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国土地理院が旧版地形図データのオンライン販売を開始
令和7年9月18日
国土地理院が、旧版地形図の画像データ提供を2025年9月1日に開始しました。対象は明治時代以降に作成された2万5千分1および5万分1の地形図で、600dpiの高精細TIFF形式で提供されます。これまで、旧版地形図を入手するには、国土地理院へ謄本あるいは抄本の交付を請求する手続きが必要であり、気軽に入手できるイメージではありませんでした。今回のデジタル提供開始により、手続きが大幅に簡素化され、ネットで早く安く、旧版地形図データが入手できるようになりました。
旧版地形図は、都市の発展や自然地形の変遷を読み解くための貴重な資料です。地域の地形や過去の土地利用の変遷を調査・学習する教材として、災害リスクの確認、郷土史研究といった多様な目的で活用されます。例えば、災害や防災といった観点では、液状化が発生した箇所の土地の履歴を確認する、過去に谷埋め盛土がなされた可能性を概略的に確認するといった用途に活用されています。
(1)最高画質はオンライン閲覧所で確認
国土地理院では2025年4月1日より「オンライン閲覧所」が運用開始されています。オンライン閲覧所とは、地図・空中写真閲覧サービスで検索した地図類を最高画質で閲覧できる場所です。データ購入前の確認に便利ですが、使用するためにはユーザー登録※1を行い、ログインする必要があります。
地形図であれば600dpi、空中写真であれば1200dpi(陸軍撮影の空中写真は400dpi)の画像がWEB閲覧可能となっており、従来より高解像度の画像が提供されるようになりました。当然ながら、最高画質の画像データは閲覧のみでダウンロードはできません。
図1 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスサイトにおける旧版地形図の表示例
最高画質画像の表示や地図購入サイトへの移動が可能になっている
(2)旧版地形図のダウンロード販売
旧版地形図は、国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスサイトからのリンクで、日本地図センターにて1枚610円(税込)で購入可能です。購入の際には、日本地図センターへのユーザー登録が別途必要となり、銀行振り込みかクレジットカードで決済を行います。決済が完了すると、登録したメールアドレス宛に注文を受け付けた旨の案内が届き、30分〜1時間程度後にメールにてダウンロード案内が届く仕組みです。
(3)旧版地形図を購入して最新地形図と重ね合わせ図を作成してみた
いさぼう編集部恒例のやってみた企画。令和6年能登半島地震で液状化被害が大きかった石川県内灘町付近の旧版地形図を購入し、QGISにて最新地形図と重ね合わせて比較してみました。内灘町は、2万5千分の1地形図「津幡」に含まれます。この地域では、河北潟と呼ばれる内灘砂丘によりせき止められた海跡湖があって、戦後より一部干拓が進められてきました。昭和38年からは、国営事業とし干拓を本格化、昭和60年に事業が完了している歴史があります。
津幡図幅の発行履歴(表1)を確認してみると、戦後の昭和22年から間があいて昭和45年(干拓開始後)に発行されています。そこで、干拓前の昭和22年の地形図TIFFデータを、さくっとネットで注文。約2時間弱でデータがダウンロード案内のメールが届きました(図2)。購入したTIFFデータはGeoTIFFデータではないため、GISソフトに読み込んでも、座標を有していません。重ね合わせには、図幅の4隅に記載される緯度経度を基準に、GISにてジオリファレンスと呼ばれる座標合わせ作業を行う必要があります。60進の緯度経度座標を10進にまず変換、当時の投影座標系であるTokyo Datumにてジオリファレンスし、GeoTIFF作成完了。ここまで要した時間は30分程度です。
表1 旧版地形図2万5千分の1「津幡」の発行履歴
地図種別 測量年 更新履歴 発行年月日
2.5万地形図 1930(昭5) 測図 1934/06/30(昭 9)
2.5万地形図 1930(昭5) 測図 1947/11/30(昭 22)
2.5万地形図 1968(昭43) 改測 1970/03/30(昭 45)
2.5万地形図 1970(昭45) 修正 1973/03/30(昭 48)
2.5万地形図 1977(昭52) 修正 1979/12/28(昭 54)
2.5万地形図 1984(昭59) 修正 1986/10/30(昭 61)
2.5万地形図 1994(平4) 修正 1995/11/01(平 7)
2.5万地形図 2000(平12) 修正 2001/07/01(平 13)
2.5万地形図 2020(令2) 調整 2021/01/01(令 3)
図2 2万5千分の1地形図「津幡」昭和22年発行 購入TIFFデータ
さて、やっと本題。QGISにて現在の地理院地図(標準地図タイル)と入手した昭和22年の地形図TIFFを重ね合わせてみたのが図3です。現在の地形をわかりやすく表現するため、林野庁提供の赤色立体図(能登地域2024)を標準地図に焼き込んでいます。GISにはラスタ同士であっても、一方をいい感じに透過し、焼き込む機能があるため、重ね合わせが可能です。
液状化被害の大きかった内灘町西荒屋付近では、干拓地造成に伴い、砂丘丘陵地より砂を採取し、堤防に用いたことが知られています。新旧地形図の重ねることで、砂丘砂採取前の山際線、干拓前の水域線と現在の地形の関係が明瞭となります。このような地形変遷が液状化発生およびその被害メカニズムを考える上で重要であることが、複数の専門家により指摘されています。
以上のように、従来は絶版により入手困難、入手できたとしても紙注文のため、手元に届くまで数日から数週間かかった旧版地形図が、購入から重ね合わせまで半日程度で可能となりました。迅速に地形解析できることは、災害発生時に地盤変状の現状把握やメカニズムの推定、応急対策を検討する上で非常に有益と考えられます。来るべき有事に向けて、ぜひ平時にお試しすることをオススメします。
図3 内灘町西荒屋付近の新旧地形比較結果(旧版地形図は昭和22年)
※1
ログインに必要なID・パスワードは、基準点成果等閲覧サービスや、地図・空中写真閲覧サービスなどのサービスと共通です。ただし、令和7年4月1日以前のID・パスワードをお持ちの場合は、国土地理院共通ログイン管理システムの運用終了に伴い、現在は使えなくなっているので再登録が必要となります。
▽「2万5千分1地形図(旧版)及び5万分1地形図(旧版)データ」(国土交通省国土地理院)
https://www.gsi.go.jp/MAP/map_data41031.html
▽「オンライン閲覧所」(国土交通省国土地理院)
https://service.gsi.go.jp/form/top/
<参考リンク>

▽「新規登録マニュアル」(国土交通省国土地理院)
https://www.gsi.go.jp/common/000271123.pdf

 

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