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自然災害を考える
〜1年間、ご愛顧ありがとうございました〜
令和5年12月28日

 早いもので、令和5年を振り返る時期が来ました
 内閣府の「防災情報のページ」、国土交通省砂防部の「災害情報」などを参考に、今年の自然災害や気象を振り返ってみます。

 ■今年の夏は暑かった。秋以降、台風は少なかった。

 今年の夏は、真夏日連続○日で記録更新といったニュースをよく耳にしました。気象庁は12月22日に、2023年の天候のまとめ(速報)を発表しました。
 これによりますと、2023年の日本の年平均気温偏差は+1.34℃(1〜11月の期間から算出した速報値)で、統計を開始した1898年以降、これまで最も高い値だった2020年の+0.65℃を大きく上回り、最も高い値となる見込みであることが明らかとなりました。特に北・東・西日本でかなり高く、統計を開始した1946年以降、北・東日本では春・夏・秋の3季節連続で季節平均気温が1位の高温、西日本では夏の平均気温が1位タイの高温となりました。
 併せて気象庁では2023年の台風のまとめ(速報)も発表してます。台風の発生数は平年より少ない17個(平年値25.1個)、9月以降の発生数は5個(平年値11.6個)となり、統計開始以降最も少なくなりました。
 台風の発生が少なかったこともあり、東・西日本太平洋側と沖縄・奄美では、秋の降水量はかなり少ない記録となっています。

 ■昨冬も大雪による大規模立ち往生が発生

 暑い夏の一方、冬季には大雪による大規模立ち往生が毎年のように発生しています。昨冬も新潟県を中心に大規模立ち往生が発生しました。令和4年12月18日から12月19日に、新潟県柏崎市・長岡市を中心に日本海寒帯気候収束帯(JPCZ)による集中的な降雪があり、24時間で1mに達する積雪を観測しました。長岡・柏崎周辺地域では、北陸道・関越道が最長約52時間に及ぶ通行止が発生、平行する国道8号、17号で立ち往生車が多発し、柏崎地区では22km、長岡地区では33kmの車両滞留が生じました。

参照先

令和4年12月長岡・柏崎地域の大雪に関する検証について

(国土交通省 北陸地方整備局)

 ■土砂災害件数は昨年を上回る見込み。局所災害が多かった

 今年は、広域かつ大規模な風水害は少なかったものの、線状降雨帯に起因した局所的な大雨による風水害、土砂災害が全国各地で多く発生しました。
 国土交通省砂防部では、平成15年以降、土石流等、地すべり、がけ崩れの発生件数を公表しています。令和5年11月30日時点では、土石流等110件、地すべり53件、がけ崩れ556件、合計1,450件であり、令和4年の795件を上回る件数となっています。
 今年の災害の特徴として、がけ崩れの比率が非常に多くなっています。9月5日から9月7日にかけて日本の南を通過した台風13号による大雨では、線状降水帯の影響で、270件のがけ崩れが生じました。特に千葉県で235件と非常に多くの災害が発生しました。

 国土交通省砂防部調べによる土砂災害の集計は、都道府県ごとの数値も公表されています。そこで、平成15年から令和4年までの20年間、都道府県別に集計してみました。

 過去20年間で土砂災害が多いのは、1位:新潟県、2位:広島県、3位:神奈川県。一方、少ないのは、45位:滋賀県、46位:大阪府、47位:埼玉県となります。
 1位の新潟県は地すべり、2位の広島県は土石流等、3位の神奈川県はがけ崩れで、それぞれ全国トップとなっており、地域性を反映した結果となっています。
 令和5年にがけ崩れが200件以上発生した千葉県は、過去20年間のがけ崩れ件数は560件と特に多い地域ではありません。線状降水帯に代表されるような、より局地的な強い雨に見舞われることで、これまで経験していないタイプの災害が生じることが多くなりつつあるのかもしれません。

 大手検索サイトGoogleでは、都道府県別の年間検索トップ5を毎年12月に公表しています。令和5年のデータでは、自然災害に関連したキーワードでランクインしているのは、4つと例年と比べ少ない結果となっています(令和4年-6件、令和3年-10件、令和2年-24件)。広域的な自然災害が少なかったことを反映しているものと思われます。

 ■能登半島で震度6強の地震が発生

 今年の震度5以上の地震は8件と、比較的少ない状況でした。震度6強が1件、震度5強が2件、震度5弱が5件となっています。
 令和5年5月5日には令和5年奥能登地震(M6.5)が発生し、石川県珠洲市で震度6強を記録しました。この地震による死者・行方不明者は1名、住宅被害は全壊18棟、半壊15棟となっています。石川県能登地域では、平成30年頃から地震回数が増加傾向にあり、令和2年12月頃から地震活動が活発になっていました。今回の地震の約1年前、令和4年6月19日には、震度6弱の地震が起きており、その災害復旧の最中、再度被害が生じた箇所もありました。


 今年は風水害、地震災害とも大規模で広域なものはなかったものの、それぞれの地域で局所的で多様な災害が生じた1年だったかと思います。
 引き続きいさぼうネットでは、防災・土木に関わる幅広い情報をいち早く伝えることに精進していきたいと思います。今年も1年間ご愛顧いただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。

 

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