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総務省は、令和7年度補正予算で『自立性確保に向けた低軌道衛星インフラ整備事業』に1,500億円新規計上し、日本国内で運用・管理される低軌道衛星(LEO)通信インフラを整備する方針を示しました。
低軌道(LEO)衛星コンステレーションとは
低軌道衛星コンステレーション(Constellation)とは、高度数百〜2千kmに複数の小型人工衛星を配置し、連携させることで一つの大きなネットワークとして機能させる仕組みを指します。
低軌道衛星はカバーできる範囲が狭く、地球の自転と同期していないので常に同じ位置を観測出来ないため、複数の衛星でネットワークを構築し、地球全体をカバーします。こうする事で、どの地点の上空にも常に衛星が存在する状態になりますので、災害発生時でも通信が途切れにくく、高速・低遅延の通信を行うことができます。
近年では、アンテナが無くても直接スマートフォンと衛星の接続を可能とするため、高度約100km〜450kmの超低軌道(VLEO:Very Low Earth Orbit)での運用を行う技術開発が進められています。
日本の衛星通信インフラを前に進める1,500億円の支援スキーム
1,500億円の事業費は、国が直接整備を行うものではなく、基金設置法人を通して民間の事業者の下記取り組みに補助を行うことで後押しし、事業化の呼び水として活用される予定です。
- 1.衛星の調達
- 2.衛星の打上
- 3.地上設備の整備
海外依存を減らすために求められる国内衛星インフラの整備
既に日本でもSpaceX社の「Starlink」を用いることで、個人でもDTC※1サービスを受けることができ、2026年中にamazon社の「Kuiper」がサービス提供開始を予定していることから、DTC技術はますます身近なものになり、近い将来には山や海上など、空が見えている場所であればどこでも大容量通信が当たり前の時代が訪れることが予想されます。
ただし、これらのDTC技術は海外企業が運用しているため、国際情勢や事業者の判断に左右されるリスクがあります。通信仕様の変更やサービス制限が行われれば、国全体の通信安全保障にも影響を及ぼしかねません。今回の予算計上には、民間事業者への後押しを行うことで、こうした海外依存のリスクを減らし、国内で運用・管理できる自律的な衛星通信インフラの開発を加速させたいという狙いがありそうです。また、令和8年度の予算概算要求に低軌道衛星インフラ整備事業として挙げていたのに、令和7年度補正予算に前倒したことから、早期に整備を進めたいという意向が読み取れます。今後の新たな国内サービスの動向に大注目です。
※1
Direct to Cellの略で、スマートフォンと通信衛星を直接繋ぎ、データ通信を可能にする技術。
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