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 シリーズコラム 「よろずIT・ネットワーク情報」 
【第31回】 最新型GNSSモジュールに対応可能なAndroid用RTKソフトがやっと出回ってきた
 
 昨年4月12日から8月9日まで本コラムで「CheapなRTK?」という全4回の特集を企画しましたが、そのとき一つだけやりたくてもやれなかったことがありました。
 それは移動局(Rover)にスマートフォンを利用してRTK測位を行うということでした。

 昨年の特集では移動局端末用にノートパッドタイプのWindowsマシンで、WindowsOS上で動作するRTKLIBというソフトを動作させてRTKのセンチメートル単位の精度の測位を確認しましたが、残念ながらAndroid-OSのスマートフォンではいろいろな障害があり実現することができませんでした。
 試作品は
【第20回】 安くても誤差数センチ?RTK-GNSSにチャレンジ!(実際にRTKを試みる。)
 で以下の様なRover用測定器でWindowsノートパッドをAndroidスマートフォンに変更して動作するかどうかを何回かテストしてみたのですが、ことごとく失敗したので、それから約1年後の現在までの状況をご説明します。
 
最新型GNSSモジュールに対応可能なAndroid用RTKソフトがやっと出回ってきた


【1】なぜAndroidのスマートフォンでRTK移動局(ローバー)ソフトを動かしたかったか?

 Windowsのノートパッドは大きくて重たいので、下記写真の様に不格好になり、消費電力もAndroidのスマートフォンよりもかなり多くなり、基本的に移動しながらの測定にはあまり向いていません。それにWindowsノートパッドとは別のWifiルータが必要になります。
 それに比べAndroidのスマートフォンでは標準でインターネット通信が可能で基準局のデータを読み込め、画面は小さくても軽くて消費電力が少なく扱いやすいからです。

テスト用レンジローバー
テスト用ローバー


【2】 AndroidのスマートフォンでRTK移動局(ローバー)ソフトを動かす方法

(1)ソフトウェア
 Windows用とLinux用にはそれぞれ東京海洋大学の高須先生が作られたRTKLIBというソフトがありますが、Androidのスマートフォン用にはこのRTKLIBをAndroid-OSに移植した RTK-GPS+ というソフトウェアがありました。

(2)GNSSモジュールとのインターフェース
 弊社がテストしたUblox社の最新GNSSモジュールはNEO-M8TというモジュールでインターフェースはUSBインターフェースです。

(3)対象となる最新型GNSSモジュール
 Ublox社の最新GNSSモジュールはNEO-M8Tというモジュールです。

【3】 実際にテストした結果(2018年8月末の段階)

(1)AndroidスマートフォンのOTG機能について
 通常の日本メーカAndrid スマートフォンではUSBインターフェースにOTG(USB On-The-Go)という規格はSONYの一部の機種を除いて搭載されていません。私のテストした機種もこのOTG機能がなかったので、別のOTG機能のある機種を取り寄せテストしました。しかしなぜかGNSSモジュールのデータをUSB経由で受信することはできませんでした。

(2)対象となる最新型GNSSモジュールをソフトウェアがサポートしていない
 【2】-(1)で紹介したRTK-GPS+というソフトをダウンロードしてインストールしましたが、いっこうにUSB経由で接続したNEO-M8Tモジュールのデータは受信できませんでした。
 調べてみると、この時点でのRTK-GPS+はまだNEO-M8Tには対応していないということが判明しました。

(3)上記問題を回避して動かす方法は?
 アンドロイド用RTKソフトウェアRTK-GPS+がblox社の最新GNSSモジュールはNEO-M8Tに対応していないということで、WEB等で情報を知らべてみると、RTK-GPS+の入力インターフェースにBluetooth があることを利用して、Bluetooth経由で移動局GNSS情報を取得している方がいることを知りました。
 Raberry pi等の小さなlinuxマシンにNEO-M8TをUSBに接続しGNSSデータを受信し、Bluetoothインターフェース経由でスマートフォンとlinuxマシンを接続し、RTK-GPS+でローバ情報を受信してRTKを行う仕組みです。
 この方式を使うメリットは、OTG機能のないAndroidスマートフォンでもbluetooth経由でローバGNSS情報を受信してRTKを行うことができることです。
 デメリットはRasberry pi等の小さなlinuxマシンがもう一台必要になることです。

【4】 約1年後(令和元年7月現在)のAndroidスマートフォンRTK用ソフトの状況について

(1)GNSSモジュールメーカーu-blox社がAndroid用GNSS受信ソフト DROID Centerを有償で発売した。
 googlePlayでDROID Centerを有償(10.99$)でダウンロードしてインストールすると、初めてandroidスマートフォンでNEO-M8TGNSSモジュールをOTG対応USB経由で衛星データの受信が可能になりました。あと、NEO-M8TGNSSモジュールのandroid用ドライバもインストールされたようです。

Ublox Droid Center


(2)Mapit GIS - NTRIP Client(有償のRTK-GPS+改造版ソフト)でNEO-M8TGNSSモジュールが動きました。
 Mapit GIS というスマホ用GISソフトメーカーがRTK-GPS+をNEO-M8TGNSSモジュール対応に改造したソフトを有償(年間1400円程度)でMapit GIS - NTRIP Clientという名称でgooglePlayからダウンロード経由で提供しています。

 私も有償でダウンロードしてテストしてみたところ、ちゃんとNEO-M8TGNSSモジュールをOTG経由のUSBインターフェースから受信し、RTK測位を開始し始めました。ただ、Windows版のRTKLIBとRTK用設定パラメータがかなり簡易化されているので、まだRTK用パラメータは調整中であります。

Mapit GIS - NTRIP Client
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