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『いさぼう技術ニュース』 平成24年10月25日号
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★ 活断層の定義が変わる? ★
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活断層の定義が変わります。
といってもこれは学術的な意味ではなく、原子力規制委員会からの発信です。
10月23日原子力規制委員会の地震分野を担当する島崎邦彦委員長代理は、
原発に適用されてきた活断層の定義を大幅に厳格化する考えを示しました。
これまでの定義である現行の原発の耐震設計指針では、12万〜13万年前以降
に動いた断層を活断層と定義し、その上には原発を建てないことになっていま
すが、これを40万年前以降にまでさかのぼって動いていないことを求めるとい
うのです。
その理由として40万年前以降は現在と同じような力が地下にかかっているとの
考えは、隆起した地形などからみて専門家の間では一般的な考えになっている、
と説明、40万年前以降に動いた断層は今後も動く活断層の可能性があると指摘
しました。ある意味納得です。
原子力規制委員会では来春までに策定する安全基準原案に盛り込み、規制は
大幅強化される見通しです。
今回定義が変わるのは、原発の耐震設計指針ですが、同様の定義はダムなど
他の重要構造物にも準用されており、今後物議をかもしだしそうです。
一方学術的にはどう定義されているかというと、厳密な規定はないですが、
現代の地質・地形学の分野では、第四紀または第四紀の後期(およそ数10万年
前以降)とされています。
また、日本の活断層データを集大成した「新編日本の活断層」(活断層研究
会編、1991年)では、第四紀(約200万年前から現在まで)に繰り返し動いた
断層を活断層としています。
「断層」は地殻表層に於ける物理的実態ですが、「活断層」はあくまで学問
上の概念です。概念は社会通念を反映して変化します。従って、「活断層」の
意味も捉え方も、昔と今とではかなり変わってきています。
「活断層」という概念は、1965年に地震予知計画が発足し、その一環として
活断層研究が全国規模で始まったところに始まります。
その最初の成果が「日本の活断層(1970 東大出版会)」です。この段階では
地学を勉学する技術者のみが使用していました。
この「活断層」という言葉が一般によく使われるようになったのは、兵庫県
南部地震が契機となっています。「活断層」という言葉が各種メデイアを通じ
て一般化されるようになったのです。
言葉は一般的になったのですが、過去数10万年以内に動いた形跡のある断層、
と言われても一般の方にはピンと来ません。まあ一般の方が調査や設計をする
わけではないので、いいのかもしれませんが、国や有識者と言われる方々の
説明下手と言われている一部でしょうか。
税金の使われ方は最終的には一般の方が選挙で決定するわけですから、もう
少し気を使っていただきたい思いはあります。
さて、一般の方により近い立場・切口で作成されたのが、阪神大震災後、
出版された「大都市周辺活断層図」です。これについても色々異論があります
が、技術者としては自分の経済圏については目を通しておいたほうが良いでし
ょう。
▽いさぼう通達、業界ニュース「活断層の定義が変わる?」
http://isabou.net/Convenience/aviso/index.asp
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