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「だいち4号」搭載のH3ロケット3号機が打ち上げ予定!
令和6年6月27日

 2024年6月30日、H3ロケット3号機が、鹿児島県種子島宇宙センターより打ち上げ予定です。

 H3ロケットとは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業によって開発された国産の新型ロケットです。試験1号機は2023年3月、なんと打ち上げに失敗・・・、まさに背水の陣で挑んだ試験2号機は2024年2月17日に見事打ち上げに成功、H3ロケットが宇宙に行ける事を証明しました。そしてこの度、晴れて試験機の名称が外れた3号機が旅立ちの日を待っています。
 今回、H3ロケット3号機には、先進レーダ衛星『だいち4号』(ALOS-4)が搭載されます。

 『だいち4号』(ALOS-4)は、日本が継続的に開発してきた観測センサであるLバンド※1合成開口レーダ※2により、地球を観測する人工衛星で、現在運用中の『だいち2号』(ALOS-2)の後継機にあたります。
 ALOS-2の合成開口レーダ(SAR)技術は、令和6年能登半島地震でも威力を発揮しました。震災前と震災後の観測データの比較解析(干渉SAR時系列解析※3)により、能登半島外浦では最大4m程の隆起(地殻変動)が面的に生じたことが明らかとなりました。
 ALOS-4では、ALOS-2と比較して、観測幅が4倍の200km、観測頻度も年4回から年20回へ増加します。地上局へのデータ転送速度も4.5倍高速(3.6Gbps)となるシステムが開発されたそうで、これは一般的な家庭のインターネット回線(1Gbps)と比べても非常に速くなります。
 これらの性能向上により、災害時の緊急の観測要請に応えたり、より多くのデータを地上に伝送できるようになるとの事です。さらに、平時の監視による火山活動、地盤沈下、地すべり等の異変の早期発見など、減災への取組においても重要な役割を担う事を期待されています。

 この『だいち4号』(ALOS-4)は、当初計画ではH3ロケット試験2号機に搭載される予定でした。しかし、試験1号機の打ち上げ失敗により、『だいち3号』(ALOS-3)を失ってしまいました。もし、試験2号機の打ち上げにも失敗して『だいち4号』(ALOS-4)も失ってしまったら・・・・設計寿命を越えて運用中の『だいち2号』(ALOS-2)はいつ故障してもおかしくない現状で・・・・日本の周辺の観測に深刻な空白期間が発生する懸念がありました。そのため、試験2号機へのALOS-4搭載は見送られ、今回、満を期して3号機での打ち上げとなりました。

 H3ロケット3号機の打ち上げはライブ中継が行われるほか、全国各地でパブリックビューイングも用意されます。今後の我が国の地殻変動観測や防災・減災に大きな役割を担ってくれるであろう『だいち4号』(ALOS-4)の旅立ちを見守りましょう!

※詳細については、下記の国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構のページをご覧下さい
▽「【JAXA|ALOS-4×H3特設サイト】」(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)
https://fanfun.jaxa.jp/countdown/alos4-h3/live-public_viewing.html
▽「だいち4号(ALOS-4)」(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)
https://www.satnavi.jaxa.jp/ja/project/alos-4/
※1
Lバンド(波長24cm)とは電波の種類の1つであり、植生への透過性が高い特徴を持つ。他のSAR衛星が良く使っているXバンド(波長3cm)やCバンド(波長6cm)では葉や細い枝で電波が反射してしまうが、波長の長いLバンドは一部が地表面まで届き、安定した観測が行えるので国土の3分の2が森林の日本に適している。
※2
合成開口レーダとは、航空機や人工衛星などの移動体に搭載され、マイクロ波と呼ばれる電波を照射し、返ってきた電波を元に観測対象を把握する観測技術を指し、通称SAR (synthetic aperture radar)と呼ばれている。SARの観測は太陽光を必要とせず、用いる電波は雲や雨を通り抜けることから、夜間や悪天候であっても地上の様子や変化を観測できる。
※3
干渉SAR時系列解析とは、異なる時期の2回の観測から、電波の波の位置(位相)を比較した違いから地表がどれだけ動いたかを計測する技術。『だいち4号』(ALOS-4)運用後は、高度な干渉SAR解析技術を持つ国土交通省国土地理院との連携によって、日本全土の観測が計画されている。

 

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