いさぼうネット
賛助会員一覧
こんにちはゲストさん

登録情報変更(パスワード再発行)

  • rss配信いさぼうネット更新情報はこちら
土木工法カタログ TOP いさぼうネット HOME
災害情報 戻る

東日本大震災でのがれき処理

東日本大震災の関連情報へ戻る

がれき処理関連ニュース


がれき処理
 東日本大震災の復興では、がれきが大きな問題となっています。災害に伴うがれきは家庭ごみと同じ一般廃棄物に分類され、仮置き場への撤去や分別、最終処分は市町村が担います。政府は処理費を全額国費負担とする一方、被害が甚大な市町村について、地方自治法に基づき県が業務を代行できる特例措置を適用。岩手、宮城両県の市町村から要請が相次ぎ、このほか環境省は、焼却や最終処分を広域で行うため全国の自治体に協力を求めています。

 このような予算や実効面はさておき、いさぼうネットでは技術者のために、このがれき処理の技術的見地から見た情報を集めてみました。先ず平成23年5月18日に、東日本大震災からの復興に向けた環境省の基本的対応方針が発表されています。

 

1. マイナスの状態から、まっさらな状態(ゼロ)に戻すべく、少なくとも居住地等の近傍にある災害廃棄物を本年8月末を目途に概ね撤去する。また、適切な分別により、木質系廃棄物、コンクリートくず等の有効活用を推進する。このため、広域処理体制の整備とともに現場での処理の迅速化にも積極的に関与する。
2. 放射性物質により汚染されたおそれのある災害廃棄物の処理方法を検討し、安全かつ適切な処理を進める。
3. 東北地方のポテンシャルを活かした再生可能エネルギーの大胆な導入を行う。また、ライフスタイルの転換による節電や災害に強い分散型エネルギーを整備することでエネルギー効率のよい東北を生み出す。
4. 東北の特徴を活かした新「三陸復興国立公園(仮)」への再編成を通して、水産業の振興、観光地としてのブランド化を目指し、地域再生の起爆剤とする。被災を記録・継承するための学びの場を設けるとともに、災害時の緊急避難場所・避難路となる「鎮魂の森」や「三陸海岸トレイル」を整備する。
5. 東北地方に立地する動脈産業と静脈産業をネットワーク化し、資源性廃棄物を徹底利用することで最先端の循環ビジネス拠点として再生する。
6. 5月下旬から6月にかけて被災地における環境モニタリング調査を実施(福島県内の公共用水域及び地下水並びに海域においては、放射性物質のモニタリングも実施)するとともに、土壌汚染対策の支援等、健康被害・風評被害の防止へ貢献する。
7. 災害に強く、環境負荷の低いまちづくり(東北のエコタウン化)のため、公共施設等への設備導入や計画策定の支援等を行う。

 この中で、がれき処理に関連するものは1,2,3でしょうか。

 1については、全日本漁港建設協会からは、被災した漁船の魚礁としての活用のほか、コンクリートがれきの魚礁や海底山脈造成への再利用などを検討。環境省などと藻場や人工リーフへの活用策も協議し、使用するがれきの種類・大きさ、品質面での考え方を整理した考え方が提案されています。一方国土交通省は、東日本大震災の被災地で大量に発生したがれきを復興工事の建設資材として再生利用するためのガイドラインを策定します。被災地のがれきは津波によって発生したため海水に漬かっており、活用に当たって塩分の含有を考慮する必要があります。がれきを宅地の盛り土に使用する場合は、▽塩分・アルカリ量の科学的性質▽圧縮強度・経年変化の物理的性質▽施工上の注意点、上部構造物との関係−などを検討。がれきの使用部位別に想定される課題と対応策、コストなどを整理し、技術指針の内容を固めるようです。

 2については、環境省は5月15日、福島第一原発の事故の影響で放射性物質が付着した可能性がある福島県のがれきについて「測定された放射線量が一定以下にとどまる場合は、焼却処分できる」との方針を示しています。空気中へのセシウムの放出を「ほぼ100%」防げる焼却施設を新たに建設し、今後、焼却ができる放射線量 の基準値などを検討していくようです。

 3について、日本プロジェクト産業協議会では、岩手県釜石市でがれきの効率的な撤去・処理につなげるため、岩手県釜石市で建設業界や産業廃棄物処理業界と連携して試行事業を実施します。釜石市板木山などを仮置き場として活用する予定で、木くずを木材チップに加工してバイオマス発電に活用するなど出口戦略も検討し、復興計画と連動したがれき処理につなげるようです。また前田道路は、東日本大震災の被災地で発生したがれきをアスファルト合材工場で受け入れる方針を打ち出し、東京総合合材工場(東京都江東区)で、がれきに含まれる木質系廃材を受け入れ、バイオマス発電に活用します。発電した電力は合材製造に用いるほか、余剰分は売電して夏場の電力不足対策にも貢献していくようです。


◆東日本大震災に係る被災地における生活の平常化に向けた当面の取組方針(内閣府)
 (平成23年5月20日) 平成23年東北地方太平洋沖地震緊急災害対策本部
http://www.cao.go.jp/shien/0-gaiyo/torikumi.pdf
◆東日本大震災からの復興に向けた環境省の基本的対応方針(平成23年5月18日現在) [PDF:136KB]
http://www.env.go.jp/jishin/kihon-hoshin.pdf
◆東日本大震災に係る災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)について[PDF:1,166KB](平成23年5月16日)
http://www.env.go.jp/jishin/attach/haiki_masterplan.pdf

関連ニュース

 がれき処理に関するニュースをまとめました。

国交省/がれき再利用へ技術指針、専門家で検討/処分量減容化、盛り土や擁壁に  H23.05.23
 国土交通省は、東日本大震災の被災地で大量に発生したがれきを復興工事の建設資材として再生利用するためのガイドラインを策定する。宅地造成や公園・緑地整備などの復興工事での活用策を検討。専門家による検討組織を設けて11月をめどに中間成果を取りまとめ、被災地の復興計画に役立てていく考えだ。
 今回の震災で発生した災害廃棄物は2500万トンと推計され、大量のがれきの早期撤去が復旧・復興事業を進める上での大きな課題になっている。被災地では集積場の確保が難しく、処理施設の能力にも限界があるため、がれきのリサイクルによる最終処分量の減容化が求められている。
 同省は、宅地造成や公園・緑地整備などにがれきを活用するための前段の取り組みとして、自治体が行った被災宅地危険度判定の調査結果を被災状況や推定震度などの観点から整理・分析し、判定基準の見直し作業を進める。同様に地盤工学会など関係学会や大学などの研究機関の報告書を基に、津波の外力による宅地被害や、盛り土・擁壁の防護効果で被害が軽微だった宅地の状況分析を行う。公園・緑地の被災状況については6自治体12地区を抽出し、現地調査やヒアリングなどを実施する。
 これら一連の調査・分析結果を踏まえ、被災実態に即したがれき活用策を検討し、技術指針を策定する。今後、地震、地盤・土木、自然災害、植栽基盤、造園といった関連分野の有識者や国の研究機関による検討会やワーキングチームを設置し、意見を反映させる。被災地のがれきは津波によって発生したため海水に漬かっており、活用に当たって塩分の含有を考慮する必要がある。がれきを宅地の盛り土に使用する場合は、▽塩分・アルカリ量の科学的性質▽圧縮強度・経年変化の物理的性質▽施工上の注意点、上部構造物との関係−などを検討。がれきの使用部位別に想定される課題と対応策、コストなどを整理し、技術指針の内容を固める。(日刊建設工業新聞)

 

前田道路/被災地のがれき受け入れ/バイオマス発電に利用、余剰分は売電  H23.05.20
 前田道路は、東日本大震災の被災地で発生したがれきをアスファルト合材工場で受け入れる方針だ。東京総合合材工場(東京都江東区)で、がれきに含まれる木質系廃材を受け入れ、バイオマス発電に活用する。被災地支援に取り組む東京都から打診され、「要請があれば、積極的に受け入れていくと回答した」(技術部)という。発電した電力は合材製造に用いるほか、余剰分は売電して夏場の電力不足対策にも貢献していく。
 東京総合合材工場では、建設廃材の木くずを使ったバイオマス発電を行い、合材製造時に必要な電力をすべて賄う取り組みを数年前から展開してきた。今回、都から被災地にがれきとして散在する木くずの受け入れが可能かと打診され、前向きに対応することにした。
 同社は震災後、首都圏の電力不足が懸念される中、同工場の余剰電力(一般家庭600世帯分)を電力会社に供給していくことを表明している。被災地から受け入れる木くずを使った電力も引き続き供給し、夏場の電力需要に応えていく考えだ。(日刊建設工業新聞)

 

全日本漁港建設協会/がれき活用した海域再生を提案/被災地会員の仕事量確保も  H23.05.18
 全日本漁港建設協会(長野章会長)は、東日本大震災の復旧・復興に向けた提言・提案活動を積極展開する。津波の被災地のがれきを再生利用して人工リーフや海藻礁を整備するなど、がれき処理事業を通じて会員企業などが海域再生事業を提案できるよう、海域でのがれき再利用に関する指針をまとめ、関係機関に提案する考え。被災県の会員各社を対象に地元の復旧事業への参画状況も調査中で、その結果を踏まえ発注機関への要望活動を展開する方針だ。
 東日本大震災で被災した漁港・漁村の復旧・復興に向け、同協会は復興支援検討委員会の設置に向けた準備会を発足させ、漁港・漁村の復旧復興計画の基本構想、漁業再建の支援計画などを検討テーマに設定した。まずは先行してがれき処理の基本的考え方を整理し、ガイドラインの作成やがれきの再利用、事業の具体化を検討するワーキンググループを設けて行政や関係団体に検討成果を提言していく計画だ。被災した漁船の魚礁としての活用のほか、コンクリートがれきの魚礁や海底山脈造成への再利用などを検討。環境省などと藻場や人工リーフへの活用策も協議し、使用するがれきの種類・大きさ、品質面での考え方を整理している。
 岩手、宮城、福島の被災3県の会員企業を対象に、復旧事業の取り組み状況に関する調査も実施。来週にもまとめる調査結果を踏まえ、地元業者が復旧事業で活躍できるようにする対応を行政側に求めたり、作業船や重機が流失・大破した会員企業に対する設備融通への協力を全国の会員各社に呼び掛けたりするなど、対応策を随時打ち出す。
 長野会長は「各支部は船の融通に協力する姿勢を示しているが、ボランティアではなく企業の事業活動として仕事に確実性、継続性があるかどうか、不安を感じている」と指摘しており、復旧事業の発注量の増大や、当面の発注計画の公表などを関係機関に求めていく方針だ。(日刊建設工業新聞)

 

がれきの最終処分、2013年度末までに 環境省が通知  H23.05.17
 環境省は16日、東日本大震災で出たすべてのがれきを今年度末までに仮置き場に移し、2013年度末までに最終処分するとの指針を福島、岩手、宮城などの各県に通知した。福島第一原発から20キロ圏内の警戒区域や計画的避難区域など撤去作業が難しい地域は対象外としている。
 菅政権は、避難所や住宅地近くのがれきについては、今年8月末までに仮置き場に移す方針を示していた。環境省は今回、それ以外の地域も含めたすべてのがれきを今年度末までに撤去する、とした。
 環境省によると岩手、宮城、福島、茨城などを除く41都道府県が受け入れを表明している処理量は、焼却処理が年間で計290万トン、埋め立て処理が同106万トンに上っている。同省は「広域処理を進めれば、13年度末までの処分が可能」としている。(asahi.com)

 

福島のがれき、放射線量低ければ「焼却可能」 環境省  H23.05.16
 環境省は15日、福島第一原発の事故の影響で放射性物質が付着した可能性がある福島県のがれきについて「測定された放射線量が一定以下にとどまる場合は、焼却処分できる」との方針を示した。空気中へのセシウムの放出を「ほぼ100%」防げる焼却施設を新たに建設する。今後、焼却ができる放射線量 の基準値などを検討する。
 同省は同日、放射性物質を浴びたがれきの処理方法などを話し合う「災害廃棄物安全評価検討会」(座長・大垣真一郎国立環境研究所理事長)の初会合を開いた。環境省が、9〜12日に福島県内の約120カ所で放射線量を測定した結果を説明し、有識者の了承が得られたとしている。
 今回、専用の新施設で焼却できるのは、原発から20キロ圏内の警戒区域や、計画的避難区域を除いた中通り、浜通り地域のがれき。同じ地域でも、測定された放射線量が原発から約100キロ離れた会津地方と同レベル以下の場合は、専用施設ではなく、通常の災害廃棄物と同じルートでも処理できるとした。17日にも県などに対象の市町村名を通知する。(asahi.com)

 

がれき2500万トン、置き場は 被災沿岸、平地少なく  H23.05.09
 被災地のがれき撤去が進むなか、岩手、宮城、福島3県で推計2500万トンという膨大な量を一時保管する場所の不足が深刻化している。山が海に迫る三陸海岸ではそもそも用地確保が難しく、「このままでは一時中断」との悲鳴も。岩手県は9日、特命チームを立ち上げて、がれきの実態把握や処理計画策定を急ぐ。
 同県釜石市の市街地から車で約10分。ダンプカーが次々と市有地にがれきを運び込む。奥行き100メートルほどの細長い土地に高さ10メートル以上のがれきが積み上がる。誘導の作業員は「あと少しで満杯。置き場所がなくなったら困る」。
 同市のがれきは推計82万トン。保管場所として市街地に近い採石場などを確保した。分別後、焼却や埋め立て、リサイクルに回す。
 同市は面積の9割が山間部で平地は1割。さらに、広い土地は仮設住宅建設が優先される。一方、市外は遠いため時間と運搬費がかさむ。市幹部は「確保済みの10倍以上の広さの土地が必要になるのではないか。このままでは撤去がストップしかねない」と嘆く。
 中心部が津波にのまれた同県陸前高田市は、駐車場など公有地約25万平方メートルをがれき保管場所にした。多い日には撤去現場と保管場所を20往復するというトラック運転手は「とてもじゃないが、足りない」。
 市は4月25日発行の市広報で、住民に私有地の提供を呼びかけた。
 岩手、宮城、福島3県のがれきは、車や船舶を除いて推計2500万トンで、阪神大震災の1.7倍。うち岩手分は583万トンで、県は必要な保管場所を3平方キロと見積もるものの、これまでに確保したのは1.3平方キロにとどまる。
 山間部などの国有地を使う案もあるが、被災地から数十キロ離れた場所も目立ち、距離が課題。県担当者は「県有地などの活用も含め、対策を関係機関と早急に検討する」といい、職員10人をがれき処理問題に専従させる。
 宮城県も、リアス式海岸が続く県北部で用地確保が難しい。比較的平地が多い県央・県南部を中心に約100カ所(計4.5平方キロ)を確保したが、県の担当者は「足りなくなる可能性もある」と話す。
 環境省廃棄物対策課は「ある程度遠い土地の活用も検討する必要があるのではないか」とみている。(asahi.com)

 

東日本大震災:海中ゴミ、三陸の再生阻む 岩手・宮古  H23.04.28
 津波で海に流出したゴミやがれきが、漁師たちを悩ませている。宮古漁業協同組合(岩手県宮古市)の佐々木隆参事によると、スケトウダラやマダラ、カレイを取る底引き網漁は三陸沖約15〜20キロが漁場。水深約250メートルの海底から網を引き上げると、魚と一緒に海中を漂う大量のゴミが網に入る。
 網に入るのは流木やがれきのほか、布団や椅子、衣類、畳などの生活用品も目立つという。重さは1回の漁で数百キロにも及び、網が傷む場合も。漁師たちはゴミを港まで持ち帰り、埠頭(ふとう)内のがれき仮置き場の一角に集めている。(毎日新聞)

 

JAPIC/がれき処理モデル事業、岩手県釜石市で試行/建協支部らと連携  H23.04.22
 日本プロジェクト産業協議会(JAPIC、三村明夫会長)は、東日本大震災で発生したがれきの効率的な撤去・処理につなげるため、岩手県釜石市で建設業界や産業廃棄物処理業界と連携して試行事業を実施する。適正・迅速なリサイクル方法を探るとともに、処理に必要な機材・人員や期間について基礎データを収集する。試行事業は、岩手県建設業協会釜石支部が釜石市からがれきの撤去・分別工事を受注する形で行う方向で調整している。事業期間は2カ月。6〜7月から岩手県全体で本格的ながれき処理を始められるよう体制づくりなどを支援する。
 JAPICは、震災発生後、3月23日に青山俊介JAPIC環境委員長らを中心としたワーキンググループを設置。環境省などの関係省庁や、野田武則釜石市長(岩手県沿岸市町村復興期成同盟会長)らと協議を進めてきた。今月18日には、野田市長や岩手県、政府関係者、岩手建協釜石支部などが参加するセミナーを開き、試行事業を提案した。東日本大震災で発生したがれきの量は2000万〜5000万トン規模とみられている。土砂が積もっているケースや、火災によりがれきが燃えているケースなど被災地によって特徴も異なっている。
 がれきの処理コストは、効率的に実施できるかどうかで大きく変動し、青山氏によると、5000万トン規模の場合は8000億〜1兆円程度が想定されるという。鉄骨カッターや移動式選別機などの大型重機も必要になるとみられる。こうした状況も踏まえ、JAPICは、釜石市で試行事業を行い、適切な処理・リサイクル方法や考慮すべきリスクなどを検討する。被災地の行政担当者や主要建設業者を対象に技術研修も行っていく。
 試行事業では、釜石市板木山などを仮置き場として活用する予定。木くずを木材チップに加工してバイオマス発電に活用するなど出口戦略も検討し、復興計画と連動したがれき処理につなげる。JAPIC日本創生委員会に設置された「復興〜未来創生特別委員会」とも連携して取り組みを進める。本格的ながれき処理は、被災地の自治体などが主体となって進めることになる。(日刊建設工業新聞)

 

岩手県/がれき撤去作業を本格化/被災自治体に代わり処理  H23.04.14
 岩手県は、東日本大震災で発生した大量のがれきの撤去に向け、本格的な対応に乗り出した。8日に災害廃棄物の処理に関する実務レベルの打ち合わせ会議を開き、県の方針や国の特例措置などを説明。処理が困難な被災自治体については、県が処理を代行することを決め、11日から被災自治体からの業務委託の受け付けを開始した。
 岩手県では、東日本大震災で、約380万トンの災害廃棄物が発生したと推定。これは岩手県内で1年間に出る一般廃棄物(約48万トン)の8年分に相当する。これをおおむね3〜5年のうちに処理したい考えだ。県の年間のごみ処理量を大幅に上回る状況にあることから、廃棄物の1次保管場所の確保が大きな課題となっているほか、県内の廃棄物処理施設の能力の現状から広域的な処理を検討することも課題として浮上している。
 既存の廃棄物処理施設の余力の活用だけでは対応が困難なことから、セメント工場など民間の施設や機能を活用する方向で調整を進めている。沿岸部にあるセメント工場のキルンを焼却処理などに活用した場合、年間50万〜60万トンの処理が可能だとみている。
 東日本大震災の特例措置として、県が市町村から業務を受託してがれき処理を代行する場合も補助対象になるなど、災害廃棄物処理で県が被災自治体を支援する環境が整備された。県は既に6市町村から相談を受けているという。(日刊建設工業新聞)

 

東日本大震災/PFI・PPP協会ら/がれきの固化処理方法を提案  H23.04.07
 社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会(有岡正樹理事長)と日本PFI・PPP協会(植田和男理事長)は6日、東日本大震災の被災地に散乱するがれき(混合廃棄物)の早期処理に向けた提案を発表した。ソイルモルタルを使って固化すると同時に安全対策を講じ、盛り土などのコアに利用。民間資金を投じることで財政負担を減らせるPFI方式の利用や、国内外のインフラ・ファンドを募って「日本復興ファンド」を組成し、資金を拠出する案なども示した。一部自治体が既に採用に向けた検討に入っているという。
 両者の提案は、事業手法と資金調達が柱。がれきは、運搬・分別処理といった通常の処理では完了までに膨大な時間と費用、労力が必要なため、安全性に配慮した上での封じ込めが有効だと指摘。高流動化ソイルモルタルを加えて盛り土の遮水部となるコアに利用し、コンクリートがらなどには低流動化ソイルモルタルを混ぜてコアを支えるハイブリッド部とする案を示した。コア直下には遮水シート、コアとハイブリッド部の間には大型の土のうを積み上げ、全体は現地の発生土で覆う計画。海水を浴びた農地や高台の造成地の土砂を利用する。
 規模は高さ、堤体上部の幅とも最小で20メートル以上、底辺部は100メートル以上が必要だとした。出来上がった構造物は避難施設や防潮堤などに利用。被災者の日用品などが土台となることから、津波被害を語り継ぐための施設としての利用も見込んでいる。整備手法については、国債発行による資金を使ったPPP方式のほか、民間資金を使うPFI方式を提案。事業費は、高さ2メートルのコア部分だけで1平方キロメートル当たり100億円と試算し、事業量によっては数千億円以上が必要になるため、ファンドからの拠出を一つの案として示した。
 被災地にはがれきが山積し、復旧作業の足かせになっている。両者は、私有財産を含めたがれき処理に対応するため、自治体に処理権と処理用地の購入権を超法規的に付与する「がれき特区」の創設なども提案しており、「前例のない挑戦」(有岡理事長)として、事業化の動きを支援・推進していく方針だ。(日刊建設工業新聞)

 

戻る

UP

Copyright(C) 2002- ISABOU.NET All rights reserved.