所については、対策工事に着手されていなかった。これら5,351か所の要改修ため池については、前記のとおり、対策工事の実施には所要の時間・調整を必要とすることから、対策工事が実施されるまでの間、災害を未然に防止するために、ため池管理者等による適切なソフト対策を講ずる必要がある。


1及び2を受けた都道府県等に対する改善処置要求内容は下記の通りです。

@  詳細調査の実施に当たっては、ため池指針を参考とするなどして、200年確率洪水流量等に基づく水理計算により照査を行ったり、規模等による目安だけではなく被災による影響を十分に検討して重要度区分を決定したりするなどした上で、ため池の対策工事の必要性を適切に判定するよう指導すること。また、対策工事の必要性が適切に判定されていないため池については、必要とされる照査を改めて実施するなど、対策工事の必要性を把握するための方策を速やかに検討するよう指導すること
   
A 監視・管理体制の強化等に係るソフト対策として実施すべき具体的な事項を示した上で、要改修ため池について、対策工事を実施するまでの間、詳細調査の結果に応じた適切なソフト対策が講じられるよう指導すること。また、十分なソフト対策が講じられていない要改修ため池について、ため池管理者等と速やかに調整するなどして、ソフト対策が講じられるよう指導すること

 詳細は以下ページからご確認ください。

▽「会計検査院法第36条の規定による処置要求」(会計検査院)
https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/31/r011021_1.html

<参考リンク>

▽農研機構 2019年12月19日
(研究成果) ため池の耐震診断を低コスト・短期間で行える手法 - 本格的な詳細診断の要否を判断 -
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/133200.html

 

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